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もふもふたちのお留守番/学校スタート

引っ越しをしてから、数日が経った。

この数日で出会ったもふもふとハムくんに癒され、毎日が楽しかった。

もふもふに会って幸せだった。

もふもふと、ずっと一緒にいたかった。

最近仲間になったハムくんだって、まだ連れて行きたいところはあった。

食べたいものもたくさんあったし、2人が知らないこともたくさん教えてあげたかった。

……それなのに。


朝、起きた俺の気分は最悪だった。

隣にもふもふとハムくんが可愛い姿で寝ていても、ダメなほどに。

「……今日から、学校なんて」

そう呟き、なかったことにしてまた寝たくなってしまう。


学校側に引っ越しをするからという事情話してあったし、今回は大掛かりな引っ越しだったので休むということは認められた。

しかも、生活が整うまでと少し長めの休みをもらっていた。

…それも、全ては学校に通っていた頃の俺が優秀だったからだろう。

テストのたぐいは全て満点かそれに近い点数。

遅刻や休みは1回もなかった。

そんな俺が、引っ越し先でもふもふとハムくんに出会うなんて誰が想像しただろう。

そして、その2人にこんなに癒されてしまうなんて。

…そんなことを考えていても時間は進むばかり。

現実逃避は終わらせて、早く準備をしなくてはいけない。

普段の10倍は遅い動きで服を着替え、カバンに教科書やらなんやらを詰める。

そして、もふもふとハムくんを起こして今日から学校だと伝える。

それで意味が伝わらなくても、日中は家にいないということが伝わればよかった。

…ここまで、無心でこなしていた。

考え始めると、学校に行くという選択肢を消してしまうだろうから。


俺が学校に行くという話を聞いて、もふもふはひどく落ち込んでいた。

俺もとても心が痛かった。

それでも、行かなくてはならないのでもふもふを撫で、2人を連れて一階へ降りる。

しゅんとしたもふもふに、果物たっぷり蜂蜜たくさんなパンケーキをあげて、俺もそれを朝食にした。


もちもちふわふわなそれを食べながら、もふもふと学校に行く方法はないか、なんて考えた。

多分、そんな方法はない。

そこまで考えて、さらに悲しくなったので早めに朝食を食べ終えた。

…だいたい機嫌が回復したもふもふとハムくんに見送られながら、学校へ向かう。

道中考えていたことは、学校がなくなったら幸せになれるかな、だった。


学校に着くと、席も教室もかろうじて覚えていたらしく記憶の通りの席に着く。

隣の人やクラスメイトに挨拶をすることも忘れ、ただただ1日が過ぎるのを待った。


お昼になり、ご飯類を持ってきていないことに気づいた。

…そして、お金も持っていない。

あったのは、筆記用具と教科書。

何も買えないし食べられない。

…そう悟って、机に突っ伏した。

そのあと、もふもふたちはお昼の場所が分かっただろうか。

ちゃんと食べられているだろうか。

そんなことばかりを考えた。


すると、背後に気配を感じた。

くるっと振り向くと、そこにいたのは後ろの席の女子。

名前は確か…佐藤さん。

「佐藤さん、どうかした?」

「…あ、えっと…。

佐渡くん、もしお昼まだだったら一緒に食べない…?」

「…あ、ごめんね、今日お昼忘れちゃって」

「それなら、お昼半分こしてあげる、から…!」

そこまで言って、彼女は顔を伏せた。

どうしてそこまでするのかと疑問に思い、聞いてみると

「佐渡くんと話してみたかったんだ」

だそう。


俺は別に何もしていないし、前に挨拶をしたくらいだと思う。

それだけでなのかは分からないけれど、ここはその気遣いに答えておこうと思った。

「ありがとう、佐藤さん。

一緒にお昼を食べさせてもらってもいいかな」

申し訳なさそうな笑顔を浮かべつつ、椅子をくるりと回転させる。

彼女のお弁当だし、彼女の席で食べた方がいいだろう。


「佐渡くんは、引っ越ししてたんだっけ?」

「うん、そうだよ。

かなり大掛かりだったから、長めの休みをもらってた」

「…へえ、そうなんだ…」

彼女のお弁当である卵焼きを食べながら会話を進める。

もふもふたちも、卵焼きみたいなものなら好きかもしれない。

もふもふのは砂糖を多めに入れて、甘めに……。

「そうだ。

佐藤さんって料理は出来る?」

「……え、?」

「あ、ごめんね。

一緒に住んでる子たちに美味しいものを食べさせてあげたくて」

「…一緒に、住んでる…。

料理は普通くらいだと思うよ。

この卵焼きが作れるくらい…」

「この卵焼き、佐藤さんのだったんだ…。

甘くて美味しいよね。

うちの子が好きそう」


「…あ、あの」

「ん?」

「佐渡くんって一緒に住んでる人がいるの…?

あ、えっと、彼女さん、とか…」

「え、ああ、いないよ。

うちの子って言ったのは…ペット…みたいな子かな。

すごいもふもふでものすごい可愛いんだよ」

「…そ、そうなんだ…」

「うん。

あ、今度良かったら遊びに来る?

料理とか教えて欲しいし…」

「え?!

え、えっと……か、考えておく…」

「うん、ありがとう。

…あ、そろそろ授業始まるかな。

お弁当、ありがとう」


「あ、その…良かったら、佐渡くんのお弁当も作って来ようか…?」

「…え、いいの?」

「うん、その、迷惑じゃなければ…」

「これだけ美味しいのに迷惑になんてならないよ。

お願いしてもいいかな?…師匠」

「へ?」

「や、あの…料理を教わるんだし、師匠かなって」

「ふふ、佐渡くんってちょっと変わってるかもね。

…わかった、美味しいのを作ってくるからね!」

「うん、お願いします」


そう言って、また椅子を回転させる。

料理の師匠が出来たのは良いことかもしれない。

帰ったらもふもふたちに教えてあげよう。

そう思いながら、上機嫌で午後の授業を終えた。


学校から帰ると、玄関先でもふもふがしおれていた。

…いや、ぺちゃんこになっている、というか…。

「もふもふ?!」

考えるより、まず行動。

もふもふを抱えてリビングの机に移動した。

…机の上を見ると、朝作って行ったもふもふたちのご飯がカラになって置かれていた。

ちゃんと食べたみたいで安心したけど…。

何がそんなにしおれさせた原因なのか、と辺りを見回すと、お風呂場から水跡が繋がっていた。


そっか、お風呂に入ろうとしたのか…。

自分で何かをしようとしたことが初めてだったし、ぺちゃんこになっていたのもびっくりしたけど、褒めてあげたかった。

「もふもふ、よく1人でお風呂に入ろうと思ったね」

ぺちゃんこな毛を撫でて、笑顔を見せる。

これで、多分だいたいは機嫌が回復するはず。


元気になったもふもふを連れてドライヤーで乾かしていると、どこからかハムくんがやって来て。

ドライヤーの前でキュッキュと鳴きながらダンスを踊っていた。

…そうだった、ハムくんはダンスをするんだった。

そんなことを思い出しながら、もふもふをふわっふわにする。

その毛並みを見ていると、今日あったことを話したくなって、椅子に座って2人に話をした。


ハムくんももふもふもよく分かっていないみたいだったけど、美味しいご飯が食べられるというと喜んでいた。

そんな2人に夕ご飯を出して、自分も食べながら、これが豪華になるかもしれないんだよな、と考えていた。


今日よりも学校が楽しみになったので、今日はよく眠れるかもしれない。

明日を楽しみにしながら、眠りについた。

すっかり学校を忘れていたので通わせました。


ちなみに、主人公の名前は佐渡(さわたり) 優介(ゆうすけ)です。

名字だけは最初から出していたんですけど、名前は初登場だと思います。

いつか、本編でも出ることを願って。

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