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ジルと16番の進化が無事終了した。


ジルはオーガの上位種であるオーガ・リーダーへ進化した。体格が今までよりもさらに一回り近く大きくなり、額の真ん中に生えていた一本角が、額の両端に一本ずつ、計二本へと増えていた。


ただ片方の角がもう片方の角より短い。恐らく短い方が元から生えていた角であり、もう片方が今回の進化によって新しく生えた角なのだろう。こうして見比べてみることで、ジルが角を折られてしまったということがよく分かった。


ジル自身、もしかしたら進化によって半ほどで折られてしまった角が新しく生え変わるものだと思っていたらしく、そうでなかったことに多少落胆していた様子ではあったが、それ以上に進化できたことに大きな喜びを感じているようであった。


そして問題は16番の方だ。こいつの進化先は俺知識にはない、新しい種のスライムかもしれないということだ。


見た目は俺と同じく普通のスライムとほぼ同じであるが、能力値は俺とは違い普通のスライムと同程度、もしくは多少上回る程度のものしかない。


しかし、特筆すべきはその特殊能力にある。


16番の新しく手に入れた能力、それは生物に寄生してその寄生先の生物、宿主の能力値を上昇させることが出来る反面、16番が宿主の魔力を吸収するという、寄生先との相利共生関係を築くというものであった。その能力にあやかって16番の種族名を『パラサイト・スライム』と呼称しておくことにした。


ジルに16番が新しく獲得した能力のメリットとデメリットを正確に伝え、今後16番との共生関係をどうしていくかと聞いてみると、『強ク成レルナラバ、多少燃費ガ悪クナッテモ問題無イ』とのことであったので、そのまま16番に寄生させてもらうことにした。


今回の件でジルの強さは嫌というほど分かった。進化により更なる成長もしている。この一晩だけで、ジルと獲得経験値が折半されているにもかかわらず、スライムに生まれ変わってから獲得してきた以上の経験値を得ることもできた。このままなし崩し的に今のような協力関係を続けていき、俺に対するより良い協力関係を構築していきたいと思う。


『冒険者達の拠点は残り一か所あるが、今すぐ襲撃に向かうか?それとも今日はもう十分働いたし、休養を取って後日襲撃することにするか?』


『体力モ十分ニ有リ余ッテイルシ、セッカク進化シタノダ。新シク手ニ入レタコノ力ヲ試シタクテ、ウズウズシテイル。最後ノ一カ所モ今スグニ襲撃シタイ』


『分かった。しかしこの最後の拠点だが、場所は判明しているけど時間が足りなかったから周囲に設置してある罠までは解除できていないんだ。だからこれまでの様な不意打ちが出来ないんだけど…まぁ、大丈夫か。今のお前なら多少の罠なら食い破る事ぐらい出来るだろうし、金級冒険者達と正面から戦っても問題なく勝てるだろ?』


『無論ダ。朗報ヲ待ッテイルガイイ』


ニヤリ、と笑うその笑顔を普通の人間が見れば恐怖に打ち震えてしまいそうではあるが、俺からすると頼もしいことこの上なかった。多少の慢心もあるだろうが、今のジルがそう簡単にやられてしまうことはないという信頼感もあるし、ここでやめた方がいいと、水を差すのも悪い気がする。


冒険者ギルドで仕入れた金級冒険者達の情報を渡して、あとは余計な口出しはせず、流れに任せることにしよう。そのあとは…不測の事態に備えて逃走ルートの選定でもしておくか。


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