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序章第五節

日の光が傾きかけた頃、ヴァンは全速で森を駆け抜けていた。その速さは獣が走るより早く、鳥が飛ぶよりも高く飛んでいた

その背中に先ほどの少女を背負いながら。やがて長い森を抜けると開けた場所に出た。目的地に着いたのだ。


「ファフ爺!つれてきたぞ!!」


 目の前にはそびえ立つ大樹、その根元には巨大なドラゴン、ファフ爺がいた。


「うむ、こちらに連れてこい。」


 ファフ爺の近くに少女を寝かせる、すると先ほどよりも黒い痣が広がっているのがわかった。


「ファフ爺!これは?」


「時間がない、儂の言う通りにしろ。先ずは傷に触れろそしてこの者のエーテルを感じるのだ。」


 いわれるまま、傷に触れいつも武器を作ろように少女の中にあるエーテルを感じるよう集中する。そこには、

降れたてはぬくもりを感じることができなかった、代わりに黒くゆがんだものを手に感じることができる。

 

 俺が普段感じているエーテルはそても暖かく手ふわっとした感触をいつも感じている。

やわらかい粘土を俺のイメージを魔力に乗せるようにして練りこみ形を作る。

この黒い痣は年度ではなくヘドロをわしずかみにした感覚になり余りの感触に忌避感を覚えた。


「その黒い痣、人の魔力を食らうくらい尽くし最後には体をも食らいつくし塵になる。

先ずは己の魔力をそいつに喰らわせろ、食らいついたら一気に魔力を流し込むのだ。」


 今俺が感じている忌避感を覚える感触。そこに、さらに魔力を集中すると黒い痣がうごめく。

痣自体が形を変え俺に向かってくるようだ。


 (手に喰らいついた!これは、、、き、つい。。!)


 手をかざしていると、先ほどのヘドロが手に絡みついてくるような感覚に襲われる。温度の違う粘着質な魔力

小さい、本当に小さい虫の大群が手を這い上ってくるようだった。


「やば!」


「いまだ!魔力を開放しろ!」


「!か、、開放!!」


 ドックン!と波打つように辺りの空気が重くなる、地響きとともにヴァンの周囲は魔力とエーテルの渦ができ上っていた。


「いかん!強すぎる!!もっと静かに開放するんだ!」


 焦る声がファフ爺から聞こえる。だが今俺は手に集中することだけを考えそれどころではなかった。


(くそ!落ち着け!静かに、大きく、ゆっくりと。)


 自分に言い聞かせるように魔力を絞っていく、すると少しずつではあるが渦の速さが遅くなりそして次第に小さくなっていく

しかし、その魔力は膨大で強さは衰えてはいなかった。むしろ徐々に強くなっていく。

すると先ほどまでの忌避感や不快感は手から消えていた。見るとそこには這い上がってきた痣が徐々に崩れ渦に

巻き込まれながら消えていくのが見えてくる。やがて黒い痣は渦に巻きあげられるように消えていった。


「おわった?」


「うむ無事解呪したな。」


「ふう、、。」


 いまだかつてない疲労感が全身を襲う、俺はその場で座り込んでしまい手を見ると少し震えているのがわかる。


「この娘に巣くっていた呪いは消えた。もう大丈夫だろう。」


「結局あの痣は何だ、ファフ爺知っているのか?」


 しばしの沈黙の後ファフニールは答えた。


「遥か昔に使われた呪いだ、混沌共の、、、な。」


 そう答えたファフ爺は少女を見る。釣られて見ると少女は先ほどとは違った苦悶の表情ではなくなっていた。

寝顔は安らいでるように見えたが、目には涙が流れていた。

 

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