表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/53

浮かぶ疑念と不機嫌な亜咲

感想がTOMARANAI。


感想の傾向としては。


光と亜咲が可愛い。

巽おじさんがヘイト爆上げ。

要母さんをヒロインに。


といったところでしょうか。さて二日目の放課後です。

「――それでは今日のホームルームは終わりです。日直さん、お願いね」

「起立! 礼!」


 ようやく学園生活二日目が終わった。今日は一日中眠かったな……

 昨日要母さんの愚痴を聞いてて寝るのが遅くなったせいで午前中は寝不足気味で眠かったし、午後は弁当の時に光と亜咲におかずを押し付けられまくったせいで、満腹感による眠気に襲われた。そのくせあいつ等は俺の野菜炒めに一切手を付けなかったのが何とも悔しい。


 ホームルームが終わってしまえば華の放課後だ。部活に向かう生徒や、教室に残って友人と話をする生徒、俺と同じく下校しようとする生徒など、周囲は休み時間以上にガヤガヤと騒がしくなる。

 そんな中、俺は今日も夕食は野菜炒めかなぁ。と高校男子らしくない考え事をしながら鞄を手に取った。


「良かった。まだ教室に居たんですね」

「あれ? 亜咲?」


 放課後間もなく亜咲が教室にやって来た。昼休みの事もあってか、またクラスメイトの注目を集めているのが背中越しにひしひしと伝わってくる。


「ええ、亜咲です。たまには小兄様と一緒に帰ろうと思いまして」

「たまにはっていうかまだ二日目だけどな?」

「本当は昨日もお誘いしようと思ったのですが、光さんと新しく友人になったクラスメイトの方と部活の見学をしていたもので……」

「ああ、光に聞いたよ。剣道部だってな」


 というか昨日も誘おうとしたって事は"たまには"でもなんでもなくないか? まあ明日以降は分からないから何とも言えないけど。


「まあ私は元々部活動に興味はなかったので、同じく興味のなさそうな小兄様と一緒に下校して差し上げようかと」

「それはどうも、ってか勝手に決めつけるなよ。合ってるけど」

「でしょう?」


 クスクスと笑う亜咲。コイツは本当に人を食った様な言動が多い。が、その分気を許してくれてるのだろうと思えば不快感はない。


「天翔くーん、暇なら一緒に遊びに行かなーい?」

「あ、私も私も!!」


 隣の席から姦しい声が聞こえてくる。おやおや相変わらずおモテになる事で。


「予想はしていましたが、大兄様はモテモテですね」

「お前からモテモテなんて言葉が聞けるとは思っていなかったが、確かにモテモテだな」


 俺だってモテたいと思ったことは何度もあるが、それにしたってあそこまで行くと勘弁願いたいレベルだよなぁ。


「ごめん。今日は小吾と帰るから」


 と、俺を言い訳に包囲網から脱出を試みる大輝。流石は裏切り者、汚い。まあ俺と帰ろうと思っていたのは事実だったのだろう。大輝はこちらに向き直り、少し驚いた素振りを見せた。


「あれ? 亜咲?」

「ごきげんよう、大兄様」


 どうやら亜咲が来ていた事に気付いてなかったようだ。


「今日はもう解放されたのか。ちょうど今から亜咲と帰るところなんだが、大輝も一緒に帰るか?」

「お、良いのか?」

「ええ、大兄様なら(・・・・・)歓迎しますよ?」


 それは暗に俺達、というか大輝に付いて来ようとしている後ろの女子達に向けた牽制の一言だったのだろう。


「ごめんね。そういうわけだから、また今度」


 それに被せるように大輝も女子に向けて断りを入れた。"また今度"というのがポイントなんだろう。流石大輝、汚い。


 女子達の怨嗟の視線が俺を刺す。いや俺は何も言ってないですけど!? なんで俺が睨まれてるの!?

 解せぬ。


「――おや、亜咲さんじゃないか」


 突然亜咲に声がかかった。その声に亜咲の肩がピクリと反応する。


「ああ、誰かと思えば天野さんですか。ご無沙汰しております」

「天野さんだなんて余所余所しい言い方しなくても良いよ。僕と亜咲さんの仲じゃないか」

「私は名前で呼ぶ事を承知した覚えもありませんので」


 あれ? 天野って確かナツの彼氏……だよな? なんで亜咲と知り合いなんだ? というか随分馴れ馴れしいが。


「別に学校だからって気にしなくて良いよ。先輩とか気にしなくていいからさ」

「分かりました。では気にしない事にします。小兄様、大兄様、行きましょう」


 声音は穏やかだが、亜咲は服の裾を指で摘んでいた。これはどうもご立腹のご様子。だが当の天野はその事に気付いていないようだ。

 亜咲は基本的に不機嫌さを態度に出す事はないが、嫌な事があった時や、機嫌が悪い時には服の裾を摘むクセがある。ちなみに摘むレベルじゃなくて掌で握り込むレベルになると激おこ。

 むしろその辺りを分かっていないのによくもまぁ「僕と亜咲さんの仲じゃないか」なんて言えたものだ。

 これくらい俺達三人だったら全員知っている事なのに。


「まあまあ、そう慌てずに、えっと、君は確か天翔君だっけ? 昨日転校して来たんだよね? うちのクラスでも話題になってるよ」

「それはどうも? 天野……君だったか。申し訳ないが俺達はそろそろ帰りたいんだが」

「まああまあ、そう言わずに少し話でもどう? 例えばそうだな、生徒会に興味ないかい? 君なら人気も出るだろうし、僕から推薦して上げても良いんだけど。もちろん亜咲さんもね」


 清々しいほどに俺の存在をスルーされた。


「うーん、せっかくのお誘いだけど、昨日転校して来たばかりでこの学園の事もよく分かってないし遠慮させて貰うよ。そういうのは学園の事をよく知っていて、愛着のある人から選ぶべきじゃないか?」

「私も興味がないので」

「あらら、フラれちゃったか。参ったなぁ」


 苦笑しつつ頭を掻くように手を頭にやる天野。なんというかちっとも残念そうじゃないし、演技でもしているようにしか見えない。

 しかも目線を追ってみれば亜咲の顔と胸を交互にチラチラと見ているのが分かった。まあどっちも気になるのは男として分からないでもないが。


 ――ああ、俺コイツ嫌いだわ。


 ナツの彼氏だという点については置いておいたとしても、下記五点の事由により嫌い認定する事にした。


 一.亜咲が嫌がっているのに名前で呼んだ。

 二.三人で帰ろうとしているのは見れば分かるのに引き留めて自分の都合で話をした。

 三.俺をスルーした。

 四.恋人がいるクセに下心丸出しの視線で亜咲を見ている。

 五.俺をスルーした。


 よってギルティ。

 なんでナツはこんな奴と付き合ってるんだろうか。今まで遠慮していたのが馬鹿馬鹿しくなってきたんだが。

 要母さんが言ったからというわけではないが、一度彼女とはちゃんと話をする必要がある気がする。

 人の趣味に口を出すのは失礼かもしれないが、それで彼女に嫌われてしまったのならもう仕方がないだろう。

 そう考えると何かが胸にストンと落ちる気がした。


 件の幼馴染はまだ教室に残って居ないかな、と思って席の辺りを見てみるが、既に部活に行ってしまったのか姿は見えなかった。

 まあいきなり「なんでコイツと付き合ってんの?」って聞くのも変な話だし、タイミングを見計らって話した方が良さそうだ。

 彼女は彼女でクラスでも人気者のようだし、タイミングとは言っても、あまり周りに人がいないという状況はなさそうな気はするが。


 だからといって休日に家に押しかけてもなぁ。面倒なのも居るし。むしろ休日でも部活動とかやってそうだし。あれ? そしたらタイミングってなくない?


 まあそれは後で考えれば良いか、と思い現実に意識を戻す。どうやらまだ二人とも話しかけられているようで、なかなか解放して貰えないようだ。

 亜咲ももう少しバッサリ行くと思ったが、何か理由があるのかなんだかんだで対応はしている様子。

 埒が明かないので、俺はいったん二人を置いていくように廊下を歩きながら、振り返って声をかけた。


「おーい、帰らないなら置いてくぞ」

「あ、小兄様! 待ってください!!」

「お、おい小吾待てよ。悪いな天野、そういう事だから!」

「ちょ、ちょっと!?」


 後ろから二人が駆け寄ってくる気配を感じつつ、後ろを振り返らずに廊下を進んでいく。背中に強い視線を感じたが、最近こんなんばっかだなぁ。と思うに留めて無視する事にした。俺もさっき無視されてたし。おあいこおあいこ。


「……チッ」


 などと舌打ちが聞こえても気にしない。本人は聞こえてないつもりなんだろうが、あいにく耳は良い方だ。流石に気を張ってない時はともかく、散々気配を感じるように鍛えられてるし。とりあえず罪状一件追加、と。


「申し訳ありません小兄様。気を使わせてしまって」

「別に気にする事はないさ。亜咲が嫌がってるのも分かってたし」

「俺は?」

「ついで」

「ひどくない?」


 廊下を歩いていて思い出したが、そういえば今日光はどうしてるんだろうか。一人だけ仲間外れなんて事を知ったら明日怒ってきそうだが……


「亜咲、そういえば光は?」

「光さんは新しい友人と一緒に帰るそうですよ。なんでも近所だったそうで」


 ああ、なら大丈夫か。心配する必要もなかったようだ。

 下駄箱から靴を取り出し、上履きから学校指定の革靴に履き替えて校庭へ出る。

 校門まで辿り着いたところで、そういえば三人がどこに住んでるのか詳しくは知らなかった事を思い出す。亜咲が知っている事は分かっているが……


「そういえば二人ともどっちの方向なんだ?」


 俺は校門を出て左手に歩いた方角だ。


「私はこちらですね」

「俺はこのまま真っ直ぐだ」


 亜咲は右方向を指さし、大輝は真っ直ぐだという。あれ? これじゃ一緒に帰れなくない?


「昨日大輝はこっちから来てなかったか?」

「ああ、うちは弁当じゃないから、朝はそこのコンビニで昼飯買ってから登校してるんだよ」

「あ、なるほど。っていうか三人とも方向が別々だと一緒に帰るも何もないな」

「なら私が小兄様を家まで送ってから帰りましょうか」

「いや、普通逆だから、方向も逆だし、役割も逆」


 なんで俺が送られる方やねん。


「小兄様が私を……? まさか送ると言って人気のないところに」

「そういうセリフはもっと暗くなってから言おうな」

「お前ら相変わらず仲良いな……」


 大輝が目を半眼にしてこちらを見ていた。呆れているとでも言えば良いのだろうか。


「まあまだ時間も早いし、俺と大輝で亜咲を家まで送ってから途中まで一緒に帰るか」

「ん、そうだな」

「小兄様と大兄様がお二人で……小兄様はそちら(・・・)のご趣味もあるのですね」

「よしじゃあ帰るか。亜咲、道案内はよろしくな」

「ついでだから途中でコンビニに寄らせてくれ。飲み物買って帰りたいし」

「お二人が話を聞いてくれません……」


 悲しんだフリをする亜咲の背中をトン、と軽く押して帰宅を促す。


「もう……どうせ押すのなら前からでも構いませんのに」

「それだと逆方向になるだろ……それとも後ろ向きで帰るのか?」

「お二人の睦まじい姿を見ながら帰るのも一興です」

「はいはい、分かったから早く案内してくれ。本当に日が暮れるぞ」

「仕方ないですね。それでは行きましょうか」


 どうやら先ほどの不機嫌さはどこかへ行ったらしい。亜咲は先程までよりも軽い足取りで俺達の間に入り、少し前に出て帰り道を先導する。これは機嫌の良い時に見せるクセだ。

 全く女子の機嫌は良く分からないな、と大輝に目配せしたところ、苦笑で返された。どうやら同じような事を考えていたらしい。


 亜咲の家は学園からそれほど距離はなく、徒歩で十五分ほどだった。途中寄ったコンビニで大輝が買った炭酸飲料を回し飲みし、俺と亜咲で半分以上飲んでやったら大輝が怒った以外は特に何事もなく、俺達は各々の自宅へと帰った。

--あさきのひろいんりょくがあがった!!

あ、ちなみに回し飲みは光も含めて日常ちゃめしごと(何故か変換出来ない)です。


但し順番ですが

大輝⇒小吾⇒光or亜咲⇒光or亜咲⇒大輝


という風に光or亜咲の前は小吾くんに固定されています。なんでだろうね?

なお自分が飲んだ後は気にしない模様。


あ、皆さんのおかげで初めて日間ランキング上位に入る事が出来ました!!

今まで経験がなかったので何度も感想来てないかな、とか今PV数いくつかな、とか今まで以上にスマホに噛り付いてます。

次は週末まで話が飛ぶので、閑話を一つ挟もうと思っています。誰にするかは秘密です(明日仕事中に考える)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 茶飯事は、「さはんじ」って読むんですよ。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ