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 奴隷の購入自体は簡単に終わった。


 索敵能力があり、自衛するだけの戦闘力がありながらも、仮に死亡しても心が痛まない亜人の奴隷がいいと注文したところ、驚くほど簡単にロルフが紹介されたのだ。


 ただやはりと言うべきか、流石に少々値が張った。もちろんエルフほどではないが、人間よりも高い身体能力を持つ獣人の奴隷は肉体労働はもちろん、獣人特有の何かしらの特化した能力があるため、この都市のあらゆる場所で引く手あまたなのだそうだ。


 にもかかわらず今日までロルフが残っていたのは、ロルフが捕まってから日が浅かったことに加えて、少しお値段がお高いことが原因であったそうだ。ロルフにとっても、俺にとっても運が良かった。


 「ではこちらが売買契約書になります。ご確認の上ご査収いただきたく存じます」


 「……この隷属の首輪の効果について、もう少し詳しく説明してくれ」


 「分かりました。隷属の首輪は近年この都市で開発された魔道具でありまして、お客様と契約時にお渡しするこの支配者の指輪と常にリンクしており、この指輪に魔力を流すことにより、隷属の首輪にあらかじめ組み込まれている懲罰のための電撃が流れる仕組みになっております」


 「懲罰の電撃を発動させるための原動力は何なんだ?外部から補充とかしなくていいのか?」


 「それは隷属の首輪を装着されている、奴隷から吸収されている魔力になります」


 「つまり犯罪者に装着される首輪を発展、改良し、主人の任意のタイミングで罰を与えることが出来るようになった魔道具という事か」


 「その通りでございます。またこの指輪は複数の隷属の首輪とリンクすることが出来ますので、大量に奴隷を保有している方でも装着する指輪は一つでも大丈夫なのです」


 「この指輪に他に能力は無いのか?」


 「まずは、リンクしてある指輪と隷属の首輪は一定以上の距離を離れることが出来ません。これは奴隷の逃亡を阻止するための予防策です。次に支配者の指輪を使えばリンクしている隷属の首輪を外すことが出来ます。そのため当然と言えば当然の処置なのですが、隷属の首輪を嵌められた奴隷はリンクしてある支配者の指輪に触れると懲罰用の電撃が流れる仕組みになっています。奴隷に指輪を奪われてしまえば大変なことになりますからね。それと、仮にこの指輪の装備者が死亡した場合、リンクしている隷属の首輪は、嵌められた奴隷の魔力を生存可能なぎりぎりラインまで吸収します。それは次の主人が決まるまでに懲罰する主人がいないと思い、奴隷が好き勝手な行いをする事を防ぐための措置です」


 「そうか。ちなみに支配者の指輪以外で隷属の首輪を外す方法はあるのか?」


 「奴隷をご購入された店には、基本的には販売した隷属の首輪のマスターキーもございますので、どうしても外したいという場合にはご利用いただけるようになっております。まぁ、せっかく買われた奴隷を解放するという奇特な方はめったにいらっしゃらないので、これまで利用された方はおられませんが」


 「だろうな、俺も少し気になったから聞いてみただけだ。高い金出してせっかく買ったんだ、解放するつもりは毛頭ない。そもそもそんなことをするぐらいなら、必要な時に必要な数の冒険者を雇った方が安上がりだろうしな」


 「後は…奴隷が死んだ場合は自然と外れるようになっております。その為その外れた隷属の首輪を当商館にお持ちいただければ、適正価格で買い戻させていただきます」


 「その時は頼むとしよう。ふむ、そろそろ時間だ。おい!いくぞ、そこの薄汚い獣人!ぐずぐずするな、罰せられたいのか!」


 「またのご来店をお待ちしております、フィリップ様」






 「いや~、とりあえず僕を解放してくれるって話だったけど、まさか昨日の今日でとは思ってもいなかったよ。ありがとう、助かったよ」


 「正体を明かしていないのに、すぐに俺だと分かったのか。やっぱ狼系の獣人の嗅覚はすごいものだな。それはおいといて、一応、人目のない路地裏に移動するぞ。誰に見られているかわからんからな。話はそれからだ」


 「了解。念のため聞いておくけど、そこの外装を羽織っている見るからに怪しい人は、信頼できる協力者と判断してもいいんだよね?」

 

 「その辺りのことも含めて、後で話そう。まぁ、この人物が人間に加担しないというのは確実だから、安心してくれていいぞ」


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