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 「…というわけで、奴隷として捕らわれている獣人と協力を取り付けてきたわけだ」


 「いやいや、子供たちの情報はどうしたのよ?それに現在捕らわれてしまっている獣人と協力体制が出来たとしても、ほとんど意味が無いでしょ」


 「ロルフが巡回兵たちの話から聞いた情報だと、どうやらエルフの子供は奴隷商の商会長の居住区域に捕らわれているそうなんだ。そこは商会長の生活区域だけあって他の場所よりも警備が厳重らしい。どうやらコルネリア商会の商会長は、貴重品は自分の目の届く範囲に置いておきたい性格なんだろうな」


 「それなら騒ぎを起こさずに子供たちの様子を探るのは難しいかもしれないわね。それで、ロルフという獣人と協力体制を整えた意味はあったのかしら?私たちが子供を助けるための騒ぎを起こすまでに、売り払われてしまうかもしれないのよ?」


 「もちろん助け出すに決まっているじゃないか。義勇軍とやらとも情報を共有しなければいけないからね」


 「彼を救い出す、何か策でもあるの?子供たちを助けるまで、大きな事件とかは起こさない方針なんでしょ?」


 「もちろん。騒ぎを起こすことなく奴隷を手に入れる方法…それはとてもシンプルなものさ」






 「コルネリア商会へようこそ、お客様。失礼ですが紹介状などはお持ちでしょうか?」


 「ない。何か問題でもあるのか?」


 「いえ、奴隷のご購入自体は問題なく行うことが出来ますが、購入時に契約金が多少割高になってしまうのと、分割払いなどが出来なくなってしまいます」


 「なら、問題ないな。金ならある、さっさと中に案内しろ」


 「はい、かしこまりました。失礼ですが、お客様。お名前をお伺いさせてもらってもよろしいでしょうか?」


 「俺の名はフィリップだ。さっさと案内しろ、俺は待たされるのが嫌いだ」




 奴隷商というのはやはりかなり儲かるのだろう。店の外観からも分かっていたが案内された部屋…恐らくは商談用の部屋には見事な調度品が並んでおり、内装にもかなり金が使われているようだ。


 騒ぎを起こさずに奴隷を手に入れる方法、つまりは普通に店先で購入することだ。幸い軍資金にはかなりの余裕がある。無駄な出費はするつもりは無いが、これは十分すぎるほどに必要経費の範疇だろう。今はかつて同化した貴族に擬態し、顔のパーツを少し弄って金持ちで偉そうな人間に化けている。


 「ねぇ、どうして私も同行させたのかしら?」


 「奴隷を一括で買えるような金持ちが、護衛もなしに街中を歩くってのは違和感があるからな。だからこうして護衛役として同行してもらった。それと、その外装とフードは絶対に外すなよ。エルフだとバレたら絶対に面倒ごとになる」


 「そんなこと言われなくても分かっているわよ。それで、その義勇軍というのはどれほどの規模があるの?戦力として期待していいのかしら?」


 「見た感じロルフの強さは冒険者で言うところの金級からミスリル級の間ぐらいだったかな。ただ、ロルフが言うには義勇軍の中には自分よりも強い奴が何人もいるらしい。ロルフは戦闘面ではなく嗅覚を生かした索敵面で義勇軍の中で活躍していたらしい」


 「なるほどね、だから貴方の正体にも気が付いたという事なのね」


 「正体に気が付いたというよりは、ただものではないというぼんやりとした感覚だったらしい。それでも、今まで俺の擬態に違和感を感じた人はいなかったからな。貴重な意見になったよ。っと、人が近づいきているな。話はここまでにしよう」


 そこからほどなくして商店の店員らしき人が部屋に入ってきた。今のところやましいことはしていないが、少し緊張している。しかし今の俺は偉そうな金持ちという設定の人間だ。怪しまれないよう、尊大な態度の演技を心がけよう。


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