第5話 まったく理解できん
「とりあえず有須さんがここにいることは理解できました」
有須さんはみかんソフトのシナリオライター。
それは理解できた。
「わかってもらえて良かったです」
「はい。ですが……伽耶、お前がここにいる意味がちっとも理解できんのだが」
伽耶はまだ高校1年生。
みかんソフトに入社しているとは考え難い。
それならどうしてこの場所に?
「えー、なんでわからないの信兄。もしかして馬鹿なの?」
「馬鹿じゃねえよ! だってお前まだ高校1年生だろ!? 本当になんでここに居るんだよ!?」
俺はつい声を荒げてしまった。
「もう、信兄うるさーい! 高校1年生だから働けないなんてことはないんだからね! アルバイトがあるんだから!」
「お、お前何を言って……アルバイト? ま、まさかーー」
「僕はプログラマーとしてみかんソフトでアルバイトしているの!」
「はぁ!? マジかよ!?」
「マジだよ! こう見えても僕はプログラマーとしては名が知れてるんだから」
伽耶はドヤ顔でこちらを見てくる。
うさんくせえ……
「本当に伽耶ちゃんは凄いんですよ! 私たちの会社が作ってるゲームのプログラミングはほとんど伽耶が作ってるんですから!」
「ファッ!? それ本当ですか!?」
「本当ですよ! ちょっと待っててくださいね!」
バタンッ
有須さんが部屋から出て行ってしまった。
一体どうしたというのだ?
俺と伽耶が黙って待つこと3分ーー
「お、お待たせしました! はぁ、はぁ……」
「ちょっ、有須さんメチャクチャ疲れてるみたいですけど大丈夫ですか?」
「い、急いできましたからね。ふぅー、もう大丈夫です」
「それでよざ姉、何を持ってきたの?」
「じゃーん! これだよー!」
有須さんが持ってきたのはとあるゲームだった。