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第三章二節

 アンッグゥン!んぐんぐ、、。

  

 手に取った骨付き肉を口に運び骨から噛み千切る。油ぼぼったラム肉は塩漬けされたもので、肉の甘みのある脂身をしみ込んだ塩がそのうまみを引き出す。

 噛めば噛むほどそのうま味が増していき、飲み込むのが惜しくなるほどだ。ただのしおずけじゃあこうはならない、何か秘密が、、、?

 

「はい、お待ちどう様。」


「ありがとうございます、リスダさん。」

 

「いいのよ、こうしてまたあなたにお料理を作れるなんて、私もとてもうれしいわ。」


 彼女はリスダと言いトトロスのアクサンはいい色の髪にをして恰幅のいいお母さん気質の温和な女性だ。


「この肉、上手く付け込めてますね。肉に香草を巻き付けてます?」


「あら!わかっちゃった!?」


「ええ、微かに感じるこの香りは、、、、ケシドク草、、、ですか?」


 ケシドク草、主に解毒ポーションの材料となる物だ。これを煮詰めてあくを取りながら数時間、出てきた煮汁をキレイにこしてから他の薬草と合わせて出来上がる。

 需要も高く、冒険者は勿論、痛み止めや解熱剤と幅広い効能を持つ。なので常に需要があり、駆け出しの冒険者などはよくこの依頼を受けている。


「当たり!よくわかったわね。煮汁から取り出したものをよく吹いて水洗いした物を塩を振った肉に巻き付けてつぼに入れて作ったの。」


「へぇ~、よく思いつきましたね。」


「旦那が、ヴァンが起きた時に驚くものを食わせてやる!って息巻いてたから。」


「そうでしたか、、、、すいませんご迷惑を、、、。」


「いいのよ!あなたには恩があるんですもの、こんな立派な家に住まわせてもらって、いっぱい家族も増えて毎日が楽しいわ。」


「そうですか。」


 リスダさんとトトロスの間に子供はいないと言う、まああまり深くは聞かなかったが、ここにきて毎日みんなの世話や家の掃除などをしてくれている。

 家賃代わりにやらせて、と言ってきた彼女は嬉しそうにこの館の維持と管理をしてくれている。

 

「いいのよ!さあさあどんっどんたべてね。ファナちゃんも、お変わりは一杯あるから。」


「うん!」


 俺の隣では、目を輝かせて両手の肉を交互に口に運んで、そのうまさに目を輝かせながら頬を大きくして食べている。

 俺とファナがやることをやっているといつの間にか朝になっていた。様子を見に来たリスダさんが俺達の格好を見てそっと扉を閉めた後。

 廊下を走り館中に響く声で俺達が起きたことを叫んでいた。

 まあこうなれば、俺達もベットから起きて、着替えて、用意されていた風呂に入り、今はこうして朝食を取っている。

 と言ってもその量は朝食と呼ぶには多く、山の様に盛り付けられた肉と、樽の様に大きな鍋いっぱいのシチューが用意されていた。


「ヴァンさん!こちらもぜひ食べてください。」


 そう言って出されたのは、黄金色のパンが入った籠だった。焼きたてパンからは香ばしいバターの香りが漂いって来る。

 一つ取ってみるとふわったした感触で、力を入れなくても二つに裂けるほど柔らかかった。

 口に運ぶと、濃厚なバターが口の中一杯に広がるの、さらに少量の塩が混ぜ込まれているようでそのしょぱさがバターの甘みをさらに美味しくしている。


「うまい!」


「ふふ、ありがとうございます。」


 そう言ったのは、俺の隣に立っている少女、ハンナだ。


「いやでも、ハンナがここにいるとは。ラインハルト達と一緒にに居なくていいのか?」


 彼女は、ハンナ・シュディオルス第二王女で金髪ロングで毛先にウェーブの乗った髪にスカイブルーの瞳の少女。

 俺は以前、ある以来から、ラインハルトとハンナの二人を護衛する依頼を受けその時の縁で知り合った。

 と言っても、それほど長い時間を共にしてはいなかったが。


「ええ、お兄さまは何かと忙しいですし。私があそこにいても何もできませんから。」


「それで?どうしてここに?」


「それは、、、、。」


 少し言いよどんで視線を下げていると、肩にリスダさんの手が置かれ、意を決したように顔を上げると。


「ヴァンさん、ファナさん、今回兄と父様を助けて頂いたこと、ありがとうございます。」


 真剣な顔でそう言ってくる。その顔は、ファナと楽しく話していた彼女の顔付とは変わていた。


「それで、私は、、、今回のようなことになるとは思ってもみなく、それで、、、その、、、、。」


「なるほど。」


 先ほどの態度から彼女は俺達に罪悪感を感じているのだと察した。


「気にしたいことです。ハンナ王女、私達は冒険者ですから。依頼があれば何でもこなす。もちろん報酬次第ですがね。」


「ですが!」


「大丈夫、俺は穴とを恨んではいませんしこの依頼を受けてことも後悔しません。だからあなたが気に病むこともないのですよ。」


「はい、ありがとうございます!」


 そう言ってい少し気が晴れたような顔になる。それでも多少はまだきにしているようだが、本当にお優しい人だな。


「それにこれだけのことをしたんですから、報酬は期待しますよ!勿論王室からもらいますがね。」


「はい!何でも言ってください!!私にできることがあれば何でも言ってください!」


 力強く頷く彼女に笑いかけて俺は正面を見る。


「それで、そこに座っている人は貴方はだれですか?」


 先ほどから俺とファナの正面の席に座っている人物に声をかける。


「おう!やっと俺の番だな。」


 実はこの食堂の前、俺が風呂に入ってい居る時から一緒のこの人物、容姿とその特徴的な耳からエルフであることは分かるが、俺の知る限りこんな人はこの館にはいなかった。


「おれはリブロ、ランクAの冒険者で、緑の鏃のクランリーダーをしているもんだ。」


 そう名乗った彼は、手にしたグラスを置いて立ち上がる。


「王と周辺で活動していたが、あんなことがあってここまで避難してきたんだ。」


 そう言って彼はここにいるいきさつを話してくれた。人数は20人で全員がエルフで構成されている彼のクランは、メンバーが全員止まれるところがなかったとか、

 避難民の中にいた冒険者や、今回の事で住むところのなくなった人々に宿屋が格安で部屋を提供していることから、避難民の後衛で護衛をし遅く来た彼等には止まる宿がなくなっていた。

 困っていた所をアスラに相談したて此処に住まわせてもらっているとのことだ。


「家主のアンタがあんな状態だったから断りも入れずい勝ってをしてしまった。なので改めてお願いする。どうか、俺達をここにおいてはもらえないだろうか?」


「ああ、いいぞ。」


「軽いな!いいのか?得体も知れない冒険者を大量に招いてそれも見も知らずの俺達を、、、。」


「ああ、アスラの知り合い何だろう?なら問題ない。それに俺が寝ていた時何か問題があったか?」


 ハンナさんや、リスダさんも首を振る。


「それなら問題ない、部屋は一杯あるんだ遠慮なく使ってくれ。」


「ありがとう。」 


 と言って、頭を下げるリブロ。


「そういえばそのアスラは?いないみたいだけど?」


「あいつなら北壁に居る。今あそこは紅月が攻めよせてきたときの最終拠点になっているからな。一定数の兵士と冒険者がいて、補強やら増強やらで忙しくしている。俺達もつい先日までそこに居て交代で行き来している感だ。」


「それで今は、アスラ達の番か、、、エヴァ達も?」


「ええ、エヴァさん達も行っています。なんでもミレーユさんの部下として一緒に行っていますよ?」


「ミレーユの部下?」


「ええ、何でも、シャルルさんが誘ったとか。詳しくは解りませんが、エヴァンさんとバルダスさん達はミレーユさんの騎士団に入ったとか。」


 エヴァ達が騎士団?いったいどうなっているのか、、、、。俺が長いこと眠っていたからかちょっとした浦島太郎状態になっているな、何にしてもまずは情報だ。

 眠っていた一か月間にいったい何があったのか、詳しく聞かないと。


「それで、、、、、、。」


「ヴァン!起きていたか。」


 話を聞こうとしたら入り口からは名前が呼ばれる。振り向くとそこには白髪の男性が立っている。


「ディオスさん!すいません、心配をおかけしたみたいで。」


「ああ、まあ気にしるな。過程はどうあれまたこうして元気にしているのだから。それより君にお客様だ。」


「客?」


 そう言ううとディオスの後ろから現れたのは。


「ラインハルト!」「兄さま。」


 この国の第一王子のラインハルト・シュディオロスだった。

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