第一章一節
「そっちに行ったぞ!」
太陽の登りきった森の中で、声が聞こえる。
木と木の間をすり抜けるように巧みに逃げる猪、それを追いかける複数の兵士の一人がこの先に待ち伏せをしているであろう仲間に声を飛ばす。
「了解っす!」
「ロープを引け!!」
ブギャアア!
体長90㎝くらいのイノシシは待ち構えていた兵士の引いたロープに足が掛かりころんだ。
「いまだ!どどめ!!」
「せやああ!」
動きの止まった、猪めがけて、槍を突き刺す。
プギョオオオオオアア!!!
急所に入ったようで、猪は絶命する。
「やったっす!」
猪の側で槍を手に飛び上がる少女、ブロンドショートポニーのポロナは飛び上がる様に喜んでいた。
「よくやった!」
「上出来上出来!」
奥の茂みからは。複数の男たちが現れてきた。
「当然っす。もう5日間もやっているっす。慣れて当然っす。」
そう自慢げに胸を張ると、影が横切ると同時に強風が辺りの木々を揺らしてなっている。
「ご苦労さん。」
「お疲れさまっす!ヴァンさん」
空から降りてきたのは、この森で自分達の命を助けてくれたヴァンさん。ここ数日いろいろと面倒を見てくれた人っす。
「だいぶ上達したな、奇麗に仕留めてある。」
木の上に立っている青年を見る。
「へへ、これもヴァンさんのおかげっす!」
「まあ最初のへっぴり腰の頃よりはまともになったよな。」
右の兵士。
「そうそう、追いかけられて木の上で泣いてたもんな~。」
左の兵士。がそれぞれけらけらと笑いからかってくる。どっちもこの部隊の先輩方で、兄弟の二人がからかってくる。
「うるさいっすよ先輩方。そういうお二人もこの前ロープに火駆け確かにそのまま引きずられて、泣いてたじゃないっすか!」
回れりのほかの兵士たちから笑いが漏れてくる。とてもいい雰囲気で終日前よりはとてもいい。
「さて、帰ろうか解体して午後からは北の方に行ってみよう。」
ヴァンさんの人声でみんな撤収の準備に入る。資材と機材をまとめ歩く、獲物はヴァンさんがアイテムボックスにしまいそれに付いてくる。
それを横目に私も彼の後ろを歩く。
あれから数日、自分たちはこの森で暮らしているっす。最初はいろいろと大変だったけど衣食住はヴァンさんが手伝ってくれたおかげで何とかなりました。
自分にもいろいろと教えてもらっているっす。とても頼もしくもし自分に兄がいたらこんな感じなのかなと感じたっす。
「ヴァンさん、あとどれくらいでたまりそっすか?」
「うーん、獲物はたまったからあとはいろいろ準備して、あと2日ってところかな。」
「分かりましたっす。自分、何でも手伝うのでえんりょなくいってくださいっす!」
「うん、よろしくな。」
「おいおい、何でもって言っても料理はするなよ。」
「そうそう、ポロナがやったんじゃ食材を無駄にするからな。」
「うるさいっすよ!」
母は、と周辺からは笑いがこぼれる。ここ数日はこの状況にみんなは気力を失っていた。この森を出るすべもなく、国に切り捨てられ、生きていく意味を見出せずみんながしたお向いてた時。
「ほら、まずは飯食って、それからひと眠りしろ。先ずはそれからだ。」
自分たちに行って皆がご飯を食べた。空腹がひどかったのか皆ががっついてつぎちふぃに口に運んでいく味はしょっぱかった。
「自分、ご飯はヴァンさんが作ってくれたものがいいっす!」
あの日食べたものを思い出しそう言って彼の後を追いかけていく。
「ただいまかえりましたっす!」
小屋につくと複数の人たちがこちらを見ている。
「帰ったか、首尾は?」
「大量っす!」
そう言って俺に視線を向ける金髪のポニーテールをなびかせて此方を見るポロナ。
俺はアイテムボックスから獲物を取り出し、解体をしている。声がしたので振り返ると。そこには、銀のセミロングの少女エヴァが近づいてくる。
「これなら何とか持ちそうですね。」
「ああ、あとは料理して俺が保管するでいいかな?」
「ええ、問題ありませんよろしくお願いします。」
そう言って、背を見せて歩いていく。かの状の髪は初めて会った時はロングだった、しかし仲間からの裏切りが出た際、背を切られ髪の半分の失っていた。
傷に倒れ、2日間寝込んでいた。起き上がった時は、その顔に生気はなく、口も開かず数日を過ごした。
「隊長、ご飯食べてくださいっす。じゃないと本当に死んでしまうっすよ。」
「・・・・・・・」
「あ!この果物なんかどうっすか?甘くておみずみずしくっておいしいっす!」
バチ!ポロナが差し出した果物を叩き落とす。そして
「ほっといて!!わつぃのことはもうかかわらないで、、、、なんで、、、私は、、、、こんなのいや、、、。」
顔を覆い泣き始める、その一部始終を見ていた俺は
「お前!いい加減にしろよ!」
胸ぐらをつかみ此方に引き寄せ、顔を見るとその目には赤くはれた目がこちらを見ている。顔はぐちゃぐちゃにして泣いていた。とても汚い泣き顔だと思った。
「お前はこの部隊の指揮官だろ!あいつらの前に立たないでどうするんだ。今のお前たち心境は察するがだからと言ってここで終わるわけにはいかないだろ。国に捨てられたなら今度はお前が守らなきゃいけないんだろうが、お前がこいつらを守らなきゃいけないんだぞ。」
「・・・・・・・」
俺を見る目が変わる。涙は止まりしっかりとこちらをにらみつけてきている。どうやら少しは落ち着いたようだと思い手を放す。
「お前にはまだやれることがある!だから今はしっかり食え!そしていっぱい泣いて。寝ろ!そうすれば、明日からはいい顔になれる。」
スープの入った深皿を取り出す。鶏肉のスープ(具なし)を受け取るとそれを一口、また一口とと手を付けやがては皿ごと飲み干していく。
「、、、、、おかわり。」
泣きながら皿を空にし、盛大に腹が鳴っている彼女の頬は先ほどよりもいい顔をしていた。
「さて、始めるか。」
日が落ちてすぐ、俺、エヴァ、指揮官風の男二人がテーブルを囲んでいる。
「まずは、目的と内容の確認から。」
俺は、その三人を見渡し会議を始める号令をかける。
「今現在、儂らはどこにも帰ることができない、すでに帰還しているであろうそのものが、儂たちは死亡したと思っている、もしも、このまま祖国の地を踏んだなら間違いなく消されると思う。」
最初に発言したのは、初老の男性、50代くらいだろうか髭が目立つ爺さん、この部隊で一番階級が高く、大佐でここに来るまでの飛行船の艦長、名前をディオス
「ならばここは、姿をくらませ情報と帰還の機会をうかがうために情報を集めようと思う、まずは今現在の我々の人員の確認からだ。大尉報告を。」
「は!」
席を立ったのは、中年のおっさんでエヴァの副官のバルダス、少し酒癖が悪いが気のいいおっさんだ。
「我々の生き残りは18名と飛行船のの乗組員は13名合わせて31名、バルダス・トリトロ重傷を負ったものが多かったですが今では皆が回復しております。」
「それで?これからどこに向かうかきまったのか?」
「ええ、この森から南東に位置すシェディオルス帝国、私達はそこに亡命する。」
この大陸には4つの国がある、まずは彼らの国で北に位置する神聖スラヴィアナ帝国、西にはトマロス王国とジルヴェルト公、そしてシェディオルス帝国この国々がこのアーク大陸の国だった。
「あそこは常に他国からの亡命者や移民を頻繁に受け入れているので、私たちが行っても大丈夫だと思います。」
「そうですな、特に問題ないと、なのでこの森を出て近くの都市、オルスへ向かい、それ以後は着いてから考えましょう。」
みんなが頷く、どうやら決まったようだ。
「ヴァン殿はどうされますか?」
と、ディオス大佐が聞いてくる。視線が俺に集中する。
「もちろん付いて行くさ、ファフ爺もいないし、ここにいてもやることがないしな。」
「ごめんなさい。私たちがここに来たばっかりに、、。」
エヴァが申し訳なさそうに頭を下げる。俺はそれにたいし
「大丈夫だ、長彼は焼かれ今の状態に近いことにはなっていただろうし問題ないよ。君たちは悪くない。」
そう、いずれにしろ、俺たちはここから旅立つつもりだった。ファフ爺もあの状態になる予定だった予定外のことは少し時間が早まっただけなのだから。頭を下げる彼女に対してそういった。
「まあなんにせよ出発の準備は決まったんだ。いつにする?」
「そうですな、2日後がいいでしょう。ほかのものに対しての説明と準備を入れればそれくらいです。」
俺が聞いたら、バルダスがかえしてきた。まあ準備と言っても、食料や、寝具は俺がアイテムボックスを使って運搬するくらいだ。
俺は、まあ最後あいさつくらいか。
「まあとりあえず、明後日に向けて準備を進めていこう。」
今日はそれで解散となった。




