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 朝、冒険者ギルドに行き受付にしばらくの間この町を離れることを伝えた。冒険者の最大の利点は基本的には本人の自由を保障してくれるという点にあり、特に理由を聞かれるという事もなかった。


 それとなく戦争の事を聞いてみたが何か知っている風でもなかった。といのも、基本国家間の戦争に冒険者を雇うという事はタブーとされているため、その辺りの情報はあまりギルド内部でもあまり共有されていないからかもしれない。


 ギルド内部にある売店で必要になりそうなものをまとめ買いする。かなりの量になったが以前買っておいた『マジックバッグ』はかなりの容量があり、問題なく収容することが出来た。


 この『マジックバッグ』は両手が不自由なく使えるショルダーバッグの形をしている。見た目の百倍の物が入り、重さを百分の一にしてくれる優れモノ。本来ならミスリル級や金級の冒険者が所持するような高性能な逸品だ。


 銀級の俺からしたらかなり高額であったが、冒険者にしてはあまりお金を使ってこなかったことが幸いしてか何とか買うことが出来た。


 そもそも多くの冒険者のお金の使い道が『飲む』『打つ』『買う』のどれかに当たるのだが、俺の体だとそもそも『飲む』と『買う』には興味を抱くことすら出来ないし、『打つ』にしても長らく商業ギルドの職員をしていたことで博打は基本的に胴元が勝つようになっているという事をいやというほど知っている。負けると分かり切っている勝負に、無駄金を使う気にはなれなかったのだ。


 諸々必要になりそうなものを揃えたので、最後に背負子を購入する。この背負子には荷物を載せるのではなく、眷属を載せて移動するつもりだ。というのもマジックバッグに生物を入れることが出来ないからである。いくら優れた魔道具でも万能ではないという事だ。




 国境に向けて街道を進む。途中まで馬車を利用出来たのは幸運だった。


 スライムを背負子に乗せていたため馬主に断られるかと思っていたが、銀級冒険者のタグを見せると「新しい肥料の開発の為の依頼」という嘘をあっさりと信じてくれた。銀級の冒険者にはそれなりの信頼があることに加えて、仮にスライムが暴れたとしても、銀級冒険者の実力なら周囲に被害なく制圧できるという判断もあったのかもしれない。やはり位を上げていたのは間違いではなかった。


 ただ、馬車も国境に近づくにつれてだんだん運航している便が無くなっていった。戦時中という事もあり軍に馬を徴発されたのかもしれない。その為途中からは歩きになったが全体的に能力が向上しているため、かなりのハイペースで移動することが出来た。


 ウィルバートの町を出て約一週間。野を超え山を越え、各地に眷属を配置していったため思ったよりも時間がかかってしまったが、ようやく目的地にたどり着いた俺を出迎えたのは100体を超える魔物の群れであった。


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