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聖女として召喚された私は無愛想な第二王子を今日も溺愛しています 〜星屑のロンド〜【完結】  作者: 春風悠里


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27.職員?

 事前に渡されていた校舎マップの記憶と案内を頼りにSクラスへと向かう。そして目に飛び込んできたのは……。


「……あれって、まさかまさかよね……」

「え、あ。さすがセイカちゃんね」

「声かけない方がいいわよね……」

「周囲にバレないならいいんじゃないかしら」


 クラスの横の廊下に職員っぽい人が二人もいる……そのうち一人がどう見てもヴィンスだ。帽子の中に長い髪は入れ込んでいるのだろう。もう一人は彼と私とクリスの護衛を兼ねているのかしら。いえ、ここが見える廊下にも一人いる。その人がヴィンスの護衛かも。階段を上ってすぐのところにも一人いたはず……。


 絶対迷惑でしょ!

 護衛増し増しになるじゃない。


「ありがと」


 不自然ではないように二人ともに軽く微笑んでからクラスの中に入る。


「……過保護すぎじゃない?」

「愛よね! 実はずっと馴れ初めが気になっているのだけど」

「言うタイプだと思う?」

「思わないのよね〜」


 クラス内にいる全員が隅に立っている中、ショートカットの女教師の「自由席です。好きな席へどうぞ」の声に軽く礼をしつつ中央の前から二番目に座った。クリスは私の後ろだ。

 気分的には一番後ろに座りたいものの……私は背が小さめだから、このへんでないと前が見にくく私の前に座る人にも気を遣われてしまいそうだ。


 私たちが座るのを見て、他の生徒も座り始めた。アリスのクラスメイトには第一王子とその婚約者もいて、同じような感じだったらしい。貴族の序列意識だ。

 才能次第で入れるのが王立魔法学園なので平民も混ざってはいる。ただ、人々を統率できる強い長が王や貴族になったという歴史があり、守る者も強い。才能の遺伝と自分も強くなければという義務感としての意識によって、王族や貴族、騎士の血筋に才能が生じやすいとか。確かに、それらしい雰囲気の生徒が多いように感じる。


「そういえば私、新入生代表の挨拶をするのよ」

「ああ……大変ね」

「セイカちゃんについて話す? 話さない? どちらでも大丈夫よ」


 ……なんでこんな直前に聞くのよ。


「当然話していいに決まっているわ。だって……ねぇ。バレバレだもの」


 クリスの隣に座った男の子もこちらを見ていたのでクスッと笑いかけると、顔を赤くして目を逸らし……またこちらを見て、また逸らし……。


 聖女ってだけで意識されすぎね。視線を戻すと、なんとも言えない表情のクリスと目があった。


「セイカちゃんを心配する人の気持ちが分かったわ……」


 ヴィンスのこと?

 何を分かったっていうのか。


 このあとは先生もいるし、雑談もほぼせずにホールへと移動した。一年生用の列に並び用意されている椅子に座ったり立ったりなどして学園長の挨拶、在校生の挨拶と続き……そして、クリスの番だ。


「ただいまご紹介にあずかりましたクリスティーナ・オルザベルです。期待や希望に胸を膨らませながら迎えた今日、暖かな春の陽射しの中で――」


 クリスの挨拶が続いていく。魔道具によって声が響く。明るく軽やかな声は未来への希望を感じさせる。


 どうして聖女は彼女でないのかしらね……。彼女の方が相応しいように思うのに。異世界から来たアリスの血を引いているのだから、クリスでいいじゃない。


「そして今、この学園には聖女様がいらしていますわ」


 きた――。


 最近の情勢について言及したあとに彼女がそう続けると、やはり会場がざわついた。どこだどこだと私を探すような視線が全て、こちらへと集中する。もうクリスの話どころではなくなっている。


 ……予想はしていた。早かれ遅かれこうなることは。私は私らしく。それしかできない。理由は分からないけれど私が選ばれたのだから……。


 ――クリスみたいにならなくたっていい。


「魔法のない世界から突然ここに喚ばれた彼女は、私たちと同じ十五歳――」


 用意していただろう言葉を紡ぐ彼女が、動きを停止した。そこへと向かう私に気付いたからだ。


 悠然と歩き壇上へと上る。


 ……本当に、こっちでは髪も瞳も色とりどりね。金髪銀髪赤髪……でも、虹色はいないかな。毒々しい紫色もいない。


 これが、アドルフ様やクリスの見る景色なのね。


 そこにいるたくさんの人の目がこちらへ集中する。こちらはそれを眺める立場で、一挙一投足を注視される。……きっと死ぬまでだ。私はご免ね。浄化が終わるまでしか、その立場にいたくはないわ。

 

 でも、それまでは――。


「名前はセイカ・ツキシロ。私が聖女よ」


 風の精霊に頼むようにして言葉を放つ。視力はいい。ホールの隅にいるヴィンスに目をやると頷いたので、きっと声は届いているはず。私の声が空間を満たしたのも感じた。


「挨拶を遮ってごめんなさい。軽く自己紹介をさせてもらうわ」

「はい。ぜひに!」


 クリスの優しさに満ちた笑顔に勇気づけられ、もう一度前を向いた。


 

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