どうか、今のままで……
十数年繰り返してきた毎日
うんざりするほど飽き飽きしているのに
失うことを極端に恐れてしまう
それが何故なのかを考えると
やはり友の存在があるからなのだろう
出会う前は全くの他人で
名前は愚か存在さえも知り得なかったのに
ほんの小さな切っ掛けで話してみると
驚くほどぴったりパズルのピースは当てはまり
同じ時間を過ごすことを心地いいと感じた
会ったら挨拶をして
テレビの話や趣味の話や
他人が聞いてもちっとも面白くない話でバカみたいに笑って
嫌な所を見つけて喧嘩をして
そのくせ次の日には何事もなったかのように会話して
柄にもなく悩みを打ち明けると
まるで自分のことのように親身になって聞いてくれて
遊んで遊んで
遊び疲れて眠るとき
今日は楽しかったと一日を振り返り
明日は何を話そう 何をして遊ぼうと考えながらやすらかに眠りにつく
楽しい
そう楽しいんだ
うんざりするほど飽き飽きしているはずの毎日だと言うのに
楽しいんだ
楽しい
狂おしいほど楽しいだけに
ーー怖い
ーー恐い
失うのが怖い
ただの思い出になってしまうのが恐い
離れるのがーーこわい
笑っていられる日常
怒っていられる日常
こんな時が永遠に続けばいいのに
叶わない願いだと知りながらも
そう願わずにはいられない
自分勝手なのもわかってる
けれどいつかは必ず終わりが来る
それは何十年後かもしれないし
何年後かもしれない
考えたくもないが
明日ーーいや今この時かもしれない
友と話しているときの自分の顔が
泣き笑いのようになっている
笑い声なのか
嗚咽なのか分からない
自分で自分が分からない
こんなに苦しいなら
初めから友なんてならなければよかった
そんな最低な思考が浮かぶ自分が嫌になる
本当は
出会えてよかったと思っているはずなのに
出会いたくなかったとも思ってしまう
頭のなかはぐちゃぐちゃで
心のなかはぐるぐるで
堂々巡りの考えは終着点が見える気配もない
ねぇ聞いてよ
どうすれば大切なものを失わないですむのかな
永遠ではないものを
ずっと手元に置いておきたいと思うのは
自分勝手なのかな
我儘なのかな
ねぇ答えてよ
誰でもいいから
どうかお願いします答えてください
ーー失いたくありません