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第二章六節

 ここは、ウラド伯爵のパーティー会場。室内は広く床は大理石の白で柱には多数の彫刻が彫られた豪華な会場になっている。

 豪華な机上には豪華な料理が並べられたバイキングの立食パーティだ。

 

「旨い。」


 机に並べられた料理はどれも絶品だ。味だけではなく見た目の奇麗で匠の技を感じる。さすがにここまでの物は作れないなと。思いながら何かまねできるものはないかなと次の料理を口に運ぶ。

 数々の料理が並べられた今回の晩餐会は、いわば忘年会だ。年の瀬も近くなり、町の有力者を招待しては酒と料理で一年をねぎらうという物だ。毎年行われているものでラインハルト王子もこの時期はここで数週間過ごすとか。

 本来の目的は、最北にあるこの町と王都との会議といったことが主目的のようだ。

 だが今回はちょっと違うようで、その理由は俺が山の上まで行った依頼の事なんだが、、、。

 

「おお、ここに居たか。」


 料理を堪能していると後ろから声が聞こえてくる。そこには見知った顔の人物が立っていた。


「ウラド伯爵!」


 この館の主人で、銀の長髪に尖った耳が特徴のダークエルフであるウラド伯爵がいた。


「ヴァン、今回の急な依頼を受けてもらったこと改めて感謝する。お陰で王子殿下達を無事に迎えることが出来た。」


「いいえ、こちらも一日遅れてしまいました。」


「事情は聴いている。天候の悪化まではさすがに避けられないからな。しかし、まさかコカトリスに襲われた居るとは。」


「ええ、いきなりなんでビックリしましたよ、あの辺はあれくらいの魔物出るんですか?」


 そう聞かれウラドは首を振る。


「いや、そもそもコカトリスはこのあたりでの目撃例は少ない。生息地域はここよりもっと南になるな。」


「南ですか、、、、。」


 それを聞いて俺はあること思い出す。今この国は二つの派閥が出来つつあった。一つは王族を中心とした派閥ともう一つは王都より南ある地方を収めているカリオ公爵を中心にする一派だ。

 その二つの派閥で今対立が起きている。原因は半年前の戦争で南にある大陸から受けた侵略は南にある海岸で起きていた。

 だが幸い、これにより敵が上陸することはなく海岸沿いに建てた砦周辺で無事に撃退した。その時指揮を執ったのがカリオ公爵だ。

 戦争では指揮を執って、敵を退けたことで英雄と呼ばれるようになった。そのおかげで、公爵は貴族内での発言力が増し、中にある反王族派が台頭してきたのだ。

 そしてある事件が火種となり今燃え上がろうとしている。


「「おお!!」」


 会場から感嘆の声が上がる。見ると階段から複数の人物が下りてくる。一人は金髪碧眼の青年、黒と赤を基調にした軍服を着ているこの国の第一王子のラインハルト・シュディオロス殿下。

 その青年が手を添えてエスコートするのは、赤いドレスが印象的で、だが決してセクシーではなく可愛い系のドレスを着た金髪ロングの髪にブルースカイの瞳が印象を与える少女のハンナ・シュディオロス第二王女だ。

 そしてその後ろにはラインハルトの付き人であるハンスと、もう一人は俺の相棒で相方のファナだ。二人はそれぞれ護衛と言うことでその後ろを付き従っていた。


「お出ましかな。」


「ああ、では挨拶に行こうか。」


 ハンナ王女とラインハルト王子が今内乱が起きる理由の中心にいる人物だ。

 先の侵略戦争は何とかこちらの勝利に終わった、その戦後処理に侵略してきた国の王子が、偶然庭に居たハンナを見染めて、彼女をよこすなら進行は今後しないと言ってきたのだ。

 その提案を飲もうと発言したのがカリオ公爵だ、南の貴族たちこれに賛同したがここで猛反発したのがラインハルト王子だ、その後は激論が白熱しその日の会議は解散となったのだ。

 その後も幾度もこの件での話し合いが続いたが、決着はつかず数ヶ月が過ぎた。


「ラインハルト様、本日はよくおいで下さいました。」


「伯爵、今回は迷惑をかける。妹共々よろしく頼む。」


「はい、お任せください。」


「ああ、ヴァンもこの度の働きに感謝する。今は晩餐を楽しんでほしい。」


「ありがとうございます。」


 お互いが挨拶をしてその場は解散、ラインハルト殿下とウラド伯爵はそれぞれ、集まった貴族たちの挨拶に追われている。そして、、、。


「ヴァンさん!どうですこのドレスは!」


 人懐っこい笑顔でくるりと回るハンナ王女が俺の側に居た。


「ああ、とても綺麗だ。よく似合ってるよハンナ。」


 王女を呼び捨てにしたことで周りからは驚きの視線が刺さるが、呼ばれた本人はニコッと白い花が咲いたような笑顔を見せる。

 ハンナとは、ここまでくる間に色んな質問攻めをされる。内容はいつもどのような暮らしをしているかとか、ギルドでの依頼についてとかそういった物だ。

 そして話しているうちに何となくだが仲良くなり気さくに呼び合う仲になっていた。ゆうなれば、近所の大学生甘える中学生といったところか。

 

「それより!ほら、ファナさん!!」


 そう言ってさっきから陰に隠れているファナの手を取って俺の前に連れてくる。


「ハンナ!待って、、これ動きにくい!」


 頼りない脚で俺の前に姿を現すファナは顔は下を向いて恥ずかしそうにしては手をもじもじさせている姿が飛び込む。


「どうですか!ファナさんとても綺麗ですよ!!」


「、、、、、」


 先ほど現れた時はよく見てはいなかったが、白いドレスに、背は大きく開いてひざ下まで伸びたスカートを着た姿に俺は少し緊張する。


「ほらヴァンさん!何か言うことはないんですか。」


「ああ、最高に奇麗だ、、、。」


 それを聞いたっファナは、ばっと顔を上げて頬を赤くして目を輝かせている。上がった顔を改めて見る、顔にはうっすらと化粧がしてある。

 いつもの整った奇麗な顔がより一層輝いて見える。


「よかったですね!」


「うん!」「ぐゥー!」


 そこで時間が止まる。場にそぐわない可愛らしい音がファナのお腹から聞こえてきた。


「ははは!」


「うぐ!わ、笑わないでよ!」

 

 思わず声を上げえ笑った。そこにはいつものファナが居たのだ。


「ふふふ。」


「は!ハンナまで!!」


「ごめんなさい、可笑しくって!安心したからかしら、さっきまで緊張しっぱなしでしたから。」


 ハンナはそういたずらっぽく笑い、それを聞いていたファナは慌てて口を押えようと手を伸ばすが、さらっと躱された。

 着なれないドレスで動きが悪い。


「ファナさん、ドレス着を切る前も後も、「似合うって言ってくれるかな」と心配していましたから。」


 そう言ううといたずら顔でファナを見る。するとますます顔を赤くして涙目になる。


「ハンナ!それは言わないって!!」


「ちゃんとお目当てのお言葉を貰ったのですから、時効です。」


「うううう、、、。しらない!」


「ああ!待ってくださいファナさん私も行きますから。」


 背負向け、その場を後にするファナを慌てて追いかけるハンナ、向った先は勿論料理が並べられているテーブル。


「はは、いつも通りだ。」


 料理を手にして最初は不機嫌そうにしていたファナも徐々に笑いながらハンナと談笑を始める。

 俺は少し過保護だったのかもしれない、ファナはもっと俺から離れて動いていろんな人と交流を持つべきだ。

 それはとてもいいことだと思ったのだ。それだけで今回の依頼を受けてよかったと思う。


「世話をかけるな、ヴァン。」


 二人の姿を、見ていると横から声がかけられる。


「これはラインハルト殿下。」


「ハンナのこと、よく守っていてくれてるな。」


 楽しく話しているハンナを見てラインハルトは微笑む。


「あんなに楽しそうにしているのは何時振りか、ここ最近いろいろあったからな。」


 そう、ハンナは狙われている。どこの誰かは分からないが、何回か誘拐未遂が起きている。

 その時はハンスが近くに居たお陰で無事だったが。その行為は過激になりつつあり、ついに死人が出てしまった。

 

「守りに入っていた侍従が亡くなってからハンナ様は籠りがちになり笑わなくなってしまっていました。」


「ああ、だから今回ここに来たのは正解だった。」


 ハンナを守るため王都では暮らしにくくなった。またいつ狙われるか分からない状態にラインハルトは決断したのだ。


「ウラド伯爵の地であるここオルスなら、間者もそう簡単に悪さはできないでしょう。」


「ああ、それに今は国崩しを倒した英雄が護衛に就いているのなら、向こうもそう簡単には手を出せまい。」


 ラインハルトは俺を見て言う。ここ最近のの出来事だが俺の噂は結構この国全体に広がっているようだ。

 まあ、そうゆうことで、俺とファナはこのまま無期限で護衛に就くことになった。


「きゃあああ!!」


 唐突に悲鳴が聞こえる。まさか!と思いハンナを見ると。一人の男性に絡まれそれを引きはがそうとファナが手を伸ばしている光景が見えた。


「早速か!」


「ハンナ!」「ハンナ様!!」


 俺は駆け出し、それに続いてラインハルト達もそれに続く、早速の問題発生。しかしこんな大勢のいる処で堂々と実行するのか!

 まさかこんなに早く、襲ってくるとは思わなかった!自分が油断したと一瞬冷や汗をかくがすぐにそれは杞憂に終わる。


「その手を放してもらおうか。」


 ハンナに絡んでいた男の腕を掴む別の男性がそこに立っていた。

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