第一章三節
「出発する!」
朝、日の出の出る少し前、西の空はほんのり赤く染まり、頬を掠める風は冷たく吐く息も白い季節。
も少しで冬になる時期、私たちはこのヘイズの森を抜けるため南へと足を進める。
冬になればこの森から抜け出すことも出来ず、寒さで凍死をしてしまう恐れがある今何とか数日で準備を進め、一番近くの町オルスへと向かう。
「エヴァ隊長!こっちも準備できたっす!」
「分かりました、こちらも出発します。」
金髪ショートポニーの少女ポロナの元気いっぱいの声に、苦笑いを浮かべ号令を出す。
朝からとても元気ですねと、少しうらやましく思う。
今私たちは10人3組で森の中を歩いている。前衛のバルダス大尉は草を踏み枝を払い道を作り、中衛の私たちは、非戦闘委員を中心にしたハンデそれに続く、後衛のディオス大佐の班が後方を警戒するとゆう形をとる。
先発した大尉が道を作るお陰で歩きやすくなっているが、時折見せる木の壁が行軍を遅らせている。今も目の前には隙間なく視界を埋める木々が立ち塞がるように生えている。
「これはまた。大将!たのんます。」
そこに出てきたのは、この森で出会い私たちを助けてくれた青年、ヴァンさんだった。
黒い髪に赤い目をした青年は、どこからともなく出した剣とそれと同じ刃の刃と長さをした槍を出すと気合一閃と共に木々は次々と倒れ道が出来上がっていく。
「お見事です大将、助かりました。」
と大尉がそう言ってできた道を進む、切り倒した倒木はヴァンさんが手で触れると、次々と消えて行く。
「何度見ても不思議っすよね、アイテムボックスは、一体どこにしまっているっすかね?」
私の後ろにいるポロナはつぶやく。そう、彼はアイテムボックスと言うアーティファクトを所持し、そこからいろいろな物を出し入れしていた。
現に今、私たちが森の中を歩くのに対して軽装でいられるのも彼が水や食料といった生活物資をそのアイテムボックスにしまっているお陰だ。
「いや~助かるっすね!お陰で自分たちは越して手ぶらで歩くことができるっすから。ヴァンさん様様っす!」
「ええ、でも油断だけはしないでね、この森にいる魔物がいつ襲ってくるか分からないから周辺の警戒はしっかりしてください。」
「了解っす!」
敬礼するポロナ、本当に元気ですねと言って足を進める。
私はそんな彼女が少しうらやましく思った。あれだけのことがあってもそうしていられるのが、ここ数日で私たちは人生が大きく変わった。
私たちは、裏切られた。国に全てを奪われてしまったのだ。そもそも今回の任務も怪しいところがあった。
強引な作戦内容に首をかしげるが私たちに隊はこれが初任務と言うことでそれほど疑問に持つ者はいなかった。
ドラゴン退治と言うことで皆が名誉と栄光を掴めると私たちは深く考えなかったのだ。しかし実際ふたを開ければご覧のありさまである。
退治するはずの邪竜は居らず、代りに青年がいた。そして彼との切り合いのさなか、任務に疑問を持った時、背中から襲い掛かる私の部下それを身を挺して守ってくれた。
しかし、呆気にとらわれ隙ができた瞬間に私も背中から切られてしまった。その後のことはよく覚えておらず。目が覚めると隊の5割が壊滅船もなく私が持っていた槍もなくなり絶望していた。
そんな時彼が私たちを励ましてくれた。生き残ったみんなが生きて行けるように傷の手当てや住む場所を提供し食料も分けてくれた。
聞けば、あの後異形のモノ達によって私たちの部隊は壊滅していただろうと、聞かされた時、私たちは捨てられたのだと悟った。
わたしは勿論、大佐もこの件に関しては知らないと言っていた。これまでの話を見ても、私たちは最初から捨てることを前提として作られたのだと悟った。
帰れない今私たちは、南に位置する国シェディオルス帝国への亡命を決断する。それに祖国へ帰国しても死んだことになっている私たちは、今回のはかりごとをした連中に消されてしまうだろいと考えたからだ。
いったいなんのためにと、最初は疑問だった。国から切り捨てられた理由を考えても答えは出ないまま今日まで来た。
「今日はここで野営する!」
その言葉に私は考えていた頭を振り、今はこんなことを考えている場合ではないと、各々に指示を飛ばし野営の準備を進める。
ブチブチバキバキャ!!!ものすごい異音がした。そちらを見ると目の前には木々を根っこから抜き取る少女の姿。青い髪に金の瞳の少女しかし頭には赤い角が生えており人ではないことがわかる。
その少女は、きょさな体で彼女の数十倍はある木を地面から軽々と持ち上げている。彼女は竜人族、数は少ないが複数の集落を森の中や山の奥地と言ったところに作り生活していると昔聞いたことがあった。
竜人族の彼女がなぜここにいるかとゆうと、私たちを襲った例の異形の者たちによって村が滅ぼされてしまったからだと言う。傷つきこの森にたどり着いたときヴァンさんに助けられたからだと聞いた。
もちろん私たちの軍がそんなことをしているという話は聞かない。そして使われた石板もその異形の者たちも私たちは全く知らない。
どうやら今回のことと大きく関わりがある事件のようだ。なぜかと問われると全く見当もつかない。
私の国がそんなことをしていたとは知らず酷くショックを受けた。私は、彼女に対して謝罪をと声をかけたのだが。
「今は、幸せだから。仇も打てたし気にしていないとは言えないけど、あなた自身がやったことではないから。だから大丈夫です。」
それ以降この話題を上げることはなく彼女っとは一歩引いて接していた。
「ファナさん!ごはん一緒に食べましょっす!」
「うん、配膳が終わったらね。」
「了解っす!自分も配膳を手伝うっすよ!」
「ありがとう。」
とこの隊の中で一番親しいのはぽろなだった。彼女の過去を知っても、臆することなく接することができている。本当にうらやましいと思う。
今の私には、そこまでの余裕はない、ただ一心にやるべきことをして今の私が置かれている状況を忘れたいと思っている。
「私はいったいこれからどうすれば、、、。」
と悩んでいる、ここしばらくはこのことばかり考えている。
するとどこからか香ばしいにおいが漂ってくる。匂いの元を探して視線を動かしていると、一人の青年が石で囲った焚火の上に鉄板を置いて調理をしている。
鍋からは濃厚なクリームのようなシチューの匂い、その横には鉄板で肉の塊を焼いている。
「二人とも、もうすぐできるからは以前の準備をしてくれ。」
「了解っす!
「わかった。」
二人は木の机に並べてあるさらに次々に盛り付けしてある。 野菜はないが、キノコをふんだんに使ったシチューの上に焼いた魔鹿の肉を薄くスライスした物を並べていく。
「さあ!さあ!!皆さんご飯の時間っすよ。手の空いている人から並んでくださいっす!」
「おお、待ってました!」「はらへった!」「今日は何だ?」
と口々にいって、皿を取りにみんなが並び始める。私も手が空いたので、列へ向かう。
「エヴァ、お疲れさま。」
私にシチューの入った皿を渡してくる青年、ヴァン。
「今日は初日だったけど、大丈夫だったか?」
「ええ、問題ありません。それよりもあなたの方が疲れたのではない?前で道を作ったり先行しての偵察行動、そして配食の準備。私たちより動いていますよね?」
「これくらい大したことないさ。それに交友大人数での行動は何か楽しいから大丈夫だよ。」
「そう、でもあなたが倒れてしまったら元も子もないのよ、気お付けてくださいね。」
「なに、これくらいは軽い軽い!問題ないさ。笹、冷めないうちに食べてくれ。」
「ええ、ありがとう。」
渡されたシチューから濃厚な香りが食欲をそそる。
「はあ~、おいしい。」
食べると体が温かく今日の疲れが吹き飛ぶようだ。ちょっと悔しい、私にはこんな料理を作ることはできない。女として少し情けない。
「いやー、付かれた体にしみる味だ!」
「全く、夜は冷えてきたからありがたい。」
まったくだと思い、残りのを食べようとして気が付く。
「あら、、、、、、、。」
いつの間にか食べきってしまったようだ。少し考えて席を立つ。おかわりをもらいに、、、。
もらいに行った先で、笑いが起こる。
空は快晴、雲一つなく風も微風で心地よい風が頬をなでる。俺はファナに乗り、風を感じ長るゆっくりと空の散歩を楽しんでいる。
ここまで数日は順調な道のりだった。森の中心から遠ざかるにつれ木々の密度は薄れ歩きやすくなっていた。もう少しと言うところで俺は出口付近の偵察をしに空を飛んでいた。
そう、ここまでは問題はない。
「問題はないはずだったんだけどな~、、、。」
眼下を見てため息をつく、そこでは複数の人間がいた。数は40人がそこに居た。その人数のほとんどが一人一人がバラバラできている服も古臭くボロボロなのが見えた。
『ヴァン!あれを見て!!』
ファナが首を向ける方向に目を向ける。そこには複数の人が固まっているのが見える。その姿はどこかの騎士を思わせる統一された鎧鎧を着こんでいるのが見えた。そしてその周辺では先ほどのボロボロの装備をした人間が転がっている。
「襲われているのか?」
数に差はあったが問題なく対応しているようふだ。襲い来るものが次々に打ちたいされているのが見える中でも、赤いマントを着た二人の騎士が飛びぬけて強いようで次々に敵をなぎ倒している。
『どうするの?』
「ああ、、、、。」
このまま助けに入るか。どうするかと悩んでいると下の方で変化があった。数に物を言わせ陣形内に敵がなだれ込んでいる。その強そうな二人組は徐々に後退していきまさに危機に陥っていた。
「いくぞ!ファナ、ここで見て見ぬふりはできない!」
『うん!」
ファナは身を翻し降下していく、俺は剣のフィオロス、槍のクロトスをボックスから取り出すと地表であの二人の騎士が押し倒されているのが見えるよく見るとその二人は女性だった。
必死に抵抗しているが複数の人に抑え込まれている。
「せええい!」
クロトスを投擲し男を世界ら串刺しにする。釣ずいて俺はファナから飛び降り振り被ったフィオロスで首を切り落とした。
「な!なんだ!!」
ザシュ!声をした方に剣を振う、その男も物言わぬ死体となり辺り一面を鉄臭いにおいが立ち込めた。周りを見ると俺の存在を確認した盗賊たちは、馬頭を吠えながらこちらに向かってくるのが見えた。
「おお、くるくる。」
投げはなったクロトスを手に取り肩に担ぐ。俺は余裕の笑みを浮かべ。
「そこに居ると危ないぞ!」
と声をかけると、ズドオオン!と大質量が地面へと激突する。ファナだ。
『グオオオオオオオオウウンン!!!!!!』
着地したファナは、咆哮を上げる。それを聞いた盗賊集団は金縛りがあったように動かなくなった。
「おおらああ!」
それをチャンスと俺は集団へ飛び込む。棒立ちになっていたところにクロトスを突きこむ。
ボン!と突きこんだ槍のの先で音がなる。盗賊は訳も分からずその人生を終えた。その音に他の盗賊たちが一斉に俺を見て唖然としていた。
「な!なんだあれは!!」
「ど、どどどどドラゴンだーーーー!」
「ひぃいいいい!」
まさに混乱状態、それ稀優勢だった盗賊は脱兎のごとく逃げている。
すると、後ろで声がした。
「き、君たちは、、、。」
その声に振り返るとそこには先ほどの騎士が座り込んでいた。整った顔に金髪ロングポニーテイル青い瞳が俺を見ていた。
「味方だ、今が反撃の時だぞ!」
と声をかけると盗賊の逃げた先に目を向ける。壊走状態にある背後にファナはブレスを吐く。
「ぎやあああああ!」
いくつもの悲鳴が聞こえその身を燃やしていた。
「ファナ!あまり本気で吐くなよ。」
『わかった。』
そう答えたファナと同時に盗賊が逃げた先でも悲鳴が聞こえる。
「なんだ?」
と眺めてみると、そこには緑色のフードをかぶった集団が盗賊の行く手を遮っている。 バルダス大尉だ、どうやらうまく回り込んで退路を断っていたようだ。次々に盗賊は倒されていくのがみえた。
「終わったな。」
と俺は武器をしまいバルダスたちの戦いを眺めていると。
「あ、あれも、、、味方?」
先ほどの騎士が俺の隣に立っていた。
「ああ、俺の仲間だ。これで残党は殲滅できるだろう。」
「あ、ありがと助かったよ~。」
「ああ、どういたしまして。ケガは、、、、、、、無いようだが。その恰好では風邪をひくぞ。」
「へ?」
と俺はロングポニーの女騎士を見るとそこには、鎧がはがれ服が大きく切り裂かれて二つの丘が見えていた。うん!眼福眼福。
「な、ななんあななんな!!」
俺の視線を負い自分の今の状態を確認すると首から顔から、尖った耳にかけて赤くなっているのが見えた。
うん?尖った耳??
「エルフ!君はエルフか!!」
とまじまじと俺は彼女、エルフの女騎士をまじまじと見つめていると。
「み!見るなああああああ!」
バチッチン!と平手打ちを食らった。
遠くでは鬨の声があげられ、盗賊は殲滅されていた。




