鈍感白魔道士とお出かけ(前半)[リーダー編]
今日は以前ハルが約束したお菓子屋さんへいく日
トウマも呼んで3人でいく予定だったけど、トウマが用事があって来れないと言われ、ハルと2人で出かけることとなった。
「…サクラその服で行くの?」
「…変?」
「だってそれいつもの白魔道士の服でしょ?」
朝、いつものようにハルに朝起こしてもらってから着替えた服装をみてハルがいった。
ハルはいつもと違い街中でよくみるラフな格好をしている。
いつも出かける時結構オシャレしてるよね?
「……めんどくさかった」
いつもはトウマがいるので気合いをいれて前日の夜に何を着て行こうか決めていた。
だけど今日はトウマもいない、しかも前日は討伐依頼がハードで疲れてたのもあり夜に服選びをしなかった。
それを考えていつもより遅い時間ににハルは起こして来てくれていたのだが朝、服を選ぶのはめんどくさかったので、いつもの服をチョイスしたのだ。
「…それなら….よし!サクラちょっと寄ってくよ?」
ハルは少し考え込むとそう言った
「…どこへ?」
服屋さん!
満面の笑みでハルはそう言った。
「いらっしゃいませ〜」
様々なデザインや色合いの服を扱う女性服専用店
そこにハルと私はやって来た。
「すいません。」
「っ!はっはいっ!いらっしゃいませ!」
「この子に合う服を選んでくれませんか?」
お店に着くとハルは1人の若い女性店員を捕まえてそういった。
「わかりました。えっと……」
ハルに話しかけられて顔を赤くしていた女性店員はハルの後ろでぼんやりと立ち尽くす私を見る
「お客様、なにかご希望のデザインなどありませんか?」
「…とくにない」
「では私にお任せください。」
そういうと満面の笑みを浮かべてそういった。
「あっ!そうそう、服は青色を基調にしたものにしてもらえませんか?」
するとハルが途中で服のチョイスについてリクエストをした。
「青色ですか?….なるほど了解いたしました。」
一瞬不思議そうにしていたが、ハルと私を交互にみると納得したようにうなづいた。
「よろしくお願いします。」
「…」
「お客様は細身でいらっしゃいますからなんでも似合いますね。….これもいいですし、あれもいいですし…」
そう言っていくつかの服を当てられあれでもないこれでもないといって悩み出す女性店員さん
「…あっ!これでしたら瞳のお色によく似ていますし満足いただけると思います!」
そう言って見せられたのは爽やかなワンピース。青と白を基調しており、ボタンの部分が宝石みたいな美しい青色の石でできてきるのが特徴的だった。
「…わかった」
確かに可愛らしいデザインで私も気に入ったので小さくうなづいた。
「いいですね!!」
服に着替えると女性店員は何度もうなづいてそう言った。
「…じゃあこれで」
「はい!あっ!少し髪もいじってもいいですか?せっかくですもの…こちらはサービスです。」
「…どうぞ」
テンションがどんどん上がる女性店員に反応するのも疲れるので、髪もやってもらった。
「お客様、お待たせ致しました。」
「選んでくれて、ありがとう」
ハルの前まで店員さんの後ろについていくといつもの穏やかなハルの声が聞こえた。
「いえいえ!こちらも楽しませていただきました!見てください!」
そういうと店員さんが後ろにいた私の肩を掴みハルの前にだす
「っ!!」
「どうですか?よくないですか??」
テンションが高くなる店員さん
「…ハル?」
「あっ…うん…すごく….可愛いよ。髪型も変えてもらったんだね。」
一瞬いつものハルらしくない反応をしていたがすぐにいつもの表情に戻ってそういった。
「…うん」
私はそういうと自分の髪の先を少しつかんでみる。
いつもは下ろしぱなしの黒い髪を緩くカールし、
その髪を服と同じ青色の宝石のような石でできた髪飾りでハーフアップにしている。
耳や首元がすっきりとしておりいままでやったことのない髪型ではあったがとても気に入っていた。
「じゃあ行こうか?今日はありがとうございました。」
「またお越しください!」
「…お金」
「先に済ませてるから大丈夫だよ。」
ハルはそういうと私に手を差し伸べる
「…あとでお金払う」
「手厳しなぁ…」
その手を取ることなく横を通り過ぎながらそういうとハルは苦笑いして私の後からお店を出た。
「…お菓子」
服屋さんのあとすぐにお菓子屋さんに行くと思ったらハルは別の方へ歩いていくので道が違うと呼びとめる。
「お菓子屋さんはもちろん行くけど、その前にご飯行こうか?」
だがハルは歩を止めずにそういった。
「…お菓子でいい」
お腹はもちろん空いてるが今なにか食べたらお菓子が食べれなくなるのは間違いない。
それなら大好きなお菓子でお腹を満たしたかった。
だけど…
「ダメ、がっつりじゃなくて軽くでもいいからご飯食べよう?体に悪いからね?」
ハルは困ったようにそういった。
またはじまった、ハルはいつも私のことを子供扱いする。
「……お母さん」
「…それいうのやめてくれる?」
私がそういうとハルは顔をしかめた。
この間ギルドメンバーにお母さん認定されたことを良くは思ってないらしく、お母さん扱いするといつもと違った表情をするのだ。
「…ハルママ」
「…言い方変えればいいってわけじゃないからね?」
ハルが呆れたようにそういった。
そんな話をしていたら出店通りに到着した。
「軽くならサンドイッチとかかな?」
出店には様々ならお店が並んでいる。
美味しそうな匂いが立ち込めており、ここへくると目移りしてどれを食べようかと長考してしまうことがよくあった。
だがハルはあたりを見回して、少し先にあるサンドイッチのお店に真っ直ぐ向かっていった。
……
わたしはというと他の出店からの誘惑に負けじとハルのあとを追いかけた。
「へい。いらっしゃい!好きなもの選んでね!」
赤いエプロンをした声の大きなおじさんがメニュー表をハルに渡した。
「ありがとう。….サクラ何がいい?」
「……」
ハルはメニューをわたしが見れるように広げてくれた。
カラフルな写真で紹介されたサンドイッチはどれも美味しそうでハルの横から真剣にメニュー表をみて考える。
「…俺は無難にタマゴサンドにしょうかな」
「……フルーツ……ハム… ツナ……」
どれか一つだよ?お菓子食べれなくなるからね?
「…ハム…ツナ…」
「……」
「…………」
「………………」
究極の選択である。どうしようか悩んでいると
「おじさん!ハムサンドとツナサンドを一つづつください。」
「はいよ。」
ハルがおじさんに注文した。
「…二つダメだって…」
「一つは俺の、あとでそれぞれ半分こしよう。」
「…タマゴサンドは?」
「色々見てたらハムとツナ食べたくなったからタマゴはまた別の時にするよ。」
「…ありがとう」
私がそういうとハルは嬉しそうに微笑んだ。
近くにあったベンチに2人でかける
ふわふわのパンに味のしっかりとしたサンドイッチが美味しくてあっという間に食べ切ってしまった。