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2022年3月22日(火) アルビンのテンションがとても高い理由

3月22日(火)


 昨年末、新たに当社チェンナイ支店メンバーに加わってくれたローカルインド人スタッフ アルビン。


 昨年12月に行った歓迎会の席上では、「彼女もいないし、結婚する予定もないし、しばらくは両親と同居する予定です」と言っていた。


 しかし、今朝そのアルビンから、「6月に結婚することになりました」との報告を受けた。


 インドあるあるの、両親によるお見合い結婚。


「彼女は、性格も良いし、話も合うんです。そして、結婚の決め手となったのは、星座の相性が抜群に合うことなんです」


 嬉しそうに語るアルビン。


 ヒンズー教に生きる人にとっての結婚とは、輪廻転生でたまたま現世に生きる者同士が、より高いステージでの輪廻転生を目指して契約するような感覚なのだろう。


 結婚が決まったということで、アルビンのテンションがとても高い。


 それはごく自然なことだが、何だか新婚初夜のことを今から想像し、テンションが高止まりしているように見えてしまうのは気のせいだろうか。


 しきりに席を立ったり座ったりしているのは、下半身のテンションも高くなっている証拠ではないだろうか。


 そんな アルビンの結婚式は、ブラフマーの加護の元で行われる。


 ブラフマーは「宇宙の根源」、サンスクリット語で「力」を意味する。


 その絶対なる神の前で粗相することは決して許されないことから、結婚披露宴(インドでは結婚式の前日に披露宴が行われます)でアルコールは一切提供されない。


 そして、北インドの結婚式は予定時間から2時間遅れで開始するのが定番だが、南インドでは定時、遅れてもせいぜい30分遅れで式が始まる。


 これもインド南北における文化の違いと言えよう。

 


 仕事を終えると、何だか無性にイカの刺身が食べたくなった。


 チェンナイでイカの刺身といえば、日本料理店の大山だが、私がここに来て初めてイカの刺身に唸らされたのは、日本韓国料理店ニューソウルのイカソーメンである。


 イカソーメンに添えられるつゆの味が薄過ぎるので、醤油を別にもらい、イカ刺身風に頂くのが私流。


 約1年ぶりに訪れるニューソウルは、昨今開店した日本料理店のニッポンや韓国料理店のアエセオのあおりを受け、ほぼ貸し切り状態だった。


 だが、その分、キングフィッシャービールがとてもキンキンに冷えていた。


 ビールで一息吐いた後、早速イカソーメンをオーダー。


 しかし、残念ながら在庫がなくて提供できないというのです。


 えー! 


 ショックを隠し切れない私に、店主が優しく説明してくれた。


「最近、インド洋やベンガル湾で、イカがめっきり獲れなくなっているんですよ」


 以前、日本でもイカが全く獲れなくなって価格が急騰した時があったが、まさに同様の事態がインドで起きているのです。


 地球温暖化の影響でしょう。


 全く、困ったものです。


 仕方がないので、代わりにマグロのたたきをつまみにする。


 ビールを数本空け、マグロも悪くないなと思っていたところ、店主が「もし良かったら」と、イカソーメンのお詫びにピリ辛イカフライを差し入れしてくれたのです。


 なんという気遣い。


 代わりに、チャミスルを追加でがぶ飲みし、帰り際には、レジ横で売っている(おそらく売れ残る可能性大の)パンを全部購入。


 合計金額は、なんと9,800ルピー※!(※1ルピー≒1.5円)


 気遣いには、感謝で応えないとね。


 でも、この大量のパン。


 どうしよう……


 パンをエサに、イカを釣れないかな。

この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


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