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 しばらくすると辺りが暗くなり始めた。夜目が効くとはいえ夜の森が危険なことには変わりない。レオンも俺も万全ではないので、今日は大人しくこの場所で野営をすることにした。


 「そういえば、ゼロさん。マリスレイブから追手は来ていないんですか?」


 「ああ、どうやらそのようだ。ゼノンは冒険者としては超一流だからな、それなりに信用されているんだろう。だから、奴が何らかの情報を持ち帰るまでは追手を出す気は無いのかもしれない。ゼノンより先に追撃に出た奴らは1人も生きて返していないからな、下手に冒険者を派遣するのは危険だと判断しているのだろう」


 「だったら少しは安心して夜を明かせそうですね。魔物が出るかもしれませんが、この辺りの魔物は作戦開始前に粗方倒してしまいましたし」


 解放した奴隷に余計な体力を消費させないため、そして俺の経験値獲得の為に事前に周辺の魔物を狩りまくっていたのだ。他所から魔物が来る可能性もあるので解放した奴隷たちには護衛は必要ではあるが、エルフの警備隊も護送には協力してもらうことが出来たので今の俺達よりも彼らの方が安全だと言えるだろう。


 しばらくの間カリンと会話をしていると、寝息が聞こえ始めた。レオンだ。碌な野営用の道具が無いので地面の上に雑魚寝をするような形であり、睡眠をとるのにあまり適していない環境だ。加えて俺達の会話という雑音がありながらぐっすり眠っている。余程疲れていたんだろう。


 「ゼロさんもお休みになられてはどうですか?ゼノンとの戦闘でお疲れでしょう?」


 「いや、俺はあまり眠くな…うん、そうだな。お言葉に甘えて、俺も休ませてもらうことにしよう。身体構造的には眠る必要は無いが、精神的にはかなり疲れたからな。交代はどうする?」


 「俺が夜通し起きていますよ。そのぐらいしないと、命がけで戦ったレオンやゼロさんに申し訳ありませんからね」


 「それはありがたいが…大丈夫なのか?」


 「訓練では2・3日眠らないなんてのもありますから。それに俺達の移動速度かすれば、明日中に護送中の獣人達に合流できるでしょうからね。そうすれば、明日の夜はぐっすり眠れるでしょうから問題ないです」


 「そうか、だったら頼む。無理そうだったら遠慮なく起こしてくれ」


 そう言って、視界を絶ち簡易的な休眠モードに入る。聴覚を絶たないのは緊急時に対応するためだ。多分、何もないとは思うが用心に越したことはない。


 そう思っていると段々と意識が遠くなっていく。ゼノンとの戦いが命がけのものであったためか、知らず知らずのうちに精神的にも肉体的にもかなり疲労していたようだ。俺はいつの間にか意識を手放していた。





 意識を覚醒させると、カリンの姿が無くレオンが火で焼いた野兎の様なものを食していた。かなり美味そうに食べている。昨夜は俺が用意した保存と栄養補給のみを追求した保存食を眉間にしわを寄せながら食べていた、その酷い味が今食べているウサギの味をより引き立てているのだろう。


 「起きたか。随分とぐっすりと寝ていたようだが」


 「おかげさまでな。カリンはどうした?」


 「狩りに行っている」


 食べかけの野兎を俺に見せながらそう答える。見れば他にも何羽か焼かれており、「お前も食べるか?」と聞かれたが、動物はあまり魔力を宿していないので遠慮しておいた。


 「体調はどうだ?」


 「大分よくなった。昨日の戦いでかなり血を失ったからな、今こうして食って補給しているところだ。カリンには助けられている。お前こそどうなんだ?」


 「俺はもう万全だな。そもそも俺の体は傷を負っても核さえ無事なら生命活動に影響はない。魔力を消費すれば回復するまで多少不調だったろうが、そちらは眷属からパスを通じて寝ている間に供給してもらったからな」


 「…何というか、お前をスライムという種族に分類していいのか分からなくなってくるな」


 雑談をしているとカリンが大きな鹿を背負って戻ってきた。どうやらこの辺りの魔物の数が少なくなったためか、その捕食対象である動物の数が増えつつあるようだった。まぁ、それも今のうちだろう。時間が経てばそれを目当てに他所から魔物が集まってきて自然と元の状態に戻るはずだ。


 流石のレオンもお腹がいっぱいだったらしく、俺のマジックバッグに鹿を収納し解放軍と合流するため移動することにした。体調が万全ではないがレオンの基礎能力は高い。移動速度は速く半日ほど移動していると無事に先を行っていたメンバーたちと合流することが出来た。


 その後は体力に余裕のあるメンバーに護衛され、無事にエルフの里にたどり着くことが出来た。これで一安心、今夜は眷属達と精霊樹の実でパーティーだ!


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