表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/57

第三章五節

 街道沿いには、いくつもの宿場の様な村がある。

 簡素な造りの宿屋や商店、そして酒場と旅人に必要な最低限の設備と、そこを守る兵士用の宿舎と住人の住居がある。

 普段は旅をする商人や冒険者などで賑わっているが今は紅月の拠点となっている。

 占領された宿場は、紅月の補給物資が集められ、そこから各軍へと送られる。

 そのために守りは厚く常に三百人からの兵士がつめているのだった。


「止まれ!」


 補給拠点の門の前、見張りの兵士が近づいてくる二人組に強い口調で叫ぶ。

 

「何者だ!所属を言え。」


 ここに集まる物資は、厳密に管理され、出入りする物資や人もいつ来るか何人いるかと言った連絡が事前に報告されていた。

 今日は誰も来ないと言うのが分かっている門番は警戒を強めて目の前にいる二人を見る。

 長身の男性は青黒いロングクロークを着ている。もう一人は女性とわかるわずかな胸のふくらみと男性と同じクロークのコートただ腰下までしかなく、足の素肌が出ている。

 体格から二人の性別は確認できたが、顔は目元まで隠れたフードに口が隠れほどのハイネックとなっているため確認できない。


「ここは、紅月の陣地だ。それ以上近づけば敵とみなし拘束する。」


 と言って近ずく兵士は男の方へ手を伸ばした瞬間、意識を手放したのだった。


「貴さ!!」


 近くに居たもう一人の兵士も、小柄の女性が放つ拳で同じく意識を失い地面に倒れた。


「さて、お仕事を始めようか!」


「了解。」


 二人は、駆けだすと、陣地内で様子を見ていた兵士が鐘を鳴らす。


「敵襲!!」


 カンカンカン!と鉄の板を叩き拠点に居る兵士達に知らせると、武器を取って向かってくる。


「正門前だ!」


「数は!ここを襲えるほどの敵が居たのか!」


「早く!隊列を組め!」


 声があちこちから聞こえる。それを男の方、ヴァンは冷静に辺りを見回す。

 十字の道の両脇にいくつもの建物が並ぶ、その中央の道には兵士が並んでこちらに相対していた。


「数は、、三百人以上ってところか。」


「ヴァン、どう攻めるの?」


 隣に立つ小柄な女性、ファナは聞く。


「もちろん全部ぶっ飛ばす。だが殺さない程度に加減してくれ。ただし再起には時間がかかるようにしてくれ。」


「例えば?」


「う~ん、骨折とかかな。特に脚なんかは治っても再び戦おうと思ってもなかなかできないからな。」


「了解!」


「良し!敵も向ってきたし行くぞ!」


 目の前には縦と槍を持った兵士が向かってくる。

 それに向かい、ファナは近くに会った馬車を片手で持ち上げる。

 勢いをつけて向かってきた兵士達は、小柄な人物が大きなものを持ち上げると言う光景に驚いて足が止まると、ファナは全力でその足の止まった兵士めがけて投げつけた。


「ぼ!防御!!」

 

「散開しろ!さん、、、!!」


「うわああああ!」


 馬車の直撃を受けて兵士が吹き飛び次々に取後続をなぎ倒す。

 そこへ俺達は飛び込むと、近くの一人へと拳を振う。


「な!ぐあああ!」


「た!体制を、、、!」


 混乱する敵陣の中に飛び込んだ俺達は次々に敵兵士を殴る蹴るで倒していく。


「この!」


 兵士の振り下ろす剣を俺は手でつかみ取る。


「な!」


 いきなり掴まれたことに驚いている兵士を無視し力を込めるとパッキン!と砕け散る。その腕は流線型の蒼い鎧の様になっている。


「フッ!」


 空いた敵の胴にこぶしを入れ昏睡させた後、再び俺は襲い掛かってくる敵に対峙する。

 俺の今の両手はあの帝都の城内で使っていた力だった。この腕はフィオロとクロトスの両神器との正式な契約をして手に入れた力だ。

 神器は自信をエーテルとなって俺の中に宿った。そして俺はその神器に力を常時使えるようになったのだ。

 前はフィオロスとクロトスを出してはじめてその力を仕えたが、今は直接出さなくても神器の強力な力が使え、神器を通さないと使えなかったファナの炎の力を直接出すことが出来るようになったのだ。

 そして、それ以外にもできるようになったことがある。


「そこ!」


 頭上から飛んでくる矢を俺は手を向けるとそこから蒼い炎が螺旋となって噴き出す。

 それに巻き込まれた矢は蒸発する。さらに俺は、人差し指と親指を立てその矢を撃ってきた兵士に向ける。

 すると指先には蒼い光が生まれそれを放つ。


「ぎゃ!」「うっ!」


 その射手はその蒼い光の玉を食らい昏睡する。

 これが、もう一つの出来る事、それはエーテル自体を具現化させ質量を持たせることだ。

 フィオロスとクロトスは今俺の中に宿っている。それはエーテールとなり俺の魂と一体化したからだが、再び元の剣と槍の形にすることも出来る。

 エーテルを操り剣と槍の形として具現化させ使えるようになる。そしてその具現化させる際に俺はエーテルを操ることが出来る。

 操ると言っても、俺はまだ何ができるかは分からない、だが今の様に、ビー玉くらいの形を作り飛ばすことが出来るのだ。

 他にも、何ができるかは実際戦って確かめる。


「「「「うわあああああああ!!!」」」」


 ドゴオオン!

 轟音が鳴り響くと、何人もの兵士が宙に舞いその中心にいるのはファナだ。


「気お付けろ!この女亜人だ!」


「囲め!数で圧倒、、、うわああああ!」


 何人もの兵士が宙へと舞い上がった。

 俺に変化があった様に、ファナにもある変化があった。

 元々怪力だった彼女だが、その力はさらに増している。


「なんだあの手甲は!びくともしない!」


 ファナは、その腕を鱗のように変化させ来る攻撃を防いでいる。

 彼女の体は、自在に変化させられるようになった。

 手甲は勿論、足にも似たようなことができるようになった。

 これも俺とファナが命を繋げていることによる変化のようだ。

 

「まあこれなら大丈夫だな。」


 これなら俺は本来の目的へと行動することにした。


「逃げたぞ!追え!」


 路地に飛び込むと、それを追って何人もの兵士達が追ってくる。

 それをうまくいなしながら目的手へと駆けて行くのだった。





-------------------------------------------------------




「逃げたぞ!追え!」


 後ろでそんな声が聞こえてきた。ヴァンが行動を開始しのだろう。

 なら私持ち合わせ道理にするだけだ。


「喰らえ!」


 大きなハンマーのよーな物を振り下ろしてくるそれを片手で受けて驚く男の胸にこぶしを入れる。

 二メートルはあるその巨体が十メートル以上は吹き飛びそのヨナに何人もの兵士が巻き込まれた。

 

「フッ!」


 手に残ったハンマーを掴み地面に振り下ろすと、地面にはひびが入り陥没する。

 周囲にいた兵士を衝撃で吹き飛ばし、近くにあった建物が倒壊する。

 手にしたハンマーは粉々になった。


「近ずくな!弓隊を呼んで来い!」


「なんでもいい!接近戦はするな!!」


 さっきよりも数が増えているのが気配で分かった。

 その分、遠ざかるヴァンを追う敵の数も少なくなっている。

 

「もう少しだね。」


 今回のこの集積所を襲撃した目的は三つある。

 一つは、敵の戦力分析、実際に戦ってその強さを測ること。

 それは大体わかった、紅月の兵士達は、帝国の兵士や騎士達より強い印象がある。

 でもそれは肉体的に強いと言うだけで、魔力を使った魔法は今まで一切使ってきていない。

 そう考えると戦力的には互角だと私はおもった。

 勿論、ヴァンや私、それにシャルル達やランクA以上の冒険者であれば圧倒できるだろう。

 だけど、あの城の中で戦った。紅月の将軍と呼ばれた男の様な実力者が他に居れば話は変わって来る。

 ならばどうするか、話は簡単だ。私自身が強くなればいい。

 それがここに来たもう一つの目的、力を使い制御して強くなる。

 眠りから覚めた後私の体には変化あった。それは体の一部分を竜の様に変化させることができた。

 手足を鱗で覆い、鎧の様に扱うことで、攻撃力を上げ、防御も強くなった。

 でも、まだ足りない、あの城で戦った男の実力に届きそうまなかった。

 またあの時みたいに大切な者を守ることが出来なかったら。

 嫌だ!それだけは絶対に、だから私は、、、。


「!!」


 シュン!と後ろからくる殺気に頭を下げ前へと飛ぶ。

 起き上がり見た先に居たのは、剣を構えた私と同じくらいの少女の姿だった。


「よくよけたな。」


 と言ってきた。気配で分かる。この子は強いと私は構えを取り隙を伺うが見つからない。


「何者だ、、、、。」


「・・・・・・・・」


 発する鋭い気配、抜身の刃の様な少女は、それ以上は語らず。駆け出す。

 私との問答を諦めたみたい。なら私も取る行動は一つ。


「フッ!」


 地を蹴り距離をつめて放つ拳、鋭い一撃が少女を捕らえたと思ったが手ごたえはない。

 気配を探れば私の下に潜り込み剣で切りかかって来た。

 それを空いた腕で防ぐと、ひざを上げ追撃をするがそれを手で受けて飛ぶ。

 うまく勢いを殺し着地する少女が態勢を整える。


「今のを防ぐか。やるな、、、。」


「・・・・・・・。」


「だんまりか、何が目的でここに来たのか知らないが、これ以上は好きにさせない。」


 といって、少女は剣を構え、、、、来る!


 キン!

 飛び込んできた斬撃を受ける。その衝撃は先ほどの物より強く鋭い。


「!!」


 繰り出される連撃を腕やひじを使いいなしていく、速い、斬撃の軌跡が四方から襲い掛かって来る。


「どうした!反撃をしないならお前は死ぬぞ!」


 これで最後だ!と言う一撃、視界の外からくる鋭い一撃、それはどうあっも防ぐことのできない物だった。

 だが、ファナは受けた。首を狙ったそれは、しっかりと腕に防がれている。


「なんだと!」


 少女は驚愕し距離を取る。先ほどの一撃は必殺、だが捕らえることが出来なかった。

 訳が分からず見ると、ファナのかぶって居たフードが捲れる。

 斬撃の余波がフードを切り裂いていたようだ、その素顔が露わとなった。

 バチバチとファナの赤い角が放電し、青い髪は輝き、その黄金の瞳は蒼白く燃えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ