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 ロルフと別れてから一週間がたった。彼に同行している眷属から定期的に連絡が来ているが、義勇軍の拠点となっていた場所を中心に回っていたもののいまだ義勇軍との合流が叶わないらしく、こちらとしても悶々とした日々が続いていた。


 ただ待ち続けるというのも性に合わないので、冒険者ギルドで依頼を受領する傍ら獣人達の情報を入手しようと方々にそれとなく聞いて回ったが、これといった情報は手に入らず仕舞いであり、逸る気持ちを抑え込むが思いのほか大変であった。


 「どうしたの?そんなにそわそわしちゃって」


 「ロルフがまだ義勇軍の仲間たちと合流出来ていないからな、仕方ないだろ。義勇軍を討伐したという情報は聞かないから大丈夫だとは思うけど、あまり落ち着けないんだよな」


 「貴方が焦ったって仕方無いでしょ。それに、ほら、果報は寝て待てって言うじゃない?少しは落ち着きなさいよ」


 「それもそうだな、こういう時は『精霊樹』の実でも食べて落ち着こう…ってもう在庫が無いんだった。はぁ、余計落ち込む…」


 「まぁ、あれだけばかすか食べてちゃすぐに無くなるわよ。だったら気分転換に、里まで取りに行ってきたら?どうせ今は暇なんでしょ?」


 「暇…ではないと思うけど、差しあたってしなければならないことがあるわけでも無いことには変わりないか。よし、それじゃ俺はいったん俺は里に戻ることにするよ。ローゼリア様に何か伝言とかあるなら聞いておくが?」


 「特にないわね。そもそも伝言があるなら、貴方が里にいる眷属といつでも念話で情報共有できるのは知っているから、必要な時に言っていたわよ」


 「はは、違いない。善は急げ、だ。早速出発することにするよ。もし緊急に連絡をしなければいけない時が来たら、東門を出て100メートルほど前進してくれ。その辺りに眷属の一体を配置しておくから、そいつに声をかけてくれ」


 「了解。緊急で連絡しなければならない状況にならないことに、越したことはないけどね」


 宿代は1週間分を前払いですでに支払い済みであり、余程のことでもなければ期日までに戻ってくることは可能だろう。念のためエリーに追加の宿泊代を渡し宿を出て、最寄りの城門から都市の外に出る。


 すると自分でも驚くぐらい清々しい気持ちになった。どうやら知らず知らずのうちに、人間の都市という周りが敵だらけであるという環境にストレスを感じていたのかもしれない。そこから離れることが出来るという解放感がとても心地よかったのだ。


 とはいえ未だ城門が近く、人の気配が全くないというわけでもない。城壁の外という魔物がはびこる危険な場所で長い時間感慨にふけっていては、不審がられ人目を集めるかもしれない。下手に注目を浴びないようにそそくさと里に向けて移動を始めた。






 1日かけてエルフの隠れ里近くまで戻ってくることが出来た。行きとは違い周辺の地理に詳しいエリーの道案内は無かったが、自分の中にあるパスを意識すれば大体の眷属の位置は察知できるので、里にいる眷属のそれを頼りにすれば道に迷うということもなかった。


 周囲を軽く索敵すると、やはりまだエルフを捕縛しようとする商人や冒険者らしき者達の気配を感知することが出来た。せっかくなので、ここでも情報収集することにした。何、不審がられたとしても始末すればいいだけの話だ。なにせここはエルフ達のテリトリーだ、証拠を隠す手段などいくらでもあるはずだ。


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