いざ生徒会室へ
この後続けて書いて投稿するのでちょっと短めです。
昨日夜勤明けで寝て起きて寝て起きたフリしてまた寝たら朝になってました。
――キーンコーンカーン……
放課後を告げるチャイムが学園に鳴り響く。
いつも通り稲垣先生が挨拶を終え、教室から出て行った事を確認した俺は、机の横に掛けてある鞄を手に取り、廊下に出――
「あら小兄様。どちらへ?」
しかしまわりこまれてしまった!!
「くっ……」
「やっぱりお前逃げようとしてたな」
亜咲を前にたじろいでいる間に、後ろから大輝に肩を掴まれてしまう。
別に逃げようとしたわけじゃないぞ!! 用事を思い出したような気がしたから帰ろうとしただけだ!!
「いやいや、今日は要母さんにおつかいを頼まれて――」
「あ、しょうちゃん。お母さんには今日ちょっと遅くなるかもって連絡しといたからね」
「ナツゥゥゥゥ!!」
加えて幼馴染の裏切りである。
だって俺呼ばれてないし行かなくて良くない? というか行かない方が良くない?
「みんなお待たせー!! あれ? 小兄どうしたの?」
俺が必死で抵抗していると光がやってきた。
「そういえば光と亜咲って同じクラスじゃなかったか? 光が遅れて来るって珍しいな」
「あー、えっとね。なんか同じクラスの男の人に声かけられちゃって」
どうやら早くも光にアタックを始めた男子生徒がいるらしい。これが青春ってやつか……
「光ちゃんもとうとう始まっちゃったかぁ……」
などと周りの女子生徒を敵に回しかねない発言をするナツ。彼女としては自分の経験上、光の事を心配しての事なんだろうが……
「とりあえず小兄待たせてるから無理って言って来ちゃった!!」
「おい?」
まあでも小兄って呼び方だけじゃ学年も違うから特定はされな――
「あ、小兄って誰? って聞かれたから二年一組の地原小吾先輩だよって伝えといたよ!!」
「光さん?」
なんでこうどいつもこいつも俺を陥れようとするの? 実はコイツら俺の事嫌いなんじゃないだろうか。
「はぁ……分かったよ。とっとと済ませて帰ろうぜ……」
足掻けば足掻くほど酷くなりそうな気がしたので、観念してついていくことにした。
あれ? そういえばヒナが居ないけどアイツも遅れてるのか?
「あ、日向さんなら部活があるからと」
「ヒナアアァァァ!!」
まさかの裏切り第二弾である。確かにヒナは呼ばれてるかどうか微妙なところだったけども!!
「ははは、小吾は愛されてるな」
大輝までこんな事を言い出す始末。替わってやろうか? と言いかけたが、コイツと替わったらそれはそれで面倒そうだから止めておく。
「それでは揃ったようなので行きましょうか」
あれ? そういえば生徒会室ってどこにあるんだっけ?
俺は未だに学園の構図を理解しきれていない事に気付いたのだった。
「そういえば生徒会室ってどこにあるんだ?」
「小兄様は本当に学園に興味がないんですね……生徒会室は三階ですよ」
三階なのか。生徒会には三年生が多いからそうなるのかな? よく知らないけど。
俺達は亜咲を先頭に五人連れだってぞろぞろと生徒会室を目指して歩き出した。
――それにしてもこの面子は目立つ。
身長の高い大輝なんてほっといても目立つし、その上イケメンさんと来ている。
その大輝の周りに学年でも人気のナツに加え、容姿に秀でた光や亜咲が連れ添っているとなれば、廊下ですれ違う生徒達が視線を向けてしまう気持ちも分かるというものだ。
俺? 俺は大輝の後ろで目立たないようにしている。大輝は身長高いから、後ろにいると正面からは見えないんだもの。
ちょうど亜咲を先頭にして、その後ろの中心に大輝、左右にナツと光。後ろに俺、といった十字型の隊列となっている。
別に意図したわけじゃないけど、横一列に並んだら他の人の邪魔になるかと思って後ろに回ってるだけ。本当だよ?
階段を上り、三年生達がまだ数多くいる廊下をずんずん歩いて行く俺達。
コイツら上級生のいるところなのに、よく遠慮もなく歩いて行けるもんだな。というかモーゼか何かかってくらいに勝手に道が開いていくから遠慮のしようもないようだ。
恐るべし美男美女軍団。
こういうところをまざまざと見せられると、なんでコイツら俺に懐いてるんだろう? と疑問に思わなくもないが、多分それを言うと怒られるから言わない。まったく心当たりがないわけでもないし。
なんにしても後ろから突き刺さる視線が結構痛いので、早く生徒会室に着いてくれ。と願う俺だった。
前話のあとがきが割と好評で嬉しい。




