紫ラムネと水性ペン
君は、紫ラムネをよこせと言った。
貴方は、水性ペンを投げつけた。
…
僕は歩いていた。何故僕は歩いているのだろう…まぁ、どうでもいいか。僕が分かっていることは、この襖を開けた先に行けばいい。
それだけ。
果てしなく伸びた渡り廊下、右には膨大な数の襖。左には見事な日本庭園。
歩く
歩く。
この、襖を。
僕は、左に跳んだ。
転けた。
起き上がって、庭をマイペースに歩く。空は、意外なことに快晴だった。日差しが柔らかい。
急ぐ必要はない。時間はいくらでもあるし、時間なんて初めからない。
角がない石の丸みを直に感じると思ったら、僕は裸足だった。ひんやり、すべすべ、やわらかい、石の上は気持ちが良かった。裸になって転がってみたかったが、面倒なのでやめた。
裸になる…?何だ、僕は服を着ていたのか。よく見ると藍色の着流しを着ている。藍色は好きだなぁと思ったので、やっぱり裸になるのはやめた。
君は、紫ラムネをよこせと言った。
貴方は、水性ペンを投げつけた。
僕は、紫ラムネは持ってない。
僕は、ペンを拾ってやることしかできない。
紫ラムネは持ってないけど、この水性ペンの色が藍色なら良いと思った。
そうしたら藍色のラムネを創ってあげよう。
だって君は藍色が好きなんだろう?
さぁ、一緒に縁側に戻ろう。
今日は日差しが柔らかい。
無理に紫なんて追いかけなくて良いじゃないか。うん、そうだよ。
だって、それは必要かい?
君は、楽しいのかい?
それでも君が紫ラムネをよこせと言うのなら、僕は水性ペンが紫色なら良いと思う。紫色は別に好きじゃないけど、君が最後に笑って楽しいと言ってくれるなら、それも良いなと思った。
そんな、夢を見ました。読んで下さって有難うございます。初投稿で、小説でも何でもない気がしますが、気に入っていただければ幸いでございます。