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第ニ章 幕間

  山脈の稜線に沿って光が走る時間、この時間帯は大地に光が灯り始める時間だ、風は冷たく、空は重く圧し掛かる空気が支配する。

 暗く人を不安にさせる世界が今日も訪れる。そのため人は灯りを求める。自身の不安を和らげるため火を起こす。

 最初は一つの光が灯る。そこからまた一つ一つと徐々に増えて行く。そしてすべてに行き渡った時そこは人々の安息の地へと変わる。

 人々がその灯りに集まり寄り添っている。その顔には笑顔を咲声を上げ笑っている。

 

「いらっしゃいっす!」


 その灯りの一つ、木造で出来た建物から元気な声が聞こえてくる。中は簡素な木造作りでカウンターと円卓が複数あり今はほぼ満席になっていた。


「ポロナちゃん!シチュー三人前とベーコン二枚ね!!」


「了解っす!、、、はい串焼きとエールお待ちどうさまっす!」


「おお!旨そう!」


「ポロナちゃんポロナちゃん!ついでにここで一緒に飲んでかない?!」


「席開けとくから、俺らおごるよ!」


「いや!そんな筋肉馬鹿どもより、俺達のところの方がいいぞ。」


「誰が筋肉馬鹿だ!この雑草野郎!お前らみたいな軽い奴なんかおよびじゃねえんだよ!!」


「くっぉら!てめえら!飯くらい大人しく食いやがれ!!それからその子に手を出した俺が手をたたっ来てやるぞ!!」

 

 どうもっす!自分は今ここ、トトロスのおやっさんが開いた新しいお店のお手伝いをしている処っす。

 あの帝都が陥落して三週間がたって、ここオルスにその街を追われた難民達が集まってきたっす。

 その数は五万人以上!流石にオルスの中には入りきらないので、街の前に広がる草原にテントを張りそこで生活していたっす。

 

「ポロナ!8番の煮込み料理持って行ってくれ!」


「了解っす!!おやっさん!」

 

 最初はうまく行っていたっすけど、問題も出て来たっす。最初はオルスの住人たちと難民達の些細ないざこざだったっす。でもそれがきっかけで難民の一部が暴走し、街の中に押し寄せて来たっす。 

 彼らの目的は、食料だったっす。勿論なっ民の人たちには配給があったっすけどその中身はお粗末な物だったっす。


「野菜のチーズ煮込みお待ちどう様っす!!」


「これこれ!これが食べたかった!」


「ねー、ここが出来てからの毎日の楽しみになったからな。」


 そこで、まずは食事から改善し始めたっす。まずはオルスで屋台を出している人達を集めキャンプに出したっす。

 勿論難民達はお金を払って、それと同じく難民達には仕事も回されたっす。キャンプ地の整備や、荷物の運搬、ごみ拾いと言った雑務まで全ての事に給金をつけていたっす。

 そのおかげで難民達にも収入が入り、それを使うところに屋台や酒場で使うと言った流れが出来たっす。   


「ありがとう。ポロナちゃん!エヴァさんきょうは?」


「隊長なら、今日は西地区で夜警っす!」


「そっか~、残念。」


 そして自分たちヴァン一家はと言うと。


「おやっさん!エールと串肉!」


 厨房から顔を出したトトロスに横から声がかかる。


「おう!アスラか、今日は上がりか?」


 そこに居たのは赤い髪に青い目の男が背負った大剣を横に置き、カウンター席に座っている。

 ゴトッと重厚な音が騒がしい店内に響く。その音はどんな音よりも鮮明に聞こえそれに気づいた客の何人かが目にしては大人しくなっている。


「アスラさん!ご苦労様っす!!」


 その厳つい風貌の男を見た客たちは大人しくジョッキをちびちびと飲み始める。


「やあポロナ、今日も盛況のようだな。」


「おう!飲みに来てやったぞ!!」


 次いで現れたのは、銀の髪の中から飛び出す獅子の耳に長い尾を持つ女性のアニラがアスラの隣に座る。


「アニラの姉さん!いらしゃいっす!!」


「おう!どうだ?ここの奴らにちょっかい出されてないか?」


 

 そう言ってギラっとした目で店内を見渡すと、ササっと目をそらす客たち。

 アスラさんとアニラさんは、オルスではAランク冒険者としての知名度は高いっす。ギルドのAランクはこの国で定める冒険者の最高実力者に送られる称号でその力は一騎当千っす。そしてその力を難民は目の当たりにしたっす。

 それはある日のこと、キャンプ設営をしていた時に森からオークの集団がキャンプ地に襲い掛かって来たっす。自分も近くに居たからげんばにむかったっす。でもそこで見たのは圧倒的な力だったっす。

 剣と盾を巧みに操るアニラさんと一撃で数匹のオークの胴を薙ぎ払うアスラさん、まさに瞬殺だったっす。お陰で二人がキャンプ地を歩くだけで皆大人しくなったっす。

 自分達は、ヴァンさんが運び込まれてくるまで何があったか全く知らなかったっす。ケガをしている様子はなかったっすけど、血まみれのファナさんや着ていた服がボロボロで昏睡した状態だったっす。

 唯一事情を知っていたアスラさんから聞いて状況が分かったっす。そして自分達は考えたっす。やれることをやろうと、自分に出来る事からやろうとしたっす。

 

「オジサン、私は羊肉のシチュー、エールを特大でもらえないか?」


「おいおい、そんなに飲んで大丈夫か?明日も出るんだろう??」


「問題ない、この辺にでる魔物はたかくてCクラスだ。そんな雑魚どもにこの私が後れを取るわけもないだろう。」


「おいおい、頼むから頭痛いって言って明日寝込むなよ。」


 アスラさん達冒険者組は、ギルドから出される仕事をしているっす。魔物の討伐や、運搬の護衛と言った依頼を受けているっす。

 そして自分達は、街での貢献が評価されたことで、独立の騎士団を立ち上げることが出来たっす。その騎士団である自分達は、進んでキャンプ地の警備や雑用をこなしているっす。

 トトロスさんのお店もその一環でこの家の二階は自分達の騎士団の拠点になっているっす。なので時間がある時に自分やほかの人たちが一回の酒場でお手伝いしているっす。 


「お待ちどう、シチューと特大ジョッキエール!」


 出されたのは、頭がすっぽり入るほどの木製ジョッキ、それを嬉々として受け取り一気に飲み干す。


「ううん!仕事の後はこの一杯だな!」


「一杯って量じゃないだろう、明日は朝早くから砦に行くんだからな。」


 砦とは、オルスの前を流れる川を南下すると狭まった渓谷が現れる、その渓谷の崖に建てられた高い壁がある。本来はヘイズに生息する凶悪な魔物に対するために建てられたものだが、今はその逆。

 帝国はその城壁を最後の砦と決め改修と補強をしている。兵士騎士、冒険者と戦力を集中していた。

 

「アスラさん、帰りは何時っすか?」


「う~ん、大体一週間くらいかな?だから、、、、、あいつ、もし旦那が起きたら知らせてくれ。」


「了解っす!」


 帝都が落ちて三週間、あの二人はまだ目を覚まさない。


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