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2018年5月30日(水) 四面楚歌

5月30日(水)


 今日は、岩城支社長と一緒に、グルガオンで顧客とミーティングします。


 実は、これが岩城支社長と初めて一緒に参加するミーティングであり、当然ながら時間に遅れるわけにはゆかない。


 岩城支社長とは、現地集合することになっている。


 家からグルガオンまでは車で1時間もあれば到着できるが、今日は余裕を持って、1時間半前に家を出発する。


 当初、車は順調に進んでいたが、グルガオンまであと30分というところで、酷い渋滞に巻き込まれてしまった。


 うんともすんとも動かない。


 やばい。


 待ち合わせに間に合わないかも。


 しかも、昨日飲みすぎたせいで、お腹がキュルキュルと音を立て、トイレを督促してくる。


 パーキングエリアや公衆トイレの類はインドではほぼ見かけないし、そもそも、車がさっきから1㎝ も動いてないんです。


 まさに、四面楚歌。


 冷や汗が出てくる。


 でも、ここは、まず岩城支社長に連絡するしかない。


「岩城支社長。すみません。だいぶ余裕を持って家を出たのですが、酷い渋滞に巻き込まれ、大幅に遅刻しそうです」


「そうか。たぶん、ミーティング間に合わないから、オフィスに戻るといいよ。仕方ないよ。これがインドってもんだ。どうだ。身に沁みるだろう?」

 

 心の底から、沁みております! 


 お腹にも、腹痛が沁み渡っております!


 というわけで、ミーティングをキャンセルし、ドライバーのシンに急いでオフィスに戻るよう告げる。


 オフィスへ戻る反対車線は嘘のようにガラ空きで、時速120㎞ でガタガタ道路を吹っ飛ばす。


 車は大きく左右に揺れ、お腹へ襲いかかってくる刺激の波に、私の心も大きく揺れ動く。


 冷や汗が一段と流れる。


 天を仰ぐしかない。


「そういえば、カバンの中にビニール袋が入ってなかったっけ……」 


 ダメ! 


 負けてはダメ! 


 こらえるんだ!


 何度も自分で自分を鼓舞しつつ、なんとか無事に、なにも漏らさずにオフィスに舞い戻ることができました。

 


 だが、下痢はなかなか収まらず、加えて、身体がだるくて、なんだか熱っぽい。


 この感じ、昨年の夏にパリでフランス版牛肉のユッケのタルタルを食べた時に発症した食中毒と似ている。


 そういえば、昨日イタリア料理店のアマルフィでも、生ツナのブルスケッタをバクバク食べまくった。


 さては、そのツナが原因か?



 夕方になっても症状は改善しなかった。


 なので、今日は定時に帰宅し、ディナーも食べずにベッドで寝ております。


 一体、原因はなんだろう。

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。



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