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鈍感白魔道士と森の中で[戦士編]



やってしまった…

チラリと上を見上げると大きな魔鳥が空高く飛んでいる。

私はというとその魔鳥の爪に上半身を掴まれていた。

魔鳥は獲物を捉えると巣に持って帰りそこにいる雛達に分け与える習性がある。

どうやら餌にするつもりらしい。

他の魔物に気を取られて上空を疎かにしている間に1番後方にいた私が狙われた。


…さてどこで降りようか

真下を見ると森ばかりで湖すらない、

水さえあれば飛び込んで怪我しないで済むのに残念である。

ダメージ軽減、守備力増加魔法を行なっても下が森なら最低限怪我をしてしまうだろう。

あとは掴んでいる爪だがこれは上半身の服を抜き捨てれば抜け出せそう。

上は下着のみになってしまうし、怪我のリスクも増えるけど…

餌にされるよりまし…

私はすぐさま魔法を自分自身にかけるとボタンのついた服をゆっくりと外していく


そして

「っ…!」

服から体が離れ真っ逆さまに森に向かって落下していった。


「--------っ!」


どこかでなにかが叫ぶ声が聞こえたように感じたが確認するまもなく木々に覆われた森へ落下していく

「っ!」

木の枝を折るたびに体に切り傷が刻まれる。

その痛みに耐えさらに地面に向かって落ちていく

そろそろ受け身の体制にならないと…

体を丸め地面の衝撃を和らげようとした時


「サクラっ!!」

誰かが私を呼ぶ声聞こえた。


どさっ……

「っ!………痛くない……?」


地面にぶつかるそう思い目を瞑ったが何故か痛くない。

あわてて目を開けると目の前に人がいた。

どうやら誰かに受け止められたらしい。

「うっ….うっ…サクラ大丈夫…か?」

「…ダイチ…?」

その声に聞き覚えがありあわてて起き上がる

そこにはボロボロになったダイチが虚な目でこちらを見ていた。

「ヒール‼︎」

あんな高いところから落ちて来た人間を受け止めるなんてどこか臓器を潰れていてもおかしくない、私は慌てて回復をダイチに施した。


「っ!もっもう、大丈夫だ…」

回復魔法をかけ続けるとダイチの目に生気が戻った。

「…ならよかった。」

私はほっと息をついた。

「サクラは怪我ないか?」

「…大丈夫、ありがとう…」

「ならよかっ……!?サクラふっふっ服!?」

体を起こし私の方を向いたダイチは顔を赤くして慌てて顔を背けた。

「….…?あっ…」

そういえば下着のままだった。

今更遅いが腕で体を隠す。

「っ!えっとその…こっこれやるよ!」

ダイチはそういうと自分の着ていたマントを渡してくれた。

「…ありがとう」

そう言ってマントを受け取る。

ダイチのサイズなのでブカブカではあるが下着で動き回るよりましなのでそれを着る。

「…もう大丈夫」

「そっそうか……っ!」

ダイチはこちらを見たがさらに顔を赤くしたかと思うと固まった。

「…?なに…?」

「…っ!!いっいや、なっなんでもない!」



魔鳥に連れてかれた時からどうやらダイチは上空の私を見失わないように追いかけて来たらしいそのため無茶苦茶な道を進んでいたため体がボロボロだったとのこと。


「ほっ他のみんなは…多分後から追いかけてくれはず…魔法探知かけてもらってるからな…」

「…待機?」

「そっそうだな、みんなが来るまで待機だ」

「…わかった。」

私はうなづきダイチとともに合流できるまで待機をすることにした。


「………」

「………」

「………」

「…?」

「っ!………」

「……」

「……」

「……」


話さずに待機をしているがダイチがやたらとこちらをチラチラ見てくる。

なにか話しがあるのかと目を合わせればすぐに逸らされ、そしてまたこちらを見ている。


逸らされた横顔はどこか不安そうな印象があったがどうしてなのかわからない。

元々私はそこまでダイチと話をする間柄ではない。

ギルドの3強といわれるダイチの回復を行うことは多いが楽しくおしゃべりなんてことはしたことがない。


だからどう対応するのがいいのかわからずにいると

「……きっ、きっ聞いてもいいか!?」

いきなり大声を出してきた。

「!?」

「あぁ、ごめん…驚かせた…」

「…大丈夫」

声に驚き肩がビクッとなったがすぐに冷静になりうなづいた。

「…そうか…あのさ…」

「…」

ダイチは私と目を合わせず俯きながら話し始める。

「こっこの間町に用があって俺、でっ出かけたらさ、見かけたんだ…」

「…」

なんのことかわからずそんなダイチを見続ける。

「さっサクラがハルと2人でいるところを…!」

「…?」

それがなんだというのかわからず首を傾げる

「…ふっ2人はその……….こっこっ…恋人同士なのか!?」

「…?恋人じゃないよ?」

なんで、そう思ったのか不思議に思いつつそう答えた。

「本当か!?」

するとダイチは顔を上げた。

すごく嬉しそうな満面の笑顔だった。

「…うん。」

「はぁ……よかった…ハルだったら勝てないと思ったからな…」

ダイチは安心したように息をついた。

「…どういうこと?」

「なっなんでもない!」

ハルとなにか勝負してたのだろうか?

それでも…ハルに勝てないだなんてダイチらしくない。

ダイチならハルとなにか勝負したって強気に立ち向かうような印象がある。


「…」

ちらっとダイチを見る。

さっきまでチラチラこちらを見ていた時よりましだが不安な印象はまだ残っていた。

これは…劣等感?完璧なギルドリーダーのハルに対して劣等感を抱いている…?

「….大丈夫」

「…えっ?」

だから私は真剣な顔でダイチを見つめる。

「…不安がらなくていい」

「!?」

「…私は」

「まっ待ってくれ!!」


私はダイチのこと頼りにしてるしダイチはダイチらしくギルドを引っ張って言って欲しい。

そう告げようとしたがダイチに止められた。


そしてダイチが近くに来たかと思うと顔を真っ赤にさせ私の両肩を掴んだ。


「おっ俺から言わせてくれ!!」

「…?」

よくわからないことをいいだすダイチ。

今のこの空気でなにを話すと言うのだろうか?


「おっおっおっ……俺は!さっさっさっさっ……サクラのことがっ!」


「サーーークーーーちゃーーーん!!」

ドーーン

むぐっ…

うおっ!


後から勢いよく誰かに体当たりされた。

すごい勢いだったためそのままダイチに向かって倒れ込んでしまった。


「あっ!ごめん!」

「ナツ!いきなり走って行かないでよ。」

「だって!サクちゃんの後ろ姿が見えたからつい!」


どうやらナツが抱きつこうとしたが勢い余って体当たりしたきたらしい


だが…そんなこと今は考えている場合ではない

「これは…」

ペタッ…

「…」

体当たりした時の体勢が悪かったようでブカブカのマントの下にダイチの片手が潜り込んでいた。


その手が下着の上から触れている

「…小さい…」

ダイチがそうポツリといった。


「シャインアロー!!!!」

「うわぁ!!」

その言葉が耳に届いた瞬間白魔道士唯一の攻撃魔法を最大魔力でダイチに食らわせた


「「「ダイチィィィィ!!!!!!」」」


ギルドメンバーの叫び声が森中に響き渡ったのだった。




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