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宇宙の愛の物語。  作者: ~ちあき~
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第3章 救出(3)

カーロが目覚めたのは、それから一週間も経った日のことだった。


傍らには

彼の抜け殻が横たわっている。


古い肉体を脱ぎ捨て、脱皮したのだ。


驚いたことに、

新しい身体の内側からは美しく輝く光が漏れ出している。

強いエネルギーが体内に満ちている証拠であった。



カーロは言った。


「さぁ、行きましょう!あなた方を救出する準備は完璧に整いました。

この地球を一刻も早く離れましょう!」


ユウリは寂しげに微笑んだ。


「ありがとう、カーロ。でも……

私はここに残るわ。

確実なワープ成功の為には、

二人が限度のはずでしょう?

どうかリサたち二人を無事に連れて行って下さい。年老いた私はもう……」


カーロはユウリの言葉を遮った。


「心配は無用です。

今の私には強力なパワーが蓄えられています。この光が見えているでしょう?


身体から光を放出している人間なんて、

パラダイス星・最高責任者のボス以外に見たことがありません!

私は必ず、

あなた方三人を無事に救出します!

信じて下さい!」


カーロが力強く断言した、その瞬間ーー


彼の後頭部に鈍い痛みが広がった。



それはーー


地球人たちの発している、

苦悩のエネルギーの塊だった。


彼らの苦しみの念が大きく膨張し、

巨大なエネルギーとなって押し寄せてきたのだ。


まるで人々が半狂乱で泣き叫びながら

カーロの身体にすがりつき、

命乞いをしているかのように……。


カーロは苦痛に顔をゆがめた。


あぁ、こんな事態に陥る前に、

もっと早く地球人に知らせることができていたら……。


宇宙人として捕らえられることなど恐れず、正しい道を歩めるよう人々に忠告できていたら……。


そうしていれば、すべての地球人を救うことができたかもしれないのに……。



カーロが深いため息を漏らしたその時、彼の目の前に、鋭くまぶしい光が現れた。


そして地響きのような声が聞こえてきた。


「あぁ。本当にその通りだ」



どこか懐かしい香りのする光と

低く穏やかなその声。


カーロにはすぐに正体がわかった。

ルーサである。


「ボス! ボスなんですね? なぜあなたがここに?」


ルーサは再び声を響かせた。


「あなたを助けに来ました。

今までのやり方は間違っていたのかもしれません。

これからの宇宙は、カーロ、あなたに全てまかせようと思うのです」


そう言い終えると彼は

パラダイス星人最強の精神エネルギーを使い、

全地球人の脳に向かって、

メッセージを送り始めたのだ。




「親愛なる地球人の皆様ーー



この惑星は今、死にかけています。


ここで人間が生きていくことは、

もはや困難となりました。


一人でも多くの地球人を救うため、

別惑星への緊急避難を勧告します。



人間がいなくなれば、

いつかこの地球も

自力で息を吹き返すことができるでしょう。


地球のためにも、

人間はここから出て行かねばなりません。




今まで

あなた方が地球に対して行なってきた、愚かな行為に対する後悔・自責の念は、私まで充分に届いてきています。



私はあなた方を助けに来ました。



『第二の地球』へ私と共に行きましょう。

方法は簡単です。


私の腕にしっかりとつかまるイメージをするだけです。


そう、あなたの頭の中で。



そんな馬鹿げたこと信じられない、とか

そんなこと不可能だ、等と思っても、

様々な疑問が浮かんできたとしても、

今だけは、

その考えを脳内から排除して下さい。


なぜなら

恐怖や不安や疑いの心は、せっかくの超能力を阻害するからです。




人間の脳は、無限の可能性を秘めています。


『人間』という生命体が、

どれほど偉大な能力を持っているのか、

あなた方は全く気づいていない。


人間に本来備わっている超能力の使い方を、まだ誰も知らないのです。




しかし、

私が発信したテレパシーを理解できるのも、

あなた方が持って生まれた、高度な受信能力があるからこそです。


私を信じてついてきて下さい。


さぁ、私の腕につかまりましたか?


では、出発します!」





地球上で生き残っている者すべてが、

最後の望みを託して

ボスの言葉を聞いていた。


国も人種も言語も関係なく、

ボスの意思が

すべての人の心に伝わっていた。



そして……



ボスの放つ強力で優しい光が、

ゆっくりと静かに

地球全体を包み込んでいった。





〜 続 〜





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