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 「次の方どうぞ…っと、冒険者の方ですか。一応危険物の持ち込みがないか、身体検査をさせてもらいます。お連れの方も外装のフードを外して、顔を見せてもらっても大丈夫でしょうか?」


 「ちっ、面倒くせぇ。おい!フードを外して顔を出せ!グズグズするな、このウスノロ!」


 「は、はい。申し訳ございません、ご主人様…」


 「……所持品の確認が終わりました。ミスリス級冒険者のマジク様ですね。それとお連れの方はエルフの…奴隷ですね」


 「この首輪を見たらわかるだろ?その程度の事いちいち確認してんじゃねぇよ、こっちだってそんな暇じゃねぇんだ。まさかこいつの身分証を提示しろなんて言わねぇだろうな?」


「も、勿論です。お手数おかけしました、どうぞお通り下さい」




 エルフの里を出て2日。人目を避けて移動したが、思ったよりも早く目的の都市までたどり着くことが出来た。事前にサーチ・スライムで周辺の地理を調べさせておいた甲斐があったというものだ。


 その後城門を先のようなやり取りで何とか通過し、ゴルドスの知識の中にあった奴隷連れでもあまり目立たないような、そこそこ高価な宿屋に向けて移動する。


 「エルフの奴隷連れだというのに、大した検査をされることもなく思ったよりも簡単に通ることが出来たわね。やっぱり人の町では私たちエルフは物としてしか見られていないという事なのね…」


 「それもあるだろうが、一番の要因はこのミスリル級の位を示す冒険者のタグだろうな」


 「冒険者のタグ?」


 「魔物が人間の住む町を攻めてきた際、先陣を務めるのは基本的にはその町にいる冒険者達なんだ。もちろん町の衛兵も参加するけど、主戦力は常日頃から町の外に出て魔物を狩っている冒険者達が中心になる。だから冒険者は人の町では色々と優遇されているんだ。そしてその中でもミスリル級以上の冒険者というのは単騎で戦況を変えることが出来得る、防衛線においての最重要戦力だ。門兵もわざわざそんな貴重な人材の機嫌を悪くするのも避けたいだろうからな。だからわざとイライラしているように見せて、検問を手早く終わらせるようにしたんだ」


 「なるほどね」


 「それに門兵に見せたカバンはその辺で買ったただのカバンで、中身も大したものは入れてない。本当の貴重品はマジックバッグに入れて、カバンごと俺の体の中に収納しているからバレることは無い。はたから見れば、奴隷を連れたどこにでもいるような少し高慢な上級冒険者だ」


 「道中、ゴソゴソしていたと思ったらそんなことをしていたのね。あらかじめに私に首輪を嵌めるように指示したり、なかなかどうして、ぬかりが無いようね」


 「そう褒めんなって。こっちだって、この作戦の結果に今後の人生…じゃなくてスライム生がかかってるんだ。小さなミスでも極力無くしていかないといけないのさ。そんじゃ、今後の計画を確認するが、とりあえず拠点となる宿を確保して別行動をとる。エリーはすでに街中に潜伏している仲間と連絡を取り、俺は捕まった子供たちの情報収集をする、で問題ないな?」


 「ええ。事前に潜伏している仲間たちが子供たちの情報をすでに入手しているかもしれないから、こちらの方でも確認しておくわ」


 「頼んだ。道中忠告したと思うが、別行動するんだからその顔を隠しているフードは決して外さないよう気を付けてくれ。エルフが街中で単独行動しているのを気づかれたら、たとえそれが奴隷であっても絶対騒ぎになるからな」


 「そんなヘマはしないわ」


会話を終える頃に拠点にする予定の宿に到着する。この数日間で、エリーの話し方が大分フランクになってきた。少しずつではあるが確実に信用されてきているのだろう。この調子で、里の他のエルフとも仲良くしたいものだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーは面白い。 主人公の目的が一貫しててわかりやすいのはやっぱ良いですよね。 [気になる点] 最近ちと台詞が多すぎるのではないかなと。 説明台詞が多すぎて目が滑るというか、メリハリが…
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