人形
君はどうして君なんだい?
男はふっと笑った。気持ちの悪い粘りつくような笑みだ。端正で整った顔の笑みとは到底思えなかった。しかしこの男はそんな笑みを浮かべこっちをじっと見ている。
この男に見られるだけでも私は少し不愉快だというのに。なんでそんな気持ちの悪い笑みを向けられないといけないのか私は少し理解に苦しむ。
そしてなんで私にそのような質問をぶつけるのか。
疑問だらけだ。この男はいったい何がしたいのか。そしてこいつはどこのどいつなのだ。どこへきてどこの向かうのか。そしてなぜ私の前に姿を現したのだ。こんなにも苦しんでいる私の前に。だから私はストレートに怒りをぶつけて質問した。
なんであなたは私の前に現れたんだ?どうしてこの時期に?どうしてこのような私が大変な時期に。
男はふっとその嫌味な笑みを引っ込めて言った。
君がどうなろうと正直な話どうだっていいんだ。君の体の味を僕はもうおぼえてしまったからね。だから君にはもう用なんてないはずなんだ。でもね。君がまた必要になった。だから来たんだよ。君が君だからしょうがなく来たんだ。だから一緒に来てもらうよ。
私はあんたと一緒になんて行きたくない。
だろうね。でも君に決定権はないよ。だからしばらくの間おやすみ。
それってどういう・・・。
何か言いかけた時に私は意識が遠くなっていった。あれ?意識が・・・・・。そして遠くなっていく意識の中で声が聞こえた。
おかえり。私の可愛い可愛い。お人形さん。
そうか私は人形だったのか。私は眠りに落ちた。