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 闇夜に紛れて都市内の行政施設などの重要な建物や、兵士などが駐屯している建物に錬金油を大量に流し込む。錬金油はエルフの里で作られたものであり、本来なら魔道具の作成に必要な貴重な原料の1つであるが、火をつけると瞬時に燃え広がるという特性を持つため今回の作戦に用いることを決めていた。


 魔道具の原料になるということから当然、人の都市で買おうものならかなり高額になる品物であるため単に火を放つためという使い方は少々もったいない様な気もするが、エルフ達が快く用意してくれたためありがたく使わせてもらうことにした。


 『こちら第2部隊の第5班、作戦の準備が整いました。いつでもいけます』


 『了解。追って指示があるまで、その場で待機してくれ』


 今回の作戦に当たり、部隊を大きく5つに分けた。第1部隊は兵士たちの駐屯する建物に火を放ち現場を混乱させる部隊。第2部隊は重要な施設を破壊する、警備兵たちの目を引くための陽動の為の部隊。第3部隊は奴隷商館を襲撃し、そこに捕らわれた亜人の奴隷を解放する部隊。第4部隊はすでに奴隷商から他の商人や金持ちに売却されてしまった奴隷を解放に行く部隊。そして第5部隊は、まずは城門を襲撃し退路の確保、その後騒ぎを聞きつけて事態の収束に来るであろう冒険者の足止めをする部隊だ。


 先ほど念話の入った第2部隊の第5班と言うのは、行政施設に火を放つ予定の部隊の1つだ。重要な書類が保管されているため日頃から警備の目が他の施設より多い傾向にある施設である。そのため同じ部隊の他の班よりも、侵入の為に少しばかり時間を要してしまったようだ。


 ほどなくしてすべての班から準備が完了したと念話が入る。ついにこの時が来た。


 『総員、作戦を開始せよ!』


 都市内部にいるすべての眷属に念話を送った。ほんのわずかな間を置いて各地から火の手が上がったことを眷属の目を通して確認。それを見届け、レオン率いる俺達第5部隊は城門を襲撃する。


 城壁というものは本来外的に対して備えるものであり、その反面内側からの攻撃に対しては脆弱である。加えて、城門に詰めている兵士たちは突然燃え始めた兵士たちの詰め所と、突然の襲撃の到来に混乱し、俺達の攻撃に対応しきれず次々とその命を落としていく。ほどなくして目に見える範囲に生きている兵士はいなくなった。


 「よし、1班と2班はこの場にて退路を確保。3班以降は冒険者達が多く宿泊している区画と、商業区画や高級住宅街との間にある通路に身を隠し、冒険者が通ったら各々のタイミングで奇襲をかけてくれ」


 その命令を聞くと、すぐに各班のリーダーに従って目的地へと移動する解放軍のメンバー達。ちなみに俺はレオンとロルフの3名だけで班を組んでいる。


 他の班と比べ圧倒的に少ない構成人数ではあるが、冒険者で言うところの金級以上の実力を持つロルフに、ミスリル級を圧倒する力を持つ俺。レオンに至ってはアダマンタイト級に近い身体能力を持っている。つまり単純な戦闘力の面から見ればむしろ他の班を上回っていると言える。


 そんな俺達が何故班を組むことになったのかと言うと、眷属に念話を送る際、ボスである俺が眷属に念話を送る方が、眷属が眷属に送る念話より圧倒的に速いからである。つまりリーダーであるレオンの指示を全軍に伝える速さを重視した結果であった。


 その為各班の戦力に多少バラつきが出てしまったが、あえてロルフと言う索敵に特化した能力を持つ人材を俺たちの班に加えることで、最も激戦になると予想される、上位の冒険者が多く宿泊している宿屋に近い大通りの1つを受け持つことで、戦力のバランスをとることにしたのだ。


 俺達が現場に到着した頃は、まだこの冒険者ギルドに近い区域まで騒ぎが起きていないようではあった。だが次第に、遠くの方で人々の争う音などが聞こえてくるようになり始めた。少しずつではあるが確実に騒ぎが大きくなっている。


 「そろそろ冒険者も騒ぎを聞きつけてこの大通りに出てくるだろう。準備はいいか?」


 「無論だ。そうだ、ゼロ。各地の作戦の進行状況はどうなっている?」


 「連絡がないってことは順調に進んでいる証拠だと思う。便りが無いのは元気な証拠、だからな。ただ詳しい状況も知りたいしな…ちょっと待ってくれ、眷属と念話してみる」


 眷属達に意識を集中する。本格的な戦闘に突入しているのは第1部隊と第3部隊か…余裕のありそうな奴に念話を送ってみるか。


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