第一章十二節
「さて、心配するなとはいったが、、、どうすっか。」
空高く飛んでいざ決戦と行きたいが。はっきり言って勝てるビジョンが浮かばない。
まずは首、ものすごく太い、人が10人集まって束ねた物よりも太い。口もでかいし何よりもその保有する魔力が尋常ではない。
吹き荒れる嵐が質量で大地を削っている。身にまとうう魔力も目の前に火山が噴火したような熱量を感じる。
「さて、あの巨大なモノにどう挑むか。」
『ヴァン、どうしよう、、、。』
ファナの困惑した声が聞こえてきた。
「情けないな、あんなに勢いよく飛び出しておいて、、、。」
そう苦笑する。まあ、何にしてもまずはやってみなくちゃな。
「一発かましてみるか!行くぞ!!」
アイテムボックスから剣のフィオロスと槍のクロトスを取り出し構える。
「ファナ!撃て!!」
風が吹き荒れる上空からファナと俺は、巨大なそれに向かって飛び込んでいく。
『ぐおおおおおあああ!!』
急降下と同時にファナがブレスを吐く。青白く光る灼熱の炎は空間を燃やしケーリュケイオスの頭部をも焼く。
漆黒の鱗はさらに黒くなり焼き尽くし5本を残して全ての首が消し炭になり灰へと変わる。
やったと思った、しかしやってはいなかった。焼かれた断面が泡立ち瞬間ずぼおぼおぼおぼお!と音を立て新たに首が生えて瞬く間に元通りになった。
「・・・・・・・」
なんだ?俺は目を疑った。焼き尽くした首は瞬く間に再生した。焼かれた皮膚はただれ落ちそこから新たに寸分たがわず元に戻った。
「もう一度だ!」
同じようにファナが攻撃を仕掛ける。同じように首が焼かれるが、まったく変わらず元道理になっている。
「まじか、、、、、。」
凄まじい再生能力だ、これじゃあいくらやってもまた同じように再生してしまう。こんな相手は初めてだ。
『ヴァン、、、、。』
ファナも戸惑っている。無理もないな、超再生の力、傷ついたそばから再生が始まっている。こんな奴が本当に要るんだなと、前世での知識で知っているゲームや物語に出てくる存在。
だが知っているからこそ、倒し方もわかる、それを試すだけだ。と言ってもいろんな方法がある。まず一つは跡形もなく消し飛ばす。超々高火力の炎で焼き尽くして消し炭にすること。
もう一つは、弱点と言える本体を叩くしかし上から見た限りではそれも見当たらない、なら残る方法は、、、、。
「ファナ!突撃だ!」
『わかった!!』
再度突っ込む!そして俺は体を宙に投げ出し空を舞った。
「再生できなくなるくらい切り刻んでやらああ!」
空中数十メートルの位置からダイブし、ケーリュケイオスの頭上からフィオロスとクロトスを構える。その刀身は青白く光りそれが奇跡となって空を駆け一直線に伸びる光はケーリュケイオスの首に吸い込まれる。
それは音はない、切れた音も叩かれた音もしない斬撃がケーリュケイオスの首を切り落とす。
『GUAAAAAAAA』
絶叫、天地を割く耳障りな悲鳴が轟く、だが俺の攻撃は終わらない。
「まだまだ!!」
地面を蹴る、近くにの見ている首を切り裂く、今度はいっぺんに二つ落とした。
「ファナ!」
『いくよ!!』
空中で牽制をしていたファナに向かって飛び込み尾の部分を足場にして止まる。
そこから、ファナが自分の尾を鞭のようにしならせ俺を打ち出し、再び切り込んでいく。
「どうだ!」
再び切り落とした。地面に首が落ち轟音が鳴り地面を揺らす。攻撃の成果を確かめようと振り返るがそこには見えたのは今切り落とした首以外はすべて生えていた。
「くそ!持久戦になりそうだ。」
俺が切り落とし、ファナが火炎で消し炭にした首もすべてそこにあった。今も切り落とした首がぼこぼこと泡立ち新たに生えてくる。
きりがない、無限に再生するのではないかと思うほどそこが見えない。
こういった物には弱点とかがあるはずなんだが、それも見当たらない。ならこれからはもっと本気で行かないと。
手に力を籠める。体内にある魔力を出すように。蛇口を最大まで回すように内から外へ放出する。
ゴッ!と風が吹く、俺な体を中心にして周囲の空気が一層重くなる。魔力が空間を満たし、俺に集まってくる。
その気配を感じたのかケーリュケイオスの首全てが俺を見る。さらに警戒したか空を飛んで牽制しているファナには目もくれず、九本の首で俺に襲い掛かってくる。
「これで!どうだ!!」
ジャシュ!音がした。大気を切り裂く鋭い音がヴァンから放たれる。足した魔力を纏ったフィオロスとクロトスを前で交差し左右に力いっぱい開いたのだ。
そこから放たれる斬撃は蒼い線となって、俺に向かってくる九つの首を全て切り落とす。
ズダダダダン!!と九つの落下音が響く。渾身の一撃だった俺は思わず膝をついて座り込んだ。
「ヴァン!」
変身を解いたファナが走り寄って来る。心配そうにのぞき込んできた顔に「大丈夫だ。」と荒い息をしながら返す。
「どうだ、、。」
ケーリュケイオスを見る。そこには、すべての首が切り落とされている姿が映る。
「動く気配はないけど。」
「これで再生したら本当に化け物だ。」
少し時間が経っても動く気配はない。倒したと思った瞬間唖然とする。なんと全ての切り口からぼこぼこと音がなっているのが見えた。
一本、一本瞬く間に再生している。
「くそ!これでもダメか!!」
俺は立ち上がる。足元がふらついてはいるが、ファナが支えて立ち上がると、また一つと目の前には再生していくケーリュケイオス、しかし変化もあった。再生に時間がかかっているのだ。
7本目以降から徐々にだが再生しきれていない首が生えてきている。骨丸出しの物や、目が垂れさがって落ちているもの、皮膚がただれたものもあった。
そして一番は、胴体部分に生えているところは再生していないのが見える。もしかしたら再生能力が高いのは首だけなのか?もしそうならそこがアイツの狙い処なのだろう。攻略法を見つけた。
「よし!効いてはいるみたいだな。」
「でも、ヴァンのあの攻撃はそう何回も打てないよ。」
先ほどの斬撃は、まさに一撃必殺で体内の魔力をありったけ絞り出し放つ物だ、あと一回放てるかどうか。
『GUROOOOOOaaaa』
思考に耽っていると、正面からの怒号が響く、首の一つが俺達を横なぎに振り下ろされた。
「くっそ!」
咄嗟にファナを腕の中に抱え込み、防御をしたが小石でゴルフをするように振り下ろされ吹き飛ばされた。
「ぐああ!」「きゃあああ!」
何とか致命傷は避けられたが俺達は地面を何回もバウンドし、地面に長く溝を残し止まる。
「だ、大丈夫か?」
腕の中に感じるぬくもりを確かめ声をかける。
「だ、大丈夫。」
声が返って来たのに安堵し、改めて周囲を見ると草原と砦のちょうど中間位にいた。周りは黒く焼けただれている。これは最初ファナが焼いたところのようだ。
「こんなところまで、吹き飛ばされたのか。」
そう言って立ち上がろうとする。しかしうまく立てない。すると左腕に違和感を感じ見ると。腕が明後日の方を向いているのが見えた。
「痛った!」
「ヴァ、ヴァン腕が!」
変わり果てた腕を見てようやく痛みを実感したのか激しい痛みが襲う。初めての感覚に少し戸惑ったが歯を食いしばり立ち上がる。
幸いクロトスを手放さなかったが、左腕はもう使い物にならない。他にも傷を負ったのか背中と右足に痛みが走る。
「ファナは!痛みはないか?」
「わ、私は大丈夫だけど、、、、。」
ひどい状態の腕を見て少し涙目で見てくる。
「俺は大丈夫だから、ほら!まだ終わってないぞ!!」
痛みを堪え笑って見せる。少し歪んだ顔になっているかな?と思ったが俺も今はこれが精いっぱいだ。
ファナも、目を閉じ深呼吸すると落ち着いたようで。目に力が戻った。
「ヴァああああああン!」
遠く後ろから声が近づいてくる。振り向くとシャルルとミレーユを戦闘に数十の騎馬が近づいてくるのがみえた。
「ヴァン!ファナちゃん!大丈夫!!生きてる!!!生きてるよね!!!!!」
口早にそう言ってくるシャルル。見ると焦った顔で馬を下りて俺達に駆け寄って来る。
途端、足が止まる。青い顔で俺のか左腕を見てくる。
「だ!大丈夫なのそれ!!すっごくいたそうだけど!!!」
「ああ、超痛てえ。まあ、大丈夫だ。」
「ほんと、本当?!他は??!ファナちゃんは!!どこかケガしてない?」
「わ、私は大丈夫、ヴァンのお陰でケガしていないよ。」
「ほんと!待って今確かめるから動かないでね、えっとこういううときはまず服を脱いで手を入れてか、、、、。」
「落ち着け!」
「ぎゃう!」
焦っておたおたしていたシャルルに鞘付きの剣で頭を叩くミレーユ。
それが済んで俺達に向き直ると。
「無事なようで、何よりだ。」
「ああ、五体満足っとはいかないが、なんとかな。」
「してどうだあれは?」
そう言って、森を見るミレーユ、そこにはすべての首が生えそろって俺達に向かってズズズと地面をこする音を立てながら近づいてくるケーリュケイオスその目はまっすぐ俺を見ていた。
「先ほどすべての首を切り落としたようだが、あれでも倒せないのか、手立てはあるのか?」
「ああ、先ほどの攻撃で一部だが胴体を抉った部分が再生していない。狙うならそこだ。」
あの派手な首に目を行ってはいたが、そもそももっとも狙いやすいのは胴体だ、首の何倍も太く大きいそれは、生半可な攻撃では通じないだろうが、さっき撃った奴ならいけると思う。そうすると問題は。
「ミレーユ、シャルル、二人に頼みがあるんだが。」
アイツを倒すために必要な作戦に二人の協力が必要だ。今度こそあいつを倒すと言って内容を二人に伝えると二人は力強く頷きそれぞれ馬にまたがりケーリュケイオス向かっていった。
「次で倒すぞ!ファナ!!」
「うん!ヴァンの体は私が支えるから。」
痛みを堪え右に立って体を支えてくれるファナのぬくもりに心が落ち着いていく。
「勝負は一瞬、頼んだぞ二人とも。」
焼け焦げた草原を疾走している二人の背を強く見つめるのだ。




