第一章六節
昨夜の宴会から開けて翌日。どんちゃん騒ぎは夜遅くまで続けられた。シャルル、ミレーユは俺たち以上に酒を飲んだようでそろって二日酔い、今日は非番と言って家で休んでいる。エヴァ達も今日は動けないようで皆寝込んでいる。
その中でも、ポロナは元気いっぱいに動き回っていた。「隊長達のことは自分にまかせてくださいっす!」と言って皆の世話をしている。
魔人である俺と、竜人族であるファナは酒による二日酔いはない、丈夫な体に感謝し俺は今日ファナと共にあるも目的のため、町の中を歩いていた。
町並みは、賑わっていて多くの人、いや、多くの種族が町中を行き勝ってしている。この町で出始めて目にするエルフ、ドワーフ、それにリザードマンや獣人たち、俺はまさに異世界に来ていると実感することになった。
しかしその人々の中にはファナと同じ竜人族は一人も見かけない。伯爵の言ったように彼女はとても珍しい種族のようで、目線が俺達、主にファナを見ていた。
「・・・・」
人の目線に慣れていないファナは、俺の背に隠れるように歩いている。まあ、此処で暮らしている内に慣れるだろう。そして、町の住民もファナに慣れてくれればと思う。
すれ違う人の視線を向けられながら中央道を進むと、
「ここがそうか、、。」
目的に着いた。赤レンガを基準に建てられた二階建ての建物、造りはしっかりしていて正面の扉も誰が使うのかと思うほどの巨大な扉があった。
「ファナ、準備はいいか?」
「うん、大丈夫、、。」
隣にいる青い髪に頭からは特徴的な細く尖った角が耳の上から生えている彼女を見る。その表情は何時ものようにスンとした顔をしている。一見何を考えているか分からないが、エルフより少し短い尖った耳が少し動いているのに気が付く。
どうやら少し緊張しているようだ。彼女の少し尖った耳は感情によって動いているようで今は少し落ち着かないといった感じでピコピコと動いているのが見える。はたから見ればすごくかわいいが、彼女にとっては、少し不安があるようだ。
彼女を安心させるように俺は頭に手を置くと少し恥ずかしそうにして此方を見ている。上目遣い少し落ち着いたの確認した俺は俺は目の前にある巨大な扉に手をかけ押し開く。
中からは、人の話し声や笑い声が聞こえてくる。中を見渡すと鎧や武器を持った人が何人もいた。その中の数名が俺達を見ているのに気が付く、此処でもファナは注目の的なようだと思ったがその視線はまっすぐに俺を見ていた。
俺がそちらに顔を向けると相手はサッと顔を背けていた。何かおかしなところがあるだろうか?と俺は自分の体を見るが特に変わったところはない。疑問に思っていると袖が引かれる。
「ヴァン、あっち。」
ファナはそう言って一点を指さす。そこには制服を着た人が、カウンターの奥に立っているのが見えた、どうやらあそこが受付のようだと思い。近づいていくと、、、。
「ようこそ、オルスのギルドへ!ご用件は何でしょうか!!」
そこには金髪ハーフアップの女性エルフがニコニコ顔であいさつしてくる。
「すみません、冒険者登録をお願いします。」
「はい、ではこちらの用紙に氏名と種族と年齢をお願いします。後は登録料金銀貨3枚になります。」
「2枚頼む。」
俺は銀貨を6枚カウンターに置き紙を一枚ファナへと渡す。
名前と年齢を記載しその一番最後に、ギルドの概要と冒険者ランクについて書いてあったので読み込むと。
冒険者はF~Sまでのランクが存在し、そのランクに従って依頼のランクも上がると言う細かい内容が書かれていた。
ランク昇級は、依頼数と討伐できるモンスターのランクに従って上がっていくことと、その際に軽く面談があるとのことだ。
最初は、討伐できるモンスターに従ってランクが上がり、その次にモンスターの上位ランクと依頼数で上がっていく。要はギルドとして信頼できる冒険者であるかと言ううことなのだろう。まあ、これから少しずつ依頼をこなしていきながら上げて行けばいい。
そうして俺もファナも記入を終え、カウンターにいる金髪ハーフアップエルフに渡す。
「確認しました。ではこちらをお受け取りください。」
そう言って、銀の腕輪が渡されてきた。装飾のない白色の腕輪だがその方面にはびっしりと模様のようなものが書かれてある。
「これは?」
「それは冒険者であると言うう証の腕輪です。まあ、登録書ですね。色でその人のランクがわかります。白がF~D銀がC~B金がA黒がSで色分けされていて、こちらで依頼した履歴と討伐したモンスターの種類と数もその腕輪でわかるようになります。ただし、ただし以来の数も討伐したモンスターも記録はギルドのみ行うことが出来ます。ですから以来完了後には必ずこちらに気来てください。」
と説明を俺たち二人で聞いていた。そこまでのことをこの細い腕輪で出来るとは正直驚いた。これにどうやって記録するのかと尋ねると。
「こちらの機器に腕輪をしている腕ごと通していただいてあとはこちらで入力したら登録されます。その再起をつけてほしいのはご本人様以外はできないと言うことです他の人が代理でやることはできませんでのご注意ください。」
出してきた機械は、血圧測定機能簿様なもので穴が開いているところに腕を通せと言うことなのだろう。
大体理解した。ファナも分かったようで此方を見て頷く。
「依頼はあちらのボードからお選びください、お決まりになりましたらこちらに持ってきてください。」
「解りました、では失礼します。」
職員に頭を下げ、腕輪を嵌めると少しピリッとした感覚があったが別段気には留めず、案内されたボードへと歩いていく。
「さて、、、、なにがあるかな、、。」
ボードには多くの張り紙が折り重なって張られていた。しかしカテゴリー分けはされているようで、採取、討伐、護衛と多岐にわたる。その中で俺達が受けられるのはFとEのランク付けられた依頼だけだ。そうすると以来の数も多くなり正直どれを選ぼうか迷ってしまう。
「ファナ、どれがいい?」
隣で俺と同じように、依頼書を見ていたファナに声をかけると、おもむろに一枚の依頼書を取る。
「香草の採取、この種類なら森の中に行けばすぐ見つかると思うから。」
ふむ、確かにこの種類なら森の中で暮らしていた時に何度も取った記憶がある。今も俺のアイテムボックスの中に入っているし、まあこれくらいならすぐ終わるだろう。
「分かった、じゃあこれで行こうか。」
「うん!」
そう言って依頼書をもってカウンターへ行くと先ほどの金髪ハーフアップエルフ嬢に依頼書を提出する。
「これをお願いします。」
「はい、マクニウ草ですね。ではこちらをお持ちください。このクエストの版権になります。依頼完了時に依頼物と一緒に出してください。」
依頼書を渡すと金属の板が手渡される。これが俺がこの依頼を受けたと言う証のようで名前と日時が記載されていた。
「では、お気お付けて。」
「行ってきます。」
俺達はカウンターを背に出口へと向かっていった。外に出ると日の光は頂点に差し掛かっていた。昼時のギルド前は、屋台が幾つか並んでいて人だかりも多い。昼飯に幾つか買っていことファナを見るとその目は屋台をロックオンしていた。
「何か買っていくか?」
「うん!」
元気よく返事したファナに苦笑しながら目の前に丁度空いた屋台があったのでそこに向かうと。
「いらっしゃい!」
と元気に挨拶してくる、青いバンダナの40代くらいのおっちゃんがにかっと笑いかけてきた。
「串焼きの香草巻きを十本ください!」
即座に応答したファナに、びっくりしたのか目を見開いたおっちゃんが苦笑していた。
「あいよ、ちょい待ってな嬢ちゃん。」
「うん!」
そう言っておっちゃんは、櫛をもって炭火で焼き始める。その途端香ばしいタレの匂いが漂い始め、肉の焼ける音と煙が俺達の五感を支配していく。
たまらずゴックっと喉を鳴らす。匂いと音を堪能していると。仕上げと言わんばかりに香草を肉の上に乗せ、巻いて串に刺していく。
「ヘイ!お待ちどうさん!!銀貨3枚だ!」
「ああ、これでいいか?」
「あいよ、これおまけな!」
そう言って銀貨を渡して返す形で同じ串焼きを2本差しだしてくる。
「ああ、ありがとう。」
「おう!またよってくれよな!」
礼を言っておまけにまらった串焼きにかぶりつく。滴る肉汁と濃厚な脂の味とそれを引き立てる香草の苦みが肉の旨さをより一層引き立てる。
うまいと唸っている横では、ファナが両手で抱える串焼きの束が入った袋の中身が次々と口の中に消えて行っている。
「うまいか?」
「うん!」
口の周りをタレまみれにしながらニコニコと笑っている。その顔に不安の顔はなく見ているこっちが幸せになるような笑顔を浮かげている。府と周りに視線を向けると、行きかう人は相変わらずファナへ視線を向けていたしかし先ほどとは打って変わってその顔は皆ほほ笑んでいた。
腹も膨れ、正門での出門手続きを済ませると。俺達は人目のない森の中へ入ってファナに変身してもらう。ここからは目的の場所まで少し距離があったため翼を借りようとお願いしたのだ。
集中する彼女から光が迸りその姿は竜へと変えていった。それを確認すると俺は首を屈めたファナの背に乗りそれを確認したら一葉に翼をはためかせ晴れ渡る大空へとその身を沈めていく。
「今日もいい天気だ。」
頬をなでる風は若干冷たく、しかし晴れ渡る空から降り注ぐ日差しが心地よい。そんな秋晴れの空を俺達は飛んでいた。
眼下に広がるのは、緑に赤に黄色と言ったいろとりどり木々達まさに秋真っ盛りの風景が広がっていた。
「ファナ、寒くないか?」
『大丈夫、風は冷たいけど何ともいよ。』
ドラゴンは爬虫類の類で、寒さには弱いと思っていたがファナには、無用な心配だったようだと安心しその背中をなでると嬉しかったのか『グルルル』と嬉しそうにのどを鳴らしていた。
しばらく空のデートを楽しんだ後森の間にぽっかりと空いた草原が目に入る。どうやら目的地に着いたようで俺は下りるように指さす。
広い草原には何も居らず翼をに散会はばたかせて着地し俺も降りる。だなも変身を解くと俺に近寄ってきた。
「この辺なら目当ての香草、マクニウ草だったか、生えているだろう手分けして探そうか。」
話し合い二手に分かれて草原の中を進んでいく、ひざ上まで生えて草をかき分けながら、マクニウ草独特のにおいを探す。しばらくするといくつかまとまって生えているのを見つけた俺は、数本を残して摘み取っていく。
町違う場所でも同じようにしてマクニウ草を摘み取りアイテムボックスの中に入れていく。すべて取らないのはまた来年生えてくるようにするためだ。すべて摘み取ってしまったら数が減少してしまう。これも森で生きていくための暗黙の掟のようなもので、森の中で暮らしていた時もそうしてきた。
しばらくして俺達はその草原で採取を続ける。時折吹く風がとても心地よい。軽く汗を拭い休憩しながら作業をしていた。大部分取ったと思いファナを見るとその手には大量に握られたマクニウ草の束が目に映る。
持ちすぎたのか、その姿は草で隠れよたよたと前が見えない状態でこちらに近づいてくる。俺はその姿に苦笑しな近づいていくと。
『『GuuuooooooooAA』』
その声に反のして、そちらへ振り向くと、風の日の匂いが乗ってくるのを感じた。どうやらそう遠くないところで何かが戦っているのだろう。と思い目線を奥の森へと向ける。
「ヴァン、今のは、、、。」
両手いっぱいマクニウ草を持ったファナが俺に近づいてくる。ファナも感じ取ったようでその表情に若干緊張が見れた。
「ああ、誰かが戦っているようだ、何か感じるか?」
ファナからマクニウ草を受け取りアイテムボックスにしまうとそう聞いた。ファナは五感が鋭く俺よりも敏感に気配を感じ取れるようで、目を瞑って耳を澄ましている。
「大勢のモンスター、、、、、それから、、、、人が数人いる。」
「囲まれているのか、、、。」
さて、ここにきてトラブルか、、その人がモンスターをかたずけていれば問題ないが、危機に瀕しているなら助けるべきか、、、とりあえずは。
「一度様子を見に行こう。もし苦戦しているなら加勢に入る。」
ここまできてその人たちが無事に乗り越えられるならいい、しかし乗り越えられずそのまま死んでしまったら俺は後悔する。ならここはしっかりと最後まで関わろうと思った。
「分かった、、、ヴァンならそういううと思ったよ。」
「そうか、すまないな。」
「大丈夫、私はどこまでも付いて行くから。」
彼女の言葉に、「ありがとう。」と言って声がした方向へと走り出す。木々の間をスルスルと躱しながら進んでいくと。そこにはモンスターの群れに囲まれた4人の冒険者が背中合わせで武器を構えていた。




