第一章二節
夜、俺は大木の前に立っている。周りはかすかに虫の声が聞こえる以外は静かだ。
(ファフ爺、行ってくるよ。)
木に手を当てて別れを告げる。この一年間,ここに来るたびいろんなことを話してくれた、そして長い間俺を見守りつ続けてくれた。
ファフニールと言う竜はこの地で静かに眠る。
(ありがとうファフニール、俺はこの世界で生きてくよ。だから安心してほしいおもえのことは絶対忘れないから)
ありきたりな言葉だが、これで彼の魂も安らいでくれればと思う。
「ヴァン、、、。」
背後から声が聞こえた。そこには青いショートの髪に二本の角が生えている少女、ファナだった。
「ファナ、まだ起きていたのか?」
「うん、なんか寝付けなくて、外に出たらヴァンが歩いてたのを見つけて。」
そう言って俺の隣に立つ。その目はファフ爺かいた場所を見ている。
「私も挨拶してくるね。」
片手を突き静かに目を瞑る。その姿おみながら俺は思い出していた。
暗闇の中でファナの手を取ったあの時、俺とファナは繋がった。
心と命が一つになったのだと感じた時ファフ爺が現れ俺に最後の別れを告げた。
『どうやらうまく行ったようだな。』
空間いっぱいに広がる青い景色、その中で俺とファナは空中に浮いてる。
足場がないせいか不安になる感覚を、お互いが寄り添うことで緩和しようと抱き合う。
今サラダが二人とも裸でいろいろと見えているが、今はそんなことを気にしている場合ではいく少し不安になり辺りを見回していると声が聞こえた方を見ると。
「ファフ爺。」
目の前には、ファフ爺の顔が見える。しかしのその姿は木と一体化したいつもの姿ではなく、後ろ脚と尻尾がしっかりと付いている竜の姿そのものだった。しかしその全体は半透明で向こう側の景色が透けて見える。
ファフ爺本来の姿なようで、いつもより何倍も迫力が増しているのがわかる。
『ヴァンよ、今のお前は非常に危ない状態だった。危うく命を落とすところだったぞ。しかしファナと儂の力を合わせ何とか救うことができた。』
と説明する、確かに今俺とファナは強く結ばれているのを感じる。熱い炎のように心は燃えているのが感じ取れる。
それはファナも感じたのか、胸に手を当て、俺を見上げた青はどこか恥ずかしいようで顔を赤くしている。
「確かに感じるよ、ファナとのつながりを感じる。いったいどんな方法で?この場所はどこなんだ?」
今のこの状況に混乱している頭、お前は死にかけたと聞かされ余計混乱する。思わず質問を投げかけるとファフ爺は答えてくれた。
『お主にかけた魔術、は契約の秘術で、お互いの命をつなげ生命力や魔力を増加させるというものだ。おかげで、お主の命は助かった。この場所は精神世界と言っていいか、二人の心象風景が合わさった結果生じた空間とゆうところか。危険はないから安心しろ。』
周りを見渡したファフ爺は答えた。そして俺は考える、秘術とファフ爺は言った。なら他にはどんな影響が俺たち二人に出てくるのかと。
それを察したのかファフ爺の話は続く。
『この秘術で、お主らは強いを得る。しかしいいことだけではない。それが命の共有だ。どちらかが死ねばもう片方も死ぬ。そして痛みや傷もお互いが共有する。』
まあ定番の内容だと思った。しかしそれはある意味呪いに等しい。そんなことにファナを巻き込んでしまったと顔をしかめてしまうまあさに胸が締め付けられるほどの思いだったがそれを知ってか知らずかファナは俺を見て声をかけてくる。
「私は大丈夫、全部覚悟していたから、それよりもヴァンが死んでしまうことの方が嫌だったから、だから私は大丈夫だよ。」
本当に安心したと俺wに顔か埋めてくる。そこまで言われては俺は何も言えなくなり頭に手を置いてなでることしかできなかった。
「そうか、ありがとう、、。」
ファナを抱きよせて思う。彼女のこの思いの俺はしっかりと答えてやろうとなら俺にできることはただ一つ俺が強くなりファナもそして自分も守れるように強くなろうとおもった。
『この契約の秘術にはいい点が他にもある。ヴァン、お主はファナと同じ竜の力が宿り使うことができる。今後一層身体が丈夫になり力が増すだろう。そしてファナ、お主は体に流れるエーテルが安定し竜の姿に再びなれる。そしてその力は以前よりも数倍増しているはずだ。そして最後にこれは儂からの贈り物だ。』
ファフ爺は両手も前へ出し輝きだす。するとその光は形を作り一振りの剣と、槍が現れた。
『これは生前、お主の両親が使っていた武具、剣はフィオロスで槍はクロトスと言う。』
二つは俺に近づき目の前で止まる。ロングソードの部類に入る剣はシンプルな作りの刀身をして、槍も同じ刀身で柄だけが槍のように長くなっている。
「これを俺に?」
『それを渡すためだけに儂は今まで生きてきたのだ、これでようやく旅立つことができる。』
ファフ爺は満足そうに眼を細める。その顔はとても安らいでいた。二つの武具は俺の中に入るように光となって消えた。
それと同時に周りの景色が光出しファフ爺自身もその中に消えて行っている。
『お別れだ。』
次第にファフ爺の影が薄れていく、次第に輪郭はなくなりその色も失っていくのが見えた。
それに反応した俺は叫ぶ!
「お別れって、なぜ!」
『儂の命はその二つの武具でつなぎ留められていた。それらをお主に渡すためだけ生きてきたのだ。役目を終えた今やっと眠れる。』
「ファフ爺!」
「ファフニール様!!」
手を伸ばすがその姿は徐々に消えて行きやがては光の粒子となり俺たちの周りを舞う。
「ファフ爺!、、、ファフニール!!!!」
『ヴァンよ、お前なら大丈夫、これからは好きに生きろ、儂はただお前の幸せを願っている。』
『ファナよ、こやつのことをよろしく頼む、何があったも二人で乗り越えて、そうすればどんな困難にも立ち向かえる。』
「分かりました、絶対離れません!」
それを聞いてファフニールは光の中へと消えていく。大量の粒子が舞い天へと昇っていく。
『では、さらばだ!』
光は天へと昇りそこから世界は白くなった。
ファフ爺の挨拶をもう少しこの場所に居ようと草むらへ腰を下ろして俺とファナは静かに巨木を見ていた。
これと言って話す話題もなくお互いの黙って巨木をファフニールがいた場所を眺めていた。
「ファナありがと。」
唐突に俺は、そう言った。あれからいろいろと忙しくて、なくお礼すら言っていなかったことを思い出いだした。
思えば、ファナと二人で話時間を作ることができないでいた。せっかくの機会にいろいろと確かめてみようと話しかける。
「ううん、お礼を言わなきゃいけないのは私、ヴァンには一杯助けられたから。」
と、こちらを向いて、花の咲く笑顔を向けてくる。
「そうか、でも俺のドジのせいでファナの命まで危なくなってしまった。それどころか契約者となった俺と運命共同体にもなってしまった。だから、俺に何かできることはないかな?少しでも君の負担を減らしたい。」
「私は、ここにきて死にかけて、絶望の中にいたんだよ。その絶望の中から私を救い出してくれたヴァンにいっぱい恩を返させて。それが、今私がやりたいことだから、だから、、、、、。」
そう言って、俺に腕を回し抱き着いてくる。お互いの心臓の音が聞こえ、ファナから香るいい匂いが鼻を掠める、体温が全身を包み込む感じが心地よい。
それはファナ自身も感じたようでより一層顔を埋めてくる。
「私は、ヴァンのことが大好きだよ。」
唐突に告白された。驚いてしたお向く向こうも見上げる瞳には俺に対する恋心だとわかる。
俺は、正直に言えばファナは好きだ。整った顔にスレンダーで均一の取れた体形をしている。性格もよく、丁寧で、物静かだ。だが一番は、時折見せる彼女の笑顔だ。
こちらを振り向いて笑う姿は、とてもきれいで心を温かくしてくれる。俺はそんな彼女のことが好きだと今しっかりと自覚した。俺が言える答えは決まっている。
「俺もだファナ、俺もファナのことが大好きだ。ずっとそばにいてほしい。」
と、自然に口が動く、こんなことをサラッと言ってしまった自分に驚いたが、俺の気持ちをしっかり伝えることができたことにとても安ど感を覚える。
「はい、、、私は離れないから!ずっとそばにいる。ずっと、、、、。」
「ファナ、、、、。」
お互いが、両思いであることを確認できたことで、俺とファナの理性はそこで潰える。
草むらに体を鎮める二人は、より一層深く繋がったことをお互い理解し、もっと深くへとつながっていくのだった。




