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序章第十三節

 初めは何が起こったのかわからなかった。目の前の青年がいきなり叫び私を突き飛ばす。

 最初は裏切られたと思った。そして振り向き見ると、頬に何か暖かいものが付くそれを確認するより早く、目の前には鮮血が飛ぶ彼の姿と。

 血の付いた剣を手にこちらを見て空に手を掲げている、部下の姿。

 空には飛行船、そして爆発、私たちが乗って来た飛行船がもう一隻の緑の帯が入った飛行船の攻撃で落ちてきたのだ。


「き、貴様!」


 その男を見る、するとどこに行ったのか姿がない、周りを見るとほかの部下たちが此方に駆け寄ってきたのが見えた。

 何か叫んでいるようだが、と後ろを振り見ると男が剣の振りおろしていたのが見えた。


「いけませんねー、ここでやめてもらってはこちらも困るんですよ。」


「え、、、?」


 背中が熱い、咄嗟のことで反応が遅れてしまう。そして倒れた私の横に立ち槍を持ち去るのだった。


「「少佐殿!」」


 部下の声が聞こえるそれを最後に私は暗闇に落ちた。





「ヴァン!」

 

 目の前では、倒れるヴァンの姿に一瞬頭の中が真っ白になった。私がそこで見たのは、地面へと倒れこむヴァンの姿だった。

 ヴァンを切った人間は次に、女兵士を切った。しかし、私は、激昂して飛び出す。


「うああああああああああああああああ!!!!!!」


 咆哮と共に全力の拳を見舞う、しかしそれを難なく躱す男が距離を取った。私はその二人の前へ立つ。


「おや?まだいましたか。」


「おまえ!いったい何をしているんだ!!」


 思わず叫ぶ、兵士の切った女性は仲間ではないのかと、目の前の兵士はにやりと笑いこちらに話す。


「ええ、仲間でした。しかし任務放棄をした彼女が悪いんですよ。ですからこうして制裁をしたのです。」


 その声には、ためらいとか悲しみといった感情が伝わってこないとても寒気がしていた。するとほかの人間が私の近くを通りこちらに構える。


「貴様!我々の隊のものではないな、何者だ!!」


 一人の兵士が、そう怒鳴るそれを見て男は答える。


「あなたたちのような雑魚にこたえる義務あありませんね、ですからあなたたとも死んでもらいます。」


 男が手を挙げる。するとそこにもう一隻の飛行船から、何か黒い物が落ちてきた。

 地面に刺さり周囲に砂埃も撒き散らす。ほこりが晴れ姿を洗はしたものは見覚えのある物だった。

 

「あ、、、あれは!」


 私は驚愕した、あれに見覚えがある。数か月前に私の故郷を襲った黒い物あの時はよく見えなかったが今回はその全容がはっきりと見えた。

 黒い石板のようなもので正面には何か文字が刻まれている。その文字は上から下へと赤い光がなぞるように輝いていた。

 ほかの兵士たちも初めて見るそれに戦慄困惑していた。

 それを治癒会に笑いこちらを見ている男の顔はゆがんだ笑みをこぼす。


「あなた達雑魚はこれがお相手しますよ。せいぜい簡単に死なないでくださいね。まあ、無理でしょうが。」


 槍を手に男は、飛行船へと乗り込む。こちらお見下ろした後奥へ姿を消すと同時に飛行船は旋回し飛び去って行くのが見えた。

 私は、目の前に立つ石碑から目が放せられず立ち尽くしていると変化が起こる。

 赤い光が文字全てをなぞり終えると、文字全部が光りだした。次にその光の中から黒いモノあ現れる。


「なんだ?」


「魔物?」


 そこに現れたのは、あの時のモノ姿を現しこちらに近づいてくる。


「GOOOOOOOOOaaaaaaa!!!!!」


 先頭に立つモノが方向を上げる、するとその後ろに形は違うが同じモノが現れてきた。


「全員隊列を組め!攻めてくるぞ!!」


 その異様さと危険性を察知した兵士たちが、抜刀する。


「ああ、、、、、あああ、、、。」


 私はその光景に恐怖していた。あの時、村を襲ったモノが目の前に迫ってきている、頭の中で次々怒る惨状が目に浮かんでくる。

 全身金縛りなり、足が震えていた。またここで、私は死んでしまう今度こそ死んでしまう。

 仇も打てずに終わってしまうことに恐怖し、震えていた。

 そんな時立たしの肩に鳥が止まった。いつもファフニール様が使役している赤茶色の小鳥だった。


『ファナ!ファナ!!、まずはヴァンを儂の元へ連れて来てくるのだ!』


「!!、、、、ファフニール様、、、、。」


 ハッ!とする。後ろに倒れているヴァンを見ると、今も出血しているようで血が私の足元にまで流れてくる。


「ヴァン!ヴァン!!」


「ううっ」

 

 かすかにうめき声、近寄り抱きかかえると、まだ温かい。私はヴァンを担いで走ろうとしたとき、後ろの人間が声をかけてきた。


「お嬢ちゃん!すまにないがエヴァ様、そこに倒れてる人も連れて行ってくれないか?」


 見ると彼女もまだ生きているのか少し身じろいでいるのが見えた。それを見た私は。


「ついてきて。」


「感謝する!」


 その人間は女性を担いで私の後ろをついてくる。

 今は敵味方とかは関係ないと思ったからだ。それに今の私はそれどころではない。一刻も早くヴァンをファフニール様の元へ連れて行かなくてはと思ったからだ。


(死なないで、、、お願い、、。)


 私はそうして、ファフニール様のところに向かった。






 先ほどの少女を見送り前へ向き直る。


 「どうかご無事で。」


 壮年の兵士、カルト・ディアバイナは正面に向きこちらに迫る化け物に対し向き直る


 「皆!準備はいいか?」


 カルトは周りの兵士を見る、皆が怯えた表情をしているが笑って頷いている。


「行くぞ!!」


「「おおおお!!!」」


 怒号と共に兵士は突撃した異形の群れへ。

 そこに、薄ら笑いの男は消えていて、2船目の飛行船は空へと飛んで行った。





「やれやれ、ようやく終わった。君、紅茶をくれないか。」


 ソファーに腰掛け、一人の給仕に声をかける。男は今2隻目の飛行船に乗って疲れたと言って四肢を投げ出し手くつろいでいる。


「全くこれのおかげで苦労したよ。」


 手には、エヴァから奪った槍があった。その中心部分にはめてあった宝玉を触り、抜き出すとそれをなめるように眺めていた。


「さて目的のものは手に入ったし。ひと眠りするかな。」


 ポイっと宝玉以外の槍は窓の外に放り出す。槍は空を落ちて、森の中に消えていった。

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