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宇宙の愛の物語。  作者: ~ちあき~
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第3章 救出 (4)


澄んだ空気が 輝いているーー


緑の木々が 微笑んでいるーー


爽やかな癒しの香りに


包まれているーー



今『第二の地球』に彼らはいた。


カーロも、ユウリも、リサも、弟も。


見渡せば、

たくさんの地球人がそこにいる。


困難を極める不特定多数のワープを、

ルーサは見事に成功させたのだ。




ユウリは感動の涙を流した。


「あぁ、素晴らしい!

空気がこんなに美味しいなんて!

呼吸しているだけで力が湧いてくるわ!

本当に、なんて素敵なところ……」


リサと弟も、目の前で起こった夢のような出来事に驚きを隠せない。


「本当にワープしたね!」

「宇宙人ってスゴイね!」

「この惑星、夢の国みたい!」


二人はユウリと共に笑顔で喜び合った。




一方、

カーロはボスを必死に探していた。


「ボス! どこにいるのですか!」


これほどのパワーを使った彼の身体が、

深刻なダメージを受けているのは確実であった。





「ボス!」


そう叫びながらカーロに近づいてきたのは、ボスの秘書である。


彼は言った。


「あなたの秘書になるよう、ルーサ氏から指示を受けておりました。

つまり今、あなたがパラダイス星の最高責任者だということです。

ボス、どうぞよろしくお願い致します!」


カーロは絶句した。


何だって? 意味がわからない。

ボスはどこなんだ?


カーロの混乱を察した秘書は、眉間に小さなシワを寄せると、首を横に振った。


「ルーサ氏は死ぬ覚悟で地球に向かわれたのです。あなたを助け、あなたの望みを叶えることが、ルーサ氏の最後の望みでした。


いくらルーサ氏とは言え、これだけのパワーを使えば生きて戻ることなどできません。

きっと、燃え尽きて宇宙の塵となってしまわれたでしょう。

私には、彼を止めることはできませんでした……」



カーロは動揺を隠せないまま、

秘書はただ淡々と話を続けた。



「生前ルーサ氏は、

こう言っておりました。


『カーロは私の父親に似ている、きっと父の生まれ変わりに違いない』と。


ルーサ氏のお父様は昔、滅亡寸前の惑星から人間を救出したそうです。

ご自身の危険を承知で、二人の人間を抱えて別の惑星へワープしたのだとか。


救出した人間たちの名前は……

アダムとイブ。


そう、

それが地球の人類の始まりだったのです。


過酷な状況でのワープ救出を成功させたお父様は、その時に命を落とされました。彼は正義感が強く愛情深い方で、珍しい瞳の色をお持ちだったと聞いています。

右がマリンブルー、左がエメラルドグリーンの瞳を……」


「え……私と同じ瞳?

私が、彼の生まれ変わりだと?」


「えぇ」

秘書は続けた。


「我々のボスは、あなたしかいません。

『第二の地球』の未来も、あなた次第です。どうぞ的確なご指示をお願い致します」


いつのまにか、

カーロを取り囲むようにして仲間たちが集まっていた。


彼らは、カーロをボスと認め、敬い、

信頼している。

その感情を容易に読み取ったカーロは、身体の内側から溢れ出る光が輝きを増していくのを感じていた。


カーロの二色の瞳が美しく光を放つ。

迷いの色はなかった。


「わかりました。

今日から私がボスであり、パラダイス星の最高責任者であり、全ての指示を私が出します。

もちろん、この『第二の地球』も含めて。


まずは、病人に治療を始めて下さい!

そして食糧の配給を!」



秘書と仲間たちが慌ただしく動き始めた。





そしてーー


カーロは地球人に優しく語り始めた。


ルーサ氏がそうしたように。


多種多様な言語を持つ地球人たち全てが理解できるよう、

彼らの脳内に向けて。







地球人のみなさんーー


『第二の地球』へようこそ。


地球は

悲惨な状態になってしまいましたが、


このことで

多くのことを学んだ皆さんは、


きっと

この惑星を、第二の地球を、

大切にしてくれると信じています。




様々な国の


様々な文化を持った人達が


共に ここにいます。



国境はありません。



それぞれの国で築いてきた、


『常識』という規則やルールは


ここには ありません。



法律も貨幣制度も格差も


何もありません。



あなた方は、

完全に自由になったのです。



完全な自由社会なのですから、


他人の言動を見て、

『こうあるべきじゃないか!』と

怒ったりイライラしたり、


自分の考え方を他人に押しつけるのは

やめて下さい。



育った環境が違えば、考え方は全く違います。


他人には他人の『常識』があり、


他人には他人の『正義』があります。


自分と他の人の『考え方』が

正反対だったとしても、


どちらも決して間違っていないことを

忘れないで下さい。


すべての人が

自分の価値観に従って、

自分の思う『正しい道』を

歩んでいるのです。




ですから、


お互いを尊重し、


お互いを認め合い、


お互いに許し合いましょう。



そうやって


『自由』を楽しむのです!」




〜 続 〜


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