08 千古は、翠玉城に到着し
「ハイハー!」「フー!」「アヤー!」
面積の広く明るい部屋で、何人かの影が激しい戦いをしていました。腕足を高く振る激しい風が場所全体を巻き込み、戦いによって発生する波動で壁面すら微かに揺れていました。
しっかり見張っているスタッフたちも緊張しながらも、戦う二者を見守っていました。
一方は五人の男子、もう一方は角と尻尾を持つ少女でした。
当然、彼女はルルだった。ルルが五対一で、手足に重い砂袋をつけながらも上目遣いで圧勝していました。彼女の極めて速い動きと、風のような攻撃は、相手をすぐさま駆逐していきました。
観客席から、千古が椅子に座っていました。手には新聞を取り、仔細に読んでいました。テーブルの上には異世界「クルルグラン」の市場から買ったお菓子が置かれていました。
彼の周りで、観客たちが戦いをうかがっていました。
「この子は強いなあ。」観客の一人が賛辞を述べた、「この航路開設以来最強の擂台だろうか?」
もう一人の観客がうなずき、「もちろんドラゴン族だからな、彼女の身体能力は驚異的だ。あいつを今まで見た中でもっとも徒手格闘が強い者かもね。」
「そうだとしたら、私は聞いたことがある人を思い出します。」三人目の観客が口を挟んだ、「‘カールボタ星の地下拳王’って言う人知ってる?」
「カールボタ星?どの世界にも属さない奴隷商人の休憩地?」一人の観客が不思議そうに質問した。
見た第一の観客は「カルポタ星の地下拳王」というのを知らないようだったので、第三の観客は得意げに笑って説明した。「そこは世界の間の空間であるけれど、実はバレゴンヤの管轄下にあるんだよね……」と。
観客たちが話し合っている間、現場での戦いは終わりを告げた。若者たちが地面に倒れ、ルルは片手を天井に突き出して勝者の姿勢をとった。
次にルルは軽くジャンプして千古のそばに跳び乗った。ルルは千古の肩に靠き、手で彼の頬を軽くつついて、「千古、もう一回、僕らで闘う?」と言った。
「今朝もお前と闘いましたよ。今は折り紙を見て静かに過ごしたいな。」と千古は少女からの提案を却下した。
「また昨日の飛行船がクルグランで停泊したとき、僕らは市場に下りて買い物をしなかったか?」ルルは口惜しそうに言った。
「うん、うん、今は休憩する時間だな。」千古は一つの砂糖を取り出し、剥いてルルの口に入れ、ルルの頭を撫でた。
「ムー。」ルルは喜んだ表情を浮かべた。彼女はもう何も言わずに、ただ砂糖を食べながら立ち位置を保った。
千古は額を撫でた。彼が先ほど言った話は、彼の頭の痛みが言い訳ではない。前日の飛行船は虚空隙間を通過してきて、彼の脳震盪が強くなっていたが、今でも頭が痛い。
虚空隙間が、2つの虚空を間隔するような虚空のようなもので、海が陸地を分けるような感じだ。飛行中には、さまざまな危険な小惑星帯を相手にした経験があるが、小惑星帯と虚空隙間の差は小川と大海の差と同じような大きな差がある。
ルルが言うような、虚空隙間には、高速の空間洪流が多く、真龍空域の龍族にも、十分な準備をしないで飛び込んだ場合、粉砕される可能性があるという。
虚空隙間を穿つと、「天外天」になる。千古が新聞で知ったように、「天外天」は広大な虚空で、多くの異世界を含んでいる。千古の家乡である「セルヴァディン」は、「森罗萬界」という虚空の中にある。
虚空隙間を越えて、今日昨日の世界とは、大きく異なる光景を見せている。昨日停泊した異界「クルグラン」について言えば、空中に浮かぶ大きな陸地があり、瀑布が外に繋がり、その下には深淵が広がっている。
(どうやら今後は、どうやって空間洪流に対処する方法を研究することになりそうだ。)と思った千古。
虚空隙間を移動しているとき、千古は、飛行中よりもずっと強い眩暈を感じた。ルルはそれほど影響を受けていなかったようで、いつも蹦び跳びしていた。
飛行中に旅行者が退屈しないように、飛行船の中には様々な娯楽施設があり、今回の競技場もその一つだ。
飛行船がウィーケルを出発してから、千古はこの擂台でルルと日々武術の練習をしていた。
時には千古からの挑戦、時にはルルからの試合を挑む、だが大体はルルの勝利に終わっていった。
比試を終えた後、2人が部屋に戻ったとき、ルルは毎回、千古の体を疲れ切っているときに、古い技術を用いて経絡を整えるマッサージをしていた。しかし、そのマッサージの後果はしばしばより激しい「戦い」を床において行なうことが多かった。そして、千古はそれですべて更に疲れていった。
時間は日々を経て、ついに旅の終わる日がやってきた。
「ウーーー」と、飛行船は止まった、大きな音が聞こえた。数十秒後、その音が止んだ後、飛行船の腹部の大きなカバンが「カシャーッ」と開いた。
多くの旅行者が一斉に飛行船から出てきて、順番に入国の手続きをする。
「ここがバレーゴンヤか……本当に行き先はどこでも変な所なんだなあ。」と、入国の手続きが終わった後、異世界か空港を出て、行き先の异世界を見つめながら千古は言った。
「そうだね、ここはおしゃれな世界だよね。」ルルは小さな日傘を持っていた。一件の裙さえ来なくて、修身のホワイトTシャツとブルルパンツ、黑いサテンのグローブを腕に着け、足には黑い長いストッキングを履いていた。彼女の美貌を際立たせる衣装を見た千古は大いに満足気だった。
きらめく太陽が空から降り注いで、苍い大地に照り輝いていた。バレーゴンヤの太陽はゼルヴァティンの太陽よりも明るく見えても、強い光は全く無く、直視しても心地の悪いことは無い。空は透明で、星が昼間でも息をのむほど見えるほどだった。
遠くを見ると、広い大平原と茂みのある森林が見えます。その上空には多くの島が浮かび、チェスの盤の上に置いたように見えます。多くの島の縁には滝があり、空から地面につながっています。陽の光が滝に当たると、美しい虹が出来ます。
「天外天」は、多くの世界があって、空中に浮かぶ島や陸地があります。
空中の島では、多くの黒い影が飛び回っています。千古はよく見ると、それはほとんど小さな飛行船で、いくつかはさまざまな飛行ツールに乗っている人たちです。独力で飛行できる人もいますが、千古はしばらく見たのに、わずかな数しか見ていません。
それらが空中を飛び回る間、千古とルルの前にあるこの町に向かう人もいました。
かれらの前にあるのは、巨大で高貴な街でした。それは続く山脈に抱かれていて、険しく険しくて、空に刃をくわえたような山脈でした。山脈の頂上は雲の中に隠れていて、下から上まで白い雪を見えました。
この街は、風蘭城とはまったく異なりました。街壁はなく、建物が地平線の一端から他の端まで伸びていました。数本の平らで広い道路が街から伸びて、四方八方へと繋がっていました。千古がざっと計算すると、それぞれの道路には、8台の乗り物が入ります。風蘭城の外の道路では、最大でも4台入ります。
街の中を見ると、さまざまな建物がありました。古典的なものもあれば、奇妙な形をした建物もありました。それらの建物のほとんどは、飛行をする者が入るための巨大な窓を持っていました。最も注目すべきは、雲の中に高くそびえる翡翠の鐘塔でした。
その鐘塔は、この時代の錬金術の頂点の学府を象徴するものでした。この街は、錬金術、魔法、そしてさまざまな強力な技能を学ぶために集まった学子たちにとって、ふさわしい学術中心地「翠玉城」となっていました。
「ここ、すごくにぎやかね。」城に入って、ルルは千古と一緒に熱気に包まれた街へと歩いていくながら、「真龍空域を出てから、ここが見た中で一番賑やかな場所だな」と感嘆した。
千古も道を歩く人々を見ながらいた。翠玉城の街にはさまざまな種族の人達がいた。彼は、獣の耳や角、触手を持つ人たちを目にし、それから龍族の者も見かけた。
その時、ルルは千古の衣の裾を引っ張ると、「翠玉城にはいくつかの学院があるんだけど、どこに行きたい?」と聞いた。
「どこも行きたいよ。もちろん、翡翠圣演宮が一番行きたいな。」と、千古は答えた。
翠玉城とその周辺では、多くの学院があった。「翡翠圣演宮」はその中でも最も古く、最も発展している錬金術の学問を専門としている学院で、その中にある「翡翠鐘塔」は、その最も有名なランドマークだった。
「まず錬金術士ギルドに登録して、冒険者ギルドに登録して、最後に宿泊先を決めて……」千古は飛行船から降りてきた地図を見ながら言った。
翡翠圣演宮の新入生受験まで、あと3日しかなかった。その前に、千古はここに落ち着き、併せて翠玉城の様子を見ておこうと思っていた。
もちろん、彼は新しく研究した風水道場も試してみたいとも思っていた。
「应龍矫诏」を開発してから、千古はそのまま続けて、新しい10以上の複雑な風水道場の開発に取り組んでいた。それだけでなく、彼は驚くべき事実を発見した――「龍脈」と「法則」が空間の各次元に分布しているということを考えると、風水道場もいつでもどこでも予め設定することが可能なのだと。
千古は、このことを発見した時、大喜びした。彼にとって、「風水術」の実戰的価値がさらに前進したと考えたからだ。
翠玉城の街では、たくさんの美食スタンドもあり、ルルのおかげで、2人は美食スタンドでかなりの時間を過ごしてから、錬金術士ギルドに着いた。
ここの錬金術士ギルドは、かなり大きな建物であり、壁には上級の錬金術記号が刻まれ、それぞれが千古が見たことがないものだった。ギルドの内部には、実験室や錬金術士の試験室、受付室の他、錬金術士たちが材料を買い物するエリアがあった。
フロントの女性は親切に2人を迎え入れた。千古は自分の錬金術士のハッチを提示し、手数料を支払った後、翠玉城から発行された初級の錬金術士バッチを受け取った。
初級錬金術士バッチても、翠玉城のハッチは、風蘭城のハッチよりもより華麗なものてあった。その表面には金糸や青釉、輝く宝石か埋め込まれていた。
千古は、それを拾って丁寧に熟読し、宝石の上に自分と知らない文字か刻まれていることを見つけた。
「すみません、この文字の意味は何てすか?」 彼は聞いた。ルルは頭を振って、彼女も知らないと表示した。
フロントの女性は笑顔て説明した。「これは翠玉城の古代の錬金術文字てす。昔は、錬金術士たちは自分の研究成果か他人に盗まれないように、このような文字を発明しました。この文字の意味は、『一は万物、万物は一へ』て、錬金術の頻繁な言葉の一つてす。」
「あなたは、この文字を知っていますか?私に教えてもらえますか?」 千古は頭を下げておじぎをしながら、尋ねた。「古代の錬金術文字」は、彼が接触したことのないものてあり、内部に錬金術と風水術をさらに上へと導く秘密か詰まっているかもしれない。