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NEW清盛、誕生!

俺の名は丸山清盛、に、なる予定。


今産まれた。


だから、実際には名前はまだ無いと思う。


何故こんな事になったのか?


奴だ、あの猫のせいだ。


やっぱり妖怪だったのか?


俺は産まれた所からやり直す事になったようだ。




いつの間にへその緒を切られたのやら、タオルで包まれた。


辺りはどうなっているんだろう?


目を開ける、眩しい!

あまり良く見えない。



医者だと思うのだが、持ち上げられて尻をぶたれた!


痛い!ギャン泣きである。


普通赤ちゃんは産まれたらすぐに泣くのだ。


忘れていた俺が悪い。


考え混むと呼吸を止める癖があるのも悪かったようだ。


しかしこの医者加減をしらんのか!

俺のお尻は真っ赤になっている事だろう。

泣き止むのに時間がかかった。


生まれたてのせいなのか、耳も聞こえにくい。


しかし慌ただしいな、赤ちゃんが産まれる時は皆こんな感じなのか?


抱き上げられて、誰かに渡される。

おそらく「はいお母さん、元気な男の子ですよ~」といった所だろう。


ぼんやり見える顔は見慣れた母の顔だった。


ずいぶん若いけど間違いなく母ちゃんだ。


安心した、これで俺は俺で間違いない無いだろう。



母ちゃんお疲れ!

サービスでニッコリしといてやろう。

上手く笑えているかわからんけどな。



ん?ちょっと待てよ?




ふと思ったのだが、俺、これから起こる事、色々知ってるんじゃ無いか?

今までの記憶を持ったまま、もう一度やり直せるのだ!



もしかしたらこれはとんでもない事なんじゃ無いのかと思う。


猫、いえ、猫様!

もしや貴方様は神様だったのでは?


もしかしたら近くに居られるのではないかと辺りを見回そうとしたけど、やっぱり体は上手く動かなかった。


しばらくは体を動かす練習から始めないとな。





あれから色々と検査された。目視だけどな、もちろんアレも見られた。

異常無しだって。


カートに載せられて別の部屋に連れてこられました。

状況の確認と気持ちの整理をしておこう。

とは言え別段何もする事は無い、考えるだけだ。


ここは新生児室 両隣にも、その隣にも赤ちゃん。

廊下側はガラス張りになっている。

ガラスの向こう側には、若かりし父ちゃんがぼんやりと見える。


先日までの俺よりずいぶん若いのだが、自分が立ってるのかと思ってちょっとビックリした。

若い時の父ちゃんと大人になった俺はそっくりなのだ。


母ちゃんは確か里帰り出産だった。

なので俺が産まれたのはS県の病院だったはず、わざわざ来てくれたようだ。


父ちゃんの隣に婆ちゃん、婆ちゃんの後ろに爺ちゃん、父ちゃんと爺ちゃんの間にもちょっと厳つい爺ちゃん。


目を凝らして見ても爺ちゃんは二人。


しかも間に挟まってる爺ちゃん、全体的に透き通ってらっしゃる。


おそらく曾祖父さんだな。

婆ちゃんがよく言ってたっけ。

大きい爺ちゃんは時々イノシシを素手で捕まえて帰って来たんだよ~って。



ニコニコ嬉しそうにこっちを見てますけど、はっきり言って恐いです!

貴方ずいぶん前に死んでますから!


目が合ったと思ったらガラスを抜けて頭元に立ってらっしゃいます。


直径の曾孫だからな、やっぱり気になるのでしょう。

可愛いですか?

あと30年もすれば、父親にそっくりな渋いオッサンになってしまいますが。


ニコニコしていた曾祖父さんの顔つきが険しくなったと思ったら、壁の方を睨み付けてます。

ただでさえ厳ついんですから、恐いでしょ!

泣きますよ!


そしたらいきなりパーンって感じで壁に向かって平手打ちしたようです、音は聞こえませんでしたが。

俺からは見えない位置だったのですが、何か居たのでしょうか?

やっぱり恐いです。


頭元に戻って来て、またニコニコ。

頭を撫でるようにして、爺ちゃんの後ろに帰って行きました。


それにしても、赤ちゃんには霊が見えると言うのは本当なんだな。


まあ、俺の場合は大人になっても時々見えてたんだが。


そうこうしていると、母ちゃんがやって来た。


授乳の時間ですな。






 母親のおっぱいに吸い付く赤ちゃん。

側から見ると微笑ましい光景でしょうね。


だが俺の心境は複雑だ、エネルギーを欲して吸い付く赤子の体と、激しい抵抗を感じる大人の精神。


しかし大きく成長するには母乳は大切なのだ、この際、羞恥心は捨ててしまおう。

飲み終えたらゲップをしておく。

これをしないと折角飲んだ乳を吐いてしまうのだ。



腹が膨れると、今度は眠気がやって来る。

まだ産まれたばかりなのだ、無理せずに寝てしまおう。










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