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 飲み始めてからしばらく時間が経ち、ちらほらと他の冒険者が集まり始めた。彼らの話の内容も盗み聞きしてみると、本日の依頼の反省だったり、自分の功績を仲間内に自慢していたりと実に冒険者らしい内容のものだった。これといって役に立ちそうな情報は無いとなと思い、意識をダクエル達の方に戻そうと思うと不意に気になる言葉が耳に入った。


 「どうしたんだ、マジクさん。急に難しい顔しちゃって」


 「いや、さっき後ろにいる冒険者の会話が耳に入ってきてな。何でもこの辺りで最近、賊が出現するようになったとかなんとか…おまけにかなりの腕利きらしいじゃないか」


 「あー、それか。俺も聞いたことがあるわ。何でも冒険者や金持ちの商人は襲うくせに、行商人や単なる町人とかは襲われないってやつね」


 「金持ちが襲われるというのは分かるが、何で冒険者もなんだ?確かにただの町人よりも稼ぎが良いから金を持っているかもしれんが、まがりなりにも戦闘を生業としている人種だろ?そんな危険な相手を狙うなんて…何か理由でもあるんじゃないか?」


 「そう言われりゃそうだな。それに冒険者は襲われるのに、行商人が襲われないってのも確かに気になるわな。何か聞いてないのか、リーダー?」


 「聞いてるっちゃ聞いてるが…一応口止めされてるんだが、まぁ良いか。どうせ耳ざとい連中は知っている情報だからな。実はこの賊、噂じゃ獣人なんじゃないかって話なんだ」


 「何で獣人がそんなことを…ってまさか」


 「普通に考えたら、この都市の奴隷商が獣人の奴隷狩りをすることに対する報復活動だろうな。行商人やただの町人が襲われないのは、奴隷狩りとの関係が無さそうだからだろう」


 「でも、どうして冒険者ギルドでその情報が口止めされるんだ?そこまで分かっているなら、こういった理由で冒険者達に獣人族の賊がいるので気を付けてくださいって、情報の共有をするのが普通じゃないのか?」


 「冒険者ギルドでは亜人とはいえ奴隷狩り、又はその片棒を担ぐような依頼を、正式な依頼として受理することは無い。ただ実際には護衛依頼という名目、もしくは知り合いの商人なんかに直接頼まれて~という具合で仕事を受け負うやつもいるからな」


 「つまり獣人の賊による襲撃を受けているという事を大々的に認めてしまえば、その理由を問われた際に、冒険者ギルドが冒険者達の管理をきちんと出来ていない…つまりギルドの不手際を認めてしまうという事になってしまうのか。だったらそんな奴ら、さっさと処罰しろよってなるけど」


 「数が多くて難しいのと、冒険者ギルドに強い影響力のある商人からも妨害が入るらしい。直接奴隷商と関りが無くても、間接的にはつながっている奴とかも多そうだしな。もしくは単に亜人の奴隷がたくさん欲しいだけなのかもしれんが…碌な理由ではないのは確かだろうな」


 賊という言葉を聞いて、てっきりエリーたちの様なエルフの事なのかと思ったらどうやら犯人は獣人だった。それにしてもこの都市は亜人からの恨みを買い過ぎなんじゃないかと思う。


 つまり獣人たちとも協力することが出来れば、こちらの子供らの救出計画も上手くいく可能性もぐっと上がることだろう。


 都市の外で周辺の地理を確認しているサーチ・スライムに先程聞いた情報を流し、獣人の情報も探索してもらうことにした。


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