第二話 ご主人様と下僕
さっそく2話目アップです。
いや~勢いって大切ですねw
釧路さんと、経費について話を詰めた後、契約書を作成する。
古い動きの悪いパソコンで、契約書が書かれたファイルを開き定型文の空白を埋めていき最後に会社印を押して、彼女の前に出す。
契約は簡単にいうと以下の通りである。
1:契約期間は1年とし、満了した場合契約の破棄
2:その期間の必要経費については、別途連絡相談
3:成功報酬は500万
4:依頼者の名前は絶対に明かさない。
5:前払いとして30万振込み
6:一週間ごとにレポートを作成して提出、怠った場合いかなる理由があろうとも契約満了扱いとする。
7:事件解決の方法は依頼者側で判断して、成功とする。
8:必要経費など、契約満了するまでにかかった費用で契約が破棄された場合でも依頼者に払い戻す必要はない。
以上が今回の調査依頼に関する簡単な資料だ。
しっかしわからね~な。
最後の7番目の事項。
解決したってどうやってわかるんですか?って話になった時にこちら側で判断いたしますって事になった。
具体的に解決方法を決めておかないと、後でごねられそうに思った俺は、その話を詰めようとしたのだが、大丈夫ですと笑顔で斬られ、ばっさりいかれちまった。
ま、必要経費もくれるって話だし、最悪事項8が適用されるし”稼げれば”問題ないか。
釧路さんが俺が作った資料の訂正箇所を指摘してきて、すみませんと修正を行う。
その間に、さっき出したインスタントコーヒーを不思議そうな顔で飲みながら、釧路さんはどこかほっとした様子がする。
ま、インスタントコーヒーなんて飲んだ事なさそうだし、いいねセレブは!と心の中で愚痴る。
修正した契約書に再度目を通すと、OKです。と実印を取り出し、印を押す。
ん?釧路さんの名前で印が押されているが大丈夫かと質問すると、薬師の名前が残るのはまずいとの事で、それなら彼女の保証人的な契約になってしまうがという質問にも大丈夫ですと答える。
金さえもらえれば俺としては問題ないし、もし、もらえなかったとしても、契約を立てにエッチな事ができね~かなと悪巧みを考えるが、そうはならないだろうなと笑顔で応対する。
印が押されて改めて契約書を読み返してぶっちゃけ俺にメリットだらけで、びっくりする。
こんなのでいいのか?!と思ってしまうが、相手にも事情があることだし、それに早く振り込まれる30万で、家賃払いにいかんといけないしと彼女を扉まで送り、最後に挨拶を交わす。
「では明日から調査を開始いたしますので。」
「いえ、あなたにはこれから面接に行ってもらうことになります。」
「は?面接?!」
立ち話もなんなのでと、もう一度椅子に戻り話を再開する。
どういうことだ?聞いてないぞ。
面接ってなんだ?
疑問が頭に浮かび、そんな俺をさっしたのか、彼女が説明してくれる。
「先ほど、証拠はないですが、ある程度事件の把握はしているとお話させていただいたかと思いますが。」
「ええ。」
「とある市内の学校に、犯人らしき人物が先生として潜伏しているとの情報を掴んでおりまして。」
「そこまでわかっているならなぜ、警察に?」
「犯人が潜伏しているのはわかっているのですが、どのような特徴でとかわかっておらず、そこであなたに学校に潜入していただき、犯人の人物の特定をして頂きたいのです。」
「事件を起こした可能性のある人物が、学校に潜伏しているがその身体的特徴などがわかっていない?じゃあどうやってその学校に潜伏していると判断されたのです?」
すげー違和感のある疑問だった。
だって、判断できる基準がないのに、そこに彼女は”いてる”と言っている。
どうやって判断したんだって話になる。
「それはお伝えできませんが、確実にその学校にいてることだけはわかっております。」
やべ~胡散臭さ倍増した。
もう契約交わしているし、断れねー。
マジありえないわ。
そんなときだった、彼女が腕を組みおっつっぱいが持ち上がる。
は、はさまれてーーー!
「これから、そこの用務員の募集試験がありますので、あなたに受けていただきます。よろしいですね?」
よろしくはなかったが、腕を上下させられ、俺の顔も上下に動く。
はたから見れば首を立てに振っているのと同じだった。
「では行きましょうか。」
「あ、ちょっと待ってください。その面談って何時からですか?」
「13時からですが。」
「まだかなり時間もありますし、面接会場で待ち合わせはできますか?」
ここの家賃今日中に払っておかないと、なんかまずい気がした。
「わかりました。では○○小学校に13時に。名刺にわたくしの連絡先が書いてありますので。後お金の振込みは10時には済ませております。では失礼します。」
あ、と思った時には扉を出て行ってしまった。
依頼者の見送りをしとかねーと。
事務所を飛び出て、周りを見渡すがもうどこにも彼女の姿はなかった。
マジか。足はえーな。
シャツと短パンの俺を通学途中のJK数人がうわ~的な眼差して見てくる。
やめて平瀬のHPはもう0よ!
慌てて、事務所に戻り、風呂に入る。
昨日は熱かったし、汗でベトベトだわ。
ビィンポーン、ビィンポーンビィンポーン!
頭を拭きながら、上半身裸で、ぴったりするボクサーパンツだけを履いて玄関を開ける。
「やっぱり来たか。」
「当たり前じゃん。うわ~そのかっこマジありえないわ。うちもいちを女子なんですけど~。」
「俺のセミヌード見て何をいうか。見ろこのプロポーション!」
マッチョポーズをとる俺に、はいはいっと、事務所に勝手に入ってくるこの女子は、このビルのオーナーの娘で、名前は共川 一美 18歳。
高校生で今年受験生らしい。
JKというブランドを持ち、メガネっ子で、顔とか身長とかド・ストライク!なのだが、貧乳のせいで残念なのだ。
「だれが残念じゃ!」
見事な回し蹴りをケツに受け前のめりでソファに顔をぶつける。
「いってーじゃねーか!」
「バカじゃないの。今貧乳ブームなんですぅ~。」
「どうせマイブームだろ。」
そんなとき都合よくテレビからおっぱいの話が出ており、現在貧乳ブームで需要が高まっているとキャスターとよく見るお笑い芸人が話しをしていた。
「・・・・。」
「この間もラブレターもらったりしたんですぅ。」
「へ~奇特な奴もいたもんだ。で付き合うの?」
「断ったけど・・。」
「なんで?付き合ってみればいいんじゃね~の?」
「好きな人いてるし。」
「お、そうなんだ。じゃあブーム着てるみたいだしさ。コクッちまえよ。」
「断られたときどう責任取ってくれるのよ!」
「お、おう。そうだな。すまん。」
「かっこよく、俺がもらってやるよっていえよな。」
「なんて?」
「うっさいバカ。」
くっそ。最後よく聞き取れない小声で話ししやがって。
バカバカいうんじゃない。本当にバカになったらどうするんだ!
「それより、あんたわかってるんでしょうね。」
ギラっと光る一美ちゃんの目にすぐに反応して土下座する。
「10時まで待ってください。」
「いっつもそれじゃん。そろそろお父さんにもらってこいって言われてるんですけど。」
「今日は本当なんです。なんなら10時一緒に見に行こうよ。」
「わかった。今日学校休む。その後どっかつれて行きなさいよ。」
「いや~それはちょっと無理かな。」
「なんでよ?」
「巨乳の美女とデートなんだわ。」
一美ちゃんのコブシが俺の顔面に突き刺さる。
確かこの子、ボクシング部だった気がする。
気がつくと10時になっており、首輪をつけられ犬のような扱いで銀行まで歩いていき、ATMでお金を下ろすと、さっさと家賃をふんだくられ、そのまま解散。
おお、首輪の鍵はずしていけよな・・・。