哀愁のデパガ(四百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。
「哀愁のデパガ」「メール転送」「筋肉痛」「温泉めぐり」をお借りしました。
まどかはデパートの服飾コーナーの担当。
一日中立ち仕事の接客業務のせいで足腰が酷い筋肉痛だ。
閉店時間にはハイヒールを脱げなくなるほど足がむくむ。
それでもその仕事を続けられるのは同期入社の江原耕司がいるからだ。
入社式の日に一目惚れしたが、声をかける事もできないまま一年が過ぎようとしている。
(いつか彼と温泉めぐりでもしたいなあ)
妄想は膨らむばかり。
でも現実では、休憩時間に他の女子と話す耕司を隅で眺める事しかできない。
そんな時、携帯にメールの着信音。
回覧メールだ。仲のいい同期の明菜からのメール転送だった。
「今度の連休に同期の会を開催しますので是非ご出席ください」
発起人は耕司と同期で一番人気のさやかだ。
まどかは何とも言えない複雑な気持ちになる。
(どうしようかな?)
返信を迷っていると、
「出席してよ。君がいないとつまらないから」
耕司がまどかのそばに来て言った。
「うん」
まどかは泣きそうになりながら頷いた。
お読みくださりありがとうございました。