表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/53

下校と亜咲の忘れ物

時間泥棒が来る前に投稿。今回の投稿はそれほど重要でもなんでもないです。

どちらかと言えば日常++小吾くんの考え事タイム。

 生徒会室を後にした俺達は、そのまま昇降口で上履きから革靴へと履き替えて校門へと向かう。

 結局それほどの時間は経っていなかったようで、まだ多くの生徒達が校内に残っている事が伺えた。


 帰宅するのならヒナを待ってやりたいところではあるが、今日は部活らしいし、何より俺を裏切ってくれたので待つ事は諦め、大人しく帰路に着く事にした。


「じゃあいつも通り帰るか。最初は学生寮からで良いか?」


 ここ最近お決まりとなった下校ルートを提案する。

 距離的には光の暮らす学生寮、亜咲の家まで送ってから大輝と俺はその後途中の道で分かれる。というルートになっている。

 そこにナツとヒナが追加とはなったが、この二人は俺と家が近いのでほぼ帰る道は同じだから最終的には三人で帰る事が多い。今日はヒナがいないのでナツと二人になるが。


「うーん、いつも私が一番最初にバイバイするの寂しいなぁ。たまには最後にしてくれてもいいのに」

「気持ちは分からないでもないが、それだと凄い遠回りになるからな?」


 学園から歩いて十分ほどの距離にある学生寮を最後にした場合、結局一番距離のある俺の家から学園まで往復する必要があるため、正直言って何の意味もない。

 だったら学園に残るか、どこか店にでも寄って時間を潰した方が良いくらいだ。


「今度ヒナが部活の時にどっかで時間潰すとかでも良いだろ」

「あ、それいいね!!」


 まあ全員の予定がなければ、と言ったところだが、ナツも部活を止めてしまったせいか、結構暇を持て余しているようだ。

 というかお前らクラスメイトと仲悪いわけじゃないだろうし、たまにはクラスの奴らと遊べよと思わなくもない。


 そうこうしている内に学生寮の前へと到着したので、光に別れを告げ、次は亜咲の家へと向かおうとした時だった。


「あ……申し訳ありません。どうやら忘れ物をしたようなので、小兄様の家に寄らせて頂いても良いでしょうか?」

「ん? 忘れ物なら明日学校に持って行けば良いんじゃないのか?」


 昨日の夜、今日の朝と、確かに亜咲がうちに来ていたのは事実だった。

 あまり亜咲が忘れ物をするという事が想像出来ないが、ここ最近バタバタしていたのも事実ではあるし、そういう事もあるのだろう。


「いえ、今日使うものですので。もしご迷惑でなければ直接取りに行っては駄目ですか?」

「別に構わないけど、俺の家から亜咲の家って結構距離あるだろ? 大丈夫なのか?」

「小兄様。それは今更というものです」


 俺としては別に家に入られて困るようなものもないし、来ること自体は構わない。

 断る理由もないので亜咲の申し出を受け入れる事にした。


「なら先にナツを家まで送ってからでも良いか?」

「ええ、もちろんです」

「ん? じゃあ亜咲の家には向かわないんだな?」

「はい、私は後で小兄様に送って貰いますので」


 あ、そうなるのね。いやもちろん送るつもりだったけども。


「なら大丈夫か……と、なると俺はここでお別れだな」

「あ、そうか。大輝の家はあっちだもんな」


 大輝の家の詳しい位置は知らないが、いつも分かれる道がちょうどこの辺だったと思う。


「じゃあな、また明日」

「はい、さようなら大兄様」

「天翔君さようならー」


 亜咲とナツの挨拶を受けて大輝と分かれた。そういえば亜咲と生徒会長の関係とかもそうだけど、俺達ってあんまりお互いの家庭の事とかよく知らないよな。

 俺の場合は実妹であるヒナ。それに幼馴染一家であるナツと要母さんとは全員が既に顔見知りだし、俺に両親が居ない事などはもう話してある。


 けれど光が学生寮に入っている理由も知らないし、家が遠いんだろうな。という事くらいしか察する事が出来ない。

 聞けば教えてくれるのかもしれないが、光は意外と家族の話題を出したがらないようで、聞いてもはぐらかされる気がしている。


 亜咲は本人が語らずとも"九条"という名と今日の生徒会長とのやり取りを考えれば、家族関係がそれほど良いものではないのでは? と邪推せざるを得ない。

 だが身内のようなものだとは言え、他人の家庭にまで口を出すのは野暮だと思うので、本人が相談してくれるのを待つしかないのだろう。


 更に謎なのが大輝だ。

 今日弁当を持って来ていた。という事は家族かそれに準ずる人が居るのだろう。もしかしたら彼女とか幼馴染が居たりするのかもしれない。

 一般的な幼馴染が果たして弁当を作ってくれるのかは分からないが、自分という例があるのでそれも選択肢に入れておく。


 ただ家族が居るのであれば、ナツの捜索に協力して貰ったあの日、遅くなる事は家に一本連絡を入れておいてもおかしくないのでは? とも思った。

 いくら男とは言え、まだ俺達は未成年だし、親も連絡無しに子供が帰ってこないとなれば心配するだろうと思う。


 特に俺達の場合は尚更じゃないのか。とも。


 こちらに帰って来てからというもの、今まで気にもならなかった部分がふとした時に気にかかる事が多くなった。

 それだけ心に余裕が出来たという事なのだろうか。


 考え事に集中してしまっていたためか、ナツと亜咲に「ちゃんと話を聞いているのか」と怒られてしまったのはご愛嬌だろう。


 ただこればっかりは考えても仕方のない事だし、折を見てみんなで話す機会を設けてみるのも良いかもしれないと思った。もちろん本人達が話してくれるのであれば、だが。

 無理強いはするつもりもないし、しても仕方がないからな。


 同時に、早速その機会があるのではないかという予感もあった。亜咲がわざわざ忘れ物をしたという言い訳(・・・)をしたのも、恐らくはそのせいだろう。


 本当に忘れ物をした可能性もないではないが、昨日も今日も、亜咲が何か手に持った物を家のどこかに置いたという素振りは見受けられなかった。


 ふと亜咲の方を見れば、ナツと楽しそうに話をしているのが伺えた。

 上の空の俺に話しかけても仕方ないと判断したのか、もはや二人とも俺に話題を振って来る事はないようだ。


 俺の視線に気付いたのか、亜咲は柔らかな笑顔を向けて来る。


「小兄様。考え事は纏まりましたか?」

「ん、ごめんな。ちょっと考え事してた」

「まったく、しょうちゃんは失礼だよ。せっかくこんな可愛い女の子と一緒に帰ってるのに考え事なんて」

「そうだな。可愛い幼馴染と可愛い後輩に失礼だったな」

「っ……!? そ、そうだよ。失礼だよもう」


 ナツは冗談のつもりで言ったのだろうが、だったらこちらも反撃してやるまでだ。

 俺が真面目にそう返事したものだから、意表を突かれたのかナツがたじろいでいるのが分かった。


 亜咲にはジトッとした視線を向けられたが、ナツは恥ずかしがっているのか、顔を赤くして俯いてしまう。

 そんな二人の様子を見て、平和な日常がここにはある事を実感する。

 出来ればこうやって毎日を過ごせれば。と、何故かそう願わずには居られなかった。



皆様のおかげで2万ポイント超えてました!!(言ったっけ?)

次は3万ぽいとんが目標なんでしょうけど、まあ遠い遠い……


どこまでいけるのかと思って、ちょいちょい評価欄があとがきの下で寝てたり、ブクマが上にあったり下にあったり実は解除だったりしてましたが、ホントうざくてごめんね!! 反省してる(してない)よ!!

あ、ちなみに今のところは書く気満々なので今日の夜も更新予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ