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迷宮探偵  作者: 脩由
プロファイル1
5/10

第五話 テイク2

今回の5話は全文書き直ししました。

テイク1は没ストーリーとしてあとでアップします。

初めてです。全文書き直ししたのは。

いつもは1発で全文書いて、文言がおかしくないか自分で読み返し修正作業を行うのですが、全文書き直しはいままでなかったので、疲れました。

平瀬のいい所は、へたれで、煩悩を出しまくりですが、変なやさしさがありそこが味だと思ってます。

テイク2でどこまでみなさんに、味をお届けできているかわかりませんが、テイク1より確実にいいものになっていると思いますので読んでみてください。

 学園長お泊り事件(あの後すげー大変だった)があってさらに一週間がたった。

 今日は釧路さんにレポートを提出する日である。

 早くしないと”あの人”が用務員室まで来てしまうので、パソコンのキーボードをひたすら叩く。

 ちなみにパソコンは得意ではない。

 画面を見て叩け?ふざけるな。

 以前バイトの面接で受けたパソコン操作のテストで、そんな事を言われた。

 もちろん”できる”と答えるが、できるわけがない。

 なんであんな事ができるようになるのか理解できね~。

 必死に書き上げたメールをチェックする。

 問題はないと送信ボタンをクリックする。

 ちょうどその時ピーンポーンとインターフォンが鳴る。

 パソコンのシャットダウンを行って、はいはいとどこか気の無い独り言を口ずさみながら、扉をあける。

 そこにいたのはおめかしをしたあの人だった。

 

 「夜分遅くすみません。今日も来てしまいました。」

 「僕は全然かまいませんよ。さぁ、あがってください。」


 勿論言葉とは裏腹にかなり、かまう。

 目の前にいるのは恥じらいながら今日もきちゃった的な雰囲気を出す学園長。

 只今23時。

 あれからほぼ毎日この時間にやってくる。

 最近服装がだんだんエスカレートしてきて、始めはできる女のパンツスーツ姿だったのだが、3日前ぐらいからスカートでかなり短め。

 ま、百歩譲ってそれはいい。

 毎日来る学園長に先生がたの間で、噂が流れ始めている。

 そのおかげで裏の仕事に最近支障が出始めており、校内で出ている”火消し”をする羽目になっている。

 ”火消し”の内容はもちろん、俺と学園長が出来ているって話だ。

 さらにただ来るだけではなく、ホームステイももれなく付いてくる。

 短いスカートで来るもんだから、白い布が見えているんですけど。

 そりゃ、初日俺もパンツ履き替えましたが、露骨にアピールされると俺はどうも萌えない主義で、萌えが足らないんです。萌えが!

 それでも、もちろん笑顔で対応しますよ~。

 しかし今日こそはビップサービスもここまでだ!

 ビシっといってやりますよ!ビシっと!


 「平瀬さん。本当に料理がお上手で。いつもおいしくいただかせていただいております。」

 「いや~一人暮しをしていると、外食もいいんですが、ちょっとこったものを食べたくなりまして。」

 「ふふ、いい旦那さんになれますね。」

 「どうなんでしょうね~。」

 「また謙遜を。」


 すごい笑顔で返されて、苦笑しながら頭をかく。

 俺も馬鹿、馬鹿と言われているがここまで、好意を向けられてそれに気が付かないほどの朴念仁だとは思っていない。

 彼女は恋は盲目という言葉があるように、俺にすごい創造で盲目しているようだった。

 彼女がここにホームステイした初日に、俺が手を出さなかったことで奥ゆかしい人だと勘違いしてしまったらしい。

 普通に見れば、ただのへたれなのだが。

 俺の心の友ガラケーの”ケンタクン”が鳴る。


 「あ、ちょっと待ってくださいね。電話が鳴っているようで。」


 もう3本の缶ビールを開けて演説を始めている彼女にいちを断りをいれ、ディスプレイに表示されている名前を見て、つい受話器を取ってしまった。


 「もしもし、平瀬です。」

 「夜分にすみません。釧路です。」


 おお~わが心の女神よ。

 となりで綺麗な声で、放送禁止用語を垂れ流しにしている彼女と違った、クールな声が受話器から聞こえる。


 「どうされました?」

 「いえ。メールを返したのですが、返事がなかったもので。」

 「あ、すみません。只今来客中でして。まだ返事を見れてないんですよ。」

 「今日も、瑞穂来てるのですか?」

 「ええ。」


 演説中の彼女を確認すると俺が電話をしていることに気にした様子もなく、まだ続けている。

 その雰囲気を察したのか、受話器のむこうからため息が聞こえるようだったが、釧路さんは話を続ける。

 いいのかと思ったが、依頼主が切る様子もなかったので、そのまま続ける。


 「メールを読んでいただければわかるのですが、せっかくですし少し聞きたいのですが、めまいがされたとの事でしたが、何時ごろでしたか?」


 俺は不思議に思っていた疑問が解消された気がした。

 今まで釧路さんから帰ってきたメールはレポート内容の確認が済んだとしか、返事が返ってこなかったのだが、今日送ったメールはついさっきだ。

 そこからメールの確認をして連絡をよこしたって事は重要なキーワードがそこに書かれていたって事になる。

 書いた内容は最近学園長が遊びに来る事と、酒によって小学校の校舎の見回りの際めまいをしてしまった事を書いた。

 2点の疑問のうち、釧路さんが確認した事項が重要だと言うこと。

 酒によってめまいを起こしたことになぜここまで反応するのか?


 「そうですね。確か25時ごろだと思います。正確な時間までは。」

 「そうですか。ありがとうございます。体に異変はなかったですか?」

 「めまい以外は。」

 「よかったです。では引き続き調査をお願いいたします。それと、瑞樹に手は出さないように。」

 「それって。」

 「ツーツー。」


 くっそー。ちょっと俺に女性の影が出来たことに嫉妬してくれていると期待しちゃったじゃないか!

 クールな釧路さんがそんな意味で言ったことではないとわかっているよ。

 けど、あのすばらしい巨乳にお近づきになれる機会に期待して何が悪い!

 ふと学園長を見ると、座ってこっくりこっくりと船をこいでいた。

 

 「先生。起きてください。」

 「今日もお泊りしゅる~~。」

 「だめですよ。部屋に帰りましょう。」

 「お泊りしゅるもん。」


 幼児化してる彼女を、説得できるわけもなく、ため息をつきながら、手をつなぎながらベットに連れていく。

 寝るまで手をつないでいてくれとのリクエストで、笑顔でわかりましたと彼女が寝付くまで手をつなぐ。

 3秒で落ちた彼女から手を離し、釧路さんから言われた内容を考える。

 めまいか・・・。

 飲んでいた事が原因じゃない。

 じゃあ、原因があって”めまい”を起こしたって事なのか?

 ありえないだろ。

 ”めまい”とは体調不良から来るものだ。

 外的要因で起こるには異臭、光の明暗点滅などで引き起こされる異常現象。

 夜の時間にそんな光や、あの時異臭なんてなかった。

 しかも、”しっかり”見回った。

 人がいなかった事は確認済みだ。

 けど、その線で再度洗ってみるか。

 光と異臭、気が付いてなかっただけで、もしかしたら”あった”のかもしれない。 

 ないと判断して、捜査範囲を狭めることは可能だが、”正解”である可能性が少しでもあるのなら、まだないと判断するには早計だな。

 学園長も寝たし、調査に行くか。

 夜の見回りもかねて、いつものコースの調査を行うが、”なにも”ない。

 それは、ある意味わかっていた。

 いままで見つかっていないのである。急に意識したからといって見つかれば苦労はしないだろう。

 何か、今日はいけるような気がしたんだが。

 釧路さんからの電話で、意識してしまって、つい興奮してしまったようだ。

 ここに着てから、犯人の手がかりがなくあせっている。

 警察は今回の行方不明者を失踪事件として正式に追っている。

 しかも日に増えている行方不明者にあせっているのかかなりの増員を行っていると聞いている。

 ”あいつ”から電話がかかってきて俺に捜査を手伝えって話が出たが、いくら出すって聞いたら、今回の報酬よりかなり少なかったので、断ってやったが。

 用務員室に戻ると、今日も残念な彼女が寝ている。

 しかも、スカートがめくりあがり白い布が見えているが、見なかったことにして、布団をかけてあげる。

 明日から文化祭である。

 俺も用具を用意するために、手伝うことになっている。

 女子生徒にこれでも人気があり、引っ張りだこになっている。

 主に小学生。

 そりゃそうか。力のない小学生の用具を用意するのは大人の仕事だからな。

 ここまで、何も見つからないと弱気になってくる。

 はっきりいって俺は優秀ではないが、今までの仕事でここまで苦労した事はない。 

 浮気調査や、猫の捜査とは今回の仕事難易度は違うだろうが、前にも言った様にある程度の犯人の特定は出来ている。

 何が足りないのか。

 直球を投げてみれば何かわかるのか?

 愚策だとわかっていても得策のように思える。

 一人で戦うことがこんなに苦しいとは思ってもなかった。

 目の前で気持ちよさそうに寝ている女性が甘そうな果実に見えて、溺れてしまってもいいんじゃないのか?

 彼女もそれを望んでいる。

 俺じゃない俺の声が頭の中でぐるぐる回る。

 落ち着く為に、顔を水で洗うと今までの気持ちが払拭されたようにスッキリとする。

 ”やばかった”

 感情の制御ができていなかった。急に頭の中が負の感情で包み込まれ、弱気な自分を”演じて”いるようだった。

 俺はどうやら何かを見落としているような気がする。

 ”何か”はわからないが、これが鍵だな。

 直感でそう思う。

 急に手がかりをつかんだ気分になった。

 弱い自分は確かに28歳にもなれば何度も経験してきた。

 危ない橋も何度か見てきたし、感情のコントロールをしていなかったら今頃、刑務所で過ごしていたような気もする。

 そんな俺が”演じる”ように弱気を見せるなんて、あえていうがありえない。

 犯人からの挑戦状を俺は受け取ったようだった。

誤字修正 着て → 来て

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