貴婦人の落馬
少し前からピアノにはまっている。子どもの頃に習っていた時は、練習が大嫌いで、全く上手くならなかった。宿題が書かれた連絡帳に隠蔽工作をして、宿題をなかったことにしたこともある。
それがどういう風の吹き回しか、二十年以上経った今、ピアノを弾きたくて弾きたくて仕方なくなった。
実家にピアノがあるが、一人暮らしのアパートはピアノ禁止だった。それでも弾きたい……と情熱は燃え、こっそりキーボードを購入した。ヘッドホンをつければ、近隣の迷惑にならないだろう。
実家に帰省し、昔習っていた教本を持ち帰った。ピアノを習ったことのある人なら、ご存知だろう。◯ルグミュラー。
今、私はその教本に載っている曲を、嬉々として練習している。昔は嫌々練習していたからだろう、どの曲も好きではなかった。
でも、今は「この曲いいな」「あ! こっちの旋律も好き!」と、同時進行であれこれ練習し始め、訳がわからなくなってきている。
その教本の最後に〝◯婦人の乗馬〟という曲があり、それも練習している。でも、出だしでミスをする。その度、頭の中で婦人が、派手に落馬する映像が流れる。
そして、笑いを噛み殺す。
一日も早く婦人を最後まで、落馬することなく乗馬させてあげたいと思う、今日この頃だ。
そして、一ヶ月程経った今。
最初の頃に比べると、貴婦人が落馬する回数は減った。調子が良ければ、最後まで並足くらいでいける。
もうちょっと頑張れば、それなりの格好になりそうだ。
昔、これ程の意欲を持ってピアノを習っていれば、さらに貴婦人の技術は上がっていたことだろう。
読んでいただきありがとうございました!
あれからさらに一ヶ月が経ち、現在、貴婦人は派手に落馬することは減ったかな? という感じです。
もうちょっと頑張ると、障害物を飛び越せるようになるかな。




