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2018年7月8日(日) 氷の中で眠る油揚げ

7月8日(日)


 今日は、冷凍庫の整理をしました。


 冷凍庫といえは、日本では冷蔵庫の中に搭載された1つの引き出しのイメージがあるが、我が家の冷凍庫は、いわゆる独立した大型業務冷凍庫。


 インド国内で入手不可能な日本食材を冷凍で輸入し、それを保存するため、このサイズが必要なのです。


 おそらく、満タンに冷凍食品を詰め込めば、大人1年分の食料は備蓄できるレベルである。


 しかし、前任の神田先輩のサボり癖がゆえに、冷凍庫の中は長年に渡って霜が放置され、その結果、スペースの半分以上が氷の塊で埋め尽くされているのです。


 永久凍土の如くカチンコチンになった氷塊を除去したいという願望を、この冷凍庫の中を見た者であれば、誰しも抱くだろう。


 というのも、見えるんです。


 氷泡によって透明度が低くなった氷塊の奥底に閉じ込められた、茶色い物体が。


 それと、その隣にある、なんだかよく分からない、鈍く光る物体も。


 ずーっと気になっていたのだが、今日は、その疑問を解決することにした。



 まず、冷凍食材を別の冷凍庫(日本と同様に、冷蔵庫の中にあるもの)に移動させる。

 

 入りきらないものは、冷蔵庫に一時退避をさせる。


 そして、冷凍庫の電源を消し、氷塊に向かって、湯沸しポット満タンのお湯を一気に流し込む。


 すると、ミシミシ、ピキピキと凄まじい音を放ちながら、マイナス20℃の氷塊と100℃のお湯が、激しくぶつかり合う。


 湯気が一気に溢れ出し、私の視界を奪う。


 だが、しばらくすると、足元からぴちゃぴちゃと音が聞こえてきたのです。


 当たり前だが、今流したポットのお湯が常温の水となり、冷凍庫の排水口から流れ出してきたのです。


 急いで床に広がる水をモップで拭き取り、バケツの中にギュッと絞る。


 そして、ワクワクしながら冷凍庫の中を覗くも、ヒマラヤの永久凍土如く長年の年月をかけて形成された氷塊は、そんなに甘くはなかった。


 多少、表面部分にくぼみを作ることはできたが、油揚げは依然として、冷凍人間の如く氷塊の奥底で眠り続けている。


 しかも、先ほど流したばかりのポットのお湯の一部が、早速、氷塊の一部に取り込まれようとしているではありませんか。


 2ℓの湯沸しポットでは、戦えない!


 作戦変更を余儀なくされた私は、家中にある鍋という鍋を引っ張り出し、キッチンに4つあるガスコンロをフル稼働させて大量のお湯を生成し、それらを一気に氷塊に浴びせることにした。


 お湯の合計量は、40ℓ以上あると思う。


 たかが油揚げ相手に、ここまで容赦ない攻撃は不要かと思いもしたが、そうこうしているうちに、氷塊は着々と復活している。


 情けは無用。


 熱湯で満たされた4つの鍋を慎重に冷凍庫まで運び、次々と氷塊に向けて砲撃する。


 立ち込める、夥しい水蒸気。


 まるで、我が家に水蒸気爆弾を落とされたようだ。


 ベランダを開けて蒸気を外へ逃がし、大量に流れ出る排水口からの水をモップで拭いては、バケツにギュッと絞る、を繰り返す。



 ようやく長い戦いが終わり、冷凍庫の中の氷塊は消え去った。

 

 勝利を収めた瞬間である。


 そして、私の手元には、以下2点の戦利品が残された。


・油揚げ


・銀のフォーク


 ちなみに、油揚げは、2016年に消費期限が切れてました。 

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。



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