表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/271

194

 目当ての3馬鹿トリオを捕食出来て満足した気持ちになる。恨み…というほどの恨みは無いが、散々奢らせた挙句に碌に見返りが無かったのだ。だったらせめて、俺の血となり肉となり経験値となることで、その見返りとさせてもらったというわけだ。


 残るは散々俺をいびり倒してくれた現場監督。後は適当に都市内部の設備を破壊して、逃げ惑う住民を適当に間引くつもりでいたが、思ったほど人を見かけない。


 襲撃をかけて、それほど時間は立っていないのですでに都市の外に逃げ出したということは無いだろうが、気になったので『索敵』を使用する。……なるほど、屋外は危険と判断して家の中に閉じこもっているというわけか。


 これは面倒なことになった。住民を殺す為に1軒1軒わざわざ家屋を破壊しなければならないというのは非常に効率が悪い。かといってこのまま見逃せば、生き残った住民が多ければ多いほどこの都市の復興は早まることになるだろう。


 となるとやはり、それなりに数を減らさなければならないのがかなり面倒だ…そうだ、せっかくの機会だ、以前から気になっていたことの検証をすることにしよう。


 幸い…というか、今俺の周りにはこの都市の住民はいない。皆、俺が冒険者を捕食している間に逃げ出したようだ。つまり今現在、俺のことを見ている奴はいないということ。これなら周囲の目を気にすることなく『魔法』を放つことが出来る。


 『ファイヤー・ボール』を人の隠れている民家に向けて次々と発動する。木造建築であるためよく燃える。風も強いとは言えないがそれなりに吹いている。つまり消火する者がいなければ、このまま自然と燃え広がるという事だ。


 以前から気になっていて事…それは、俺が放った『ファイヤー・ボール』が直撃し殺した相手からは経験値を獲得できる。だが俺が放った『ファイヤー・ボール』によって生じた炎が他の場所に引火し、その引火した炎によって焼け死んだ人間から経験値を獲得できるのか?というものだ。


 他にも、例えば川の上流に『ポイズン・スライム』の毒を流し、その毒入りの水を摂取した人間が死んだときにも経験値は入手できるのかとか、実は気になっていることが山積している。


 今までも一応、街などを襲撃した時も似たような状況はあったが、確認するだけの余裕は無かったのだ。今回その検証が出来る…そう思えば多少面倒な作業も楽しい気持ちで臨むことが出来るというものだ。


 出火の原因を調べられたとしても、まさか『ジャイアント・フロッグ』が魔法を放ったとは思うまい。状況を確認しようとした住民が光源を確保するために火をおこし、それが誤って引火してしまったと判断されるのが普通だろう。あくまで目撃者がいなければ、だろうがな。


 そうでなければ魔法を放つことのできるユニークモンスター『ジャイアント・フロッグ』が周辺の冒険者ギルドで最優先の討伐対象になったかもしれない。素の能力が金級相当であり魔法まで放つことが出来るとなれば最低でもミスリル級の冒険者が派遣されるだろう。


 そんなことを考えながら、目的地である現場監督の家に向かう。道中逃げ惑う住民を適当に捕食しながらの移動であったので遅々としたものであったが、どうやら現場監督は都市の外に逃げるのではなく家の中に閉じこもる道を選んでいたのだろう。動く気配が無いので、のんびりと移動することが出来た。




 ようやく着いた。建物ごと押しつぶすのが一番楽な殺し方ではあるが、簡単に殺してしまうというのは少々もったいない。舌を使って扉を壊し、中にいる現場監督をとっ捕まえる。


 …こいつめちゃくちゃ酒臭い。どうやらひどい酩酊状態にあるようで、自分に置かれた状況を正しく理解していないらしい。抵抗らしい抵抗のないまま簡単に捕まえることが出来た。


 この状態のまま殺すのは容易いが、こいつに散々苦しめられたことを考えると死に対する恐怖を感じることなく殺してしまうのはなんか嫌だ、負けた気がする。


 そう言ったわけで、とりあえず口の中に放り込んで体を徐々に徐々に溶かして吸収することにした。すぐに口の中から「熱い」とか「助けろ!」とか聞こえてくる。良かった、思ったより簡単に意識が覚醒したようだ。


 もうしばらくはこの状態でいよう。俺は数カ月こいつに苦しめられたのだ、最低でも数時間ぐらいはこの状態で苦しめさせる権利ぐらいはあると思う。(主観)


 現場監督の悲痛な叫びを聞きながら、最後の目的地となるこの都市の領主の館にゆっくりと移動する。トップを殺しておけば、その分だけこの都市の復興が遅くなるだろうからな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ