第一章四節
ヘイズの森を抜けた先にいたのは盗賊集団に襲われている騎士の一団だった。俺達はその戦いに加勢して盗賊集団は壊滅し、それから数時間経過した今はあとかたずけをしている。
盗賊たちの死体を一か所に集めて俺の炎で火葬をし穴へ埋めるとゆう作業をした後、俺達は騎士の一行と共に少し離れた場所へ移動し野営をすることになった。
日も傾き、これ以上の移動はできないとの判断だった。しばらく街道を進んだ所に、周辺は岩場で少し丘になっているところに野営の準備をするため各々が作業をしている。
俺はいつものように簡易釜土で鍋を混ぜていた。まあ、森の中を行軍して数日間野営をしていたので慣れた手つきで作業を進めている。
「♪~~~。」
今日は、言うかここ最近はシチューくらいしか作れていない。山で捕まえた羊型の魔物から取ったミルクに、クルミといった物を粉にしてそれでホワイトソースモドキを作る。
具には香草と野草、あとは肉類を根気よく煮込んで。味は、塩と、川魚の骨とキノコを粉末状にしたもので整える。胡椒等があればもう少しバリエーションを増やせるのだが、無い物ねだりをしてもしょうがないので、肉の種類を変えるくらいしかできないでいる。
今日の肉は、ヴァファローの肉を使用している。そろそろ次の仕込みに移ろうかと思い。隣を見ると。鍋を輝いた目で見つめている。
腹が減っているのかなと俺は、苦笑した。
「ファナ、しばらく鍋を見ていてくれないか?」
「うん。」
丁度いいのでしばらく鍋の番をお願いしようとお玉を隣で見ていたファナに渡す。俺はkgくらいある肉の塊を出すと仕込みを始める。
塩を揉み込んで乾燥させたパリパリの香草を少し加えると、そのまま熱していた鉄板に乗せる。ジュウウウウ!と肉が焼ける音それと同時に牛肉の香ばし匂いが辺りを支配した。
その音と匂いに周りで作業をしていた連中の視線が俺に向く、隣のファナも鍋を回しながら視線は焼いている肉の方へと凝視している。
うん、気持ちはわかる。俺も腹が空いてきた。これをホカホカご飯の上にのせて玉ねぎを炒めてソースを作ってがっついて食べたいという欲望がふつふつと湧き上がる。
しかしここには勿論ない!そもそもこの世界にあるかもわからない。エヴァたちに聞いてみたら見たことがないと言われ一時期絶望してしまったが、世界はまだ広く行っていない場所にあるかもしれない。
絶対見つけ出す!とりあえず、次の町で情報を集めようと思っていると。
「う~~ん♪いい匂い!!それ何の肉?」
背後から声がかけられる、そこには腰下まで伸びた金髪ロングポニーテイルエルフが近づいてきた。
「お!君は、、、、ええ、、、と、、、ああ、美乳エルフさん!」
「ふん!!」
バキっと拳が頭に飛んでくる。しかしちっとも痛くない。手加減したのか?と彼女を見ると割と本気で殴ったようで「いった!」と言って自分の手をさすっている。
「大丈夫か?」
「アンタ!一体どんな頭してるの!殴ったこっちの方が痛いんだけど!!」
「すまなかった。美乳エルフさん、、、。」
「シャルル!シャルル・マフィオロス!!さっき自己紹介したでしょ!」
「すまん、すまん。」
と言い、正面の調理に戻る。うん、いい感じで出来上がっている。
俺は、ナイフでその肉をスライスし、半分に折って串にさす。三枚ほど刺し終えると。後ろで、「ちょっと、無視しないでよ!」と騒いでいるエルフに向き差し出す。
「悪かったって、ほら味見してくれ。」
串焼きを差し出すと俺は思った。エルフに肉はだめなんじゃないかと、しかし彼女は戸惑いもせずに受け取るとそれにかぶりつく。
「なにこれ!おいしい!!」
「それはよかった。けどエルフって肉類がダメなんじゃなかったっけ?」
「何それ?、、、、確かに大昔はそうだったけど今はほとんどのエルフは食べられるよ。まあ、中にはダメって言うのもいる。」
「そうか、まあ大丈夫ならいいか。」
それを聞いて安心して料理を出せるなと思ったら、袖が引かれる、ファナが物欲しそうにこちらを見ていた。
やれやれと言って同じように串焼きを作り手渡すと。受け取ってニコニコ顔で食べるている。
「ねえねえ!お替り頂戴!」
「もうすぐ出来上がるから。それまで我慢しろ。」
「ええ~いいじゃん!いっぱいあるんだからさ~、、ゴッフ!」
「お前は何をやっているんだ馬鹿者!」
シャルルが顔から地面に倒れる。何事!と俺がそれを見ると腕を組んで仁王立ちしている女エルフが立っていた。
「愚妹が申し訳ない。」
「い、いや、気にしなくていい。ええっと、、、。」
「ミレーユ・マフィオロスだ、先ほどの戦闘では命を救われた。改めて礼を言わせてほしい。」
そう言って彼女は俺に向かい頭を下げている。エルフでシャルルの姉のミレーユこっちは顔はミレイユと同じで、ロングヘアーの金髪、スカイブルーの瞳をしている。
貴族と言う話だがとても礼儀正しく。妹のシャルルとは正反対の性格をしているようだ。
「俺に何か用か?」
「ああ、いや仕事もしないでサボっているこいつを探していたら声が聞こえたので来てみたわけだが、、、。」
と視線は妹、、、ではなく俺の焼いている肉へと注がれる、、、、なるほど。
察した俺は、先ほどの焼き串を作りミレーユへと渡す。
「良かったら、味見しないか?」
差し出された、串焼きに一瞬目を輝かせたが、振り払うように目を瞑り、真剣な顔で。
「いや、もうすぐ出来上がるのだろう?その時にいただ(グゥ~)、、こ、、、う、、、、。」
かわいらしい音がなる、音の方に目を向けるとミレーユの腹の音だったようだ。
ハハ、と俺が苦笑していると。
「!!!!!!!」
顔を赤くしそっぽを向くミレーユ、その顔の先にはシャルルが「ぷぷぷぷぷぷ」と手で口を押え笑っていた。
「お姉ちゃんそんなにお腹が空いたのw?無理しなくていいのにwほらここは正直に、「おいしそうな匂いにつられました!」って言ってもらっちゃいなよwww。」
先ほどのげんこつのお返しと言わんばかりにシャルルがからかっていると。
「・・・・・・・」
ものすごい怒気がミレーユから漂ってきているのを感じる。
その雰囲気に若干俺が顔を強張らせる、もちろんシャルルもそれに気づいたようで。
「あ、やっば、、、、、ごっはっぢゃ!」
雷が落ちたような音と共に拳はシャルルの頭から地面へと叩きつけるように殴られシャルルは顔面から倒れる。
その光景に唖然としていた俺たちに顔を背けているミレーユ、その耳は真っ赤に染まっていた。
「もう作っちまったから受け取ってくれると助かるかな?」
「、、、すまない。」
そう言って焼き串を受け取り一口、また一口と食べるうちに顔から怒りは消え目は輝き残りもあっと言う間に平らげてしまう。
「旨かった、食事時を楽しみにしている。」
そう言って、伸びているシャルルのの襟元を掴み引きずって離れていく。
その光景に苦笑いを浮かべ、残りの調理を続ける。
「面白い人たちだね。」
「ああ、そうだな。」
先の盗賊集団で襲われていたのはあのエルフ、シャルルとミレーユの所属する騎士団のエルフ達。
そう、この騎士団だ全員エルフしかも女性で美人の集団だった。盗賊も襲いたくなるなと思った。
実際、この付近では盗賊による人さらいが頻発していた。この騎士たちもそれの調査と討伐を目的にここまで来ていたとか、初期の段階では数は多くないとの報告だったので少数精鋭で挑んだが、実際にはあまりにも数の差が出て窮地に陥ったそうだ。
当初は押していたが、次第に増える盗賊に苦戦をしていた所俺が助けに入ったとゆうのが先ほどの戦闘の顛末だ。
「なかなか食欲をそそる匂いだな、竜騎士殿。」
と、考えに耽っているとまた後ろから声が聞こえた。
みんな食いしん坊かな?と思って声へ振り返るとこに立っていたのは、、、、。
「もうすぐですよ伯爵様、そちらの話し合いは終わりましたか?」
「ああ、あとは貴殿を交えた最終確認だけだ。」
そこに立っていたのは白い髪に長い耳、肌は浅黒い肌をした美壮年の男性だった。
彼はこれから向かう町オルスの領主で名前をウラド・ロスイスと言うダークエルフだった。
「部下が迷惑をかけたようだな。」
先ほどのやり取りを見ていたのか苦笑している。
「気にしないでください、こちらもこれからお世話になりますので。」
そう、この領主様にはこれまでの経緯を簡単だが説明した。これからお世話になるので包み隠さずにすべてを放そうと思っている。その理由が、、、。
「ヴァン、こっちは終わったから向こうに持っていくね。」
「ああ、わかった。」
俺の隣で鍋の具合を見ていたファナは、軽く伯爵様に向かってお辞儀をした後、鍋を抱え配膳台へと向かった。
「しかし、改めてあのお嬢さんが、先ほどのドラゴンだとは今でも信じがたい。」
「やっぱり珍しいんですか?竜人族が竜に変身するのは?」
「ああ、竜人族自体この国にはあまりいない、それも先祖返りとなると見たことがない。」
「彼女にも色々とありましたから、できれば普通に接してくれると嬉しいです。」
「ああ、もちろんだ。」
それを聞いて俺は安心する。ただでさえ目立つ竜人族のファナは少し人見知りで初めて会う人には俺の背中に隠れてしまう。
この国で、ファナが珍しい存在であると聞いた時一番危惧していたのが人目を引くことだった。
もちろん、何があっても彼女を守ろうと思ってはいるが、今後はいろんな人接する機会が増える、だからか彼女に好意的な人が増えるのはいいことだと思った。
「では、私はそろそろ行かせてもらう、食事を楽しみにしている。」
「ええ、期待してください。」
「なかなかの自信だな、期待しよう。」
伯爵は踵を返し、俺はそれを見送り、期待に応えようと仕上げに入るのだった。
「では、話を聞こうか」
周辺はすっかり暗闇に支配されている時間。俺たちは焚火を中心に倒木に腰を下ろして向かい合っている。
俺の右に、ディオス、バルダス、エヴァの神聖帝国元軍人、その向かいに、ウラド伯爵、その後ろにミレーユとシャルルが立っていた。
「では、これまでの経緯を説明します。まずは、、、、、、。」
俺はこの世界に来たことからそれまでの生活を語り始める。
俺自身が、魔人と呼ばれるもので、真龍ファフニールによって育てられたこと。
ファナの集落が神聖帝国国内にあり、全滅させられた経緯とその内容、そして俺が助けて一緒に暮らしていたことも。
途中そのことを話してたら伯爵は無表情で、ミレーユは苦虫をかみつぶしたように眉をひそめ、シャルルは涙していた。
「まあ。俺たち自身については、これくらいかな。」
「ヴァン殿は、、、、ファフニール様の縁者なのか、、、、。」
「知っているんですか!!?」
伯爵のその言葉に俺は驚いた。
「ああ、今から510年前くらい前に、ヘイズの森で遭難した時があった。その時に既知をを得た。まあ、この話はいいだろう、続きを聞かせてくれ。」
「では、続きは私の方から。」
そこからは、ディオスたち三人が細かく説明していく。
まずはここに来るまでの経緯と今回ヘイズの森で起きたこと。自分たちの身分もすべて話していた。
このことに最初伯爵も騎士エルフ二人も、驚いていた、なんせ、神聖帝国がこの国に入るためには、高い山脈を越えなくてはならないからだ。
それを可能とした、飛行船に興味を持った伯爵は、「後で見せてくれ!」と言ってきた。
あの時、エヴァ達が移動に使った飛行船は俺のアイテムボックスの中に入っていた。
この世界、向こうの世界でも滅多に見れないのでよく観察して触ったとたんアイテムボックスに入ってしまった。
それを見ていたディオスが、預かっていてほしいと俺に声をかけ、俺もそれに同意した。
ディオスはこの飛行船の艦長で、いろいろと思い入れのあることから破壊されたこの飛行船を解体しようと集まってきていたのだ。解体して二度と使えなくなるより、その方がいいと言っていたのだ。
実際船自体の損傷は軽微で修理すればまた飛べるみたいだった。そその時まで俺が預かっているのだった。
そして異形のモノ達、それ自体の存在を神聖帝国所属のディオスもその存在を知らなかったことから、詳しく説明できなかった。
「実際私たちは、5人で一体倒すのがやっとでした。魔法も斬撃も効きにくく足場を崩してめった刺しです。」
バルダスは、そう言って肩を竦める。あの時の戦闘を思い出しているようで、眉間のしわが深くないいている。
「それでその後はどうなったのだ?」
「それからは、、、、。」
その続きで、ファナと俺が契約をした経緯を話した。俺はその時もらった剣と槍、フィオロス、クロトスを出して見せる。
槍と剣を見た伯爵は、それを真剣な表情で見つめると、神妙な顔で俺に言った。
「この武器は、、、、神器、、、、。」
と呟き、俺以外の全員が驚いた顔をしている。俺は首をかしげて「神器?」と聞きなおすと。
「神器とは、この世界が生まれるきっかけとなった神々が使用していたと言われる。宿す魔力が強力で使用者を選ぶと言われている。もしこれを使用者以外が使えばたちまち死んでしまうという物です。」
伯爵の後ろで、ミレーユがそう説明してくれた。ファフ爺なんてものを俺に渡したんだ。
「でも、ヴァン君が問題なく使えてるってことは本当に魔人なんだね。」
うん?神器を使えることが魔人の証明になるのか??
それについてはミレーユが補足してくれた。
「神器の多くは魔力の保有が多いものか、魔人だケガ使用できたと記録にあります。実際この国にも複数の神器があり使用している人すべてが一定以上魔力が高いものです。ですからヴァン殿がこの神器を使用できるとゆうことがその証明になると言うことです。」
なるほどと俺が納得したのを見て、伯爵が話始める。
「ヴァン殿この神器は、数が少なくそれこそ国宝級に当たる。それを使えるのはヴァン殿だけだが、欲しがる奴は多くいるだろう、気お付けてほしい。」
「使うな、とは言わないんですね。」
「使わないのか?」
「いいえ、これからもこれを使いますよ。ファフ爺が俺にくれた形見ですから。倉庫の、、、アイテムボックスの肥やしにはしたくありませんから。」
と俺が答え、伯爵もそれに満足して頷く。
「事情は分かりました。あなた方の亡命を受け入れましょう。」
「本当ですか!!!」
「ええ、話を聞く限り、あなた方が嘘を言っていないことがわかりました。ですから信用も出来ます。ですから、ようこそ我が国へ!これからよろしくお願いします。」
伯爵は立ち上がり、手を差し伸べる。ディオスもそれに習って、立ち上がりその手を取って固く握手をする。
「ありがとうございます。これで部下たちが路頭に迷わなくてすみます。」
俺はその二人のやり取りを見て。
(無事に終わったか。)
と安心するように息を吐く。俺自身ができるのはここまでだろう、あとは彼らがこの国でうまく生きていければと心から願うのだった。




