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拝啓、空と世界へ  作者: 鷹利


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16/40

15.修学旅行最終日

その後、俺たちは京都・奈良と巡り、たくさんの思い出とお土産も出来た。

……けっ、決して書くのが面倒だったとか、そゆ訳じゃないんだからねっ!(汗)


「すぅ〜っ………ごほん…」 

 

あれから俺たちは清水寺に行ったり、奈良では奈良公園で鹿と戯れたり(可愛いとは言ってない)で色々と満喫した。

そして最終日の朝、奈良のホテルで朝食を摂っていた。

 

「おはようございます。

 修学旅行もあっという間に最終日となりました。

 今のところ怪我や行方不明になった等の報告はありません。

 最終日と言えど、家に着くまでが修学旅行です。

 今日は歴史資料館を巡ってから昼食を摂り、そのあと新幹線に乗って青森に帰ります。

 くれぐれも何事もないように頼みますよ」

 

朝から剛田先生はメガホンで声を張り上げる。

その様子にもはや見慣れてしまったのもあってか、一部の女子はこっそり話をしたりしていた。

 

「最終日だっつーのに、なんか締まらねぇなぁ…」

 

「まぁいいんじゃない?

 何だかんだでけっこう楽しめたし」

 

「…海条のことだろ?」

 

「なっ…!?///

 ……まぁ……楽しかったけどな…」

 

あの日の翌日以降、気づけば海条の事を探す癖がついてしまった。

なんとなく、海条のことを思い出すと……心臓が変に痛むのだ…。

 

「そういや碧乃はお土産何買ったんだ?」

 

「ん?

 親と親戚への菓子土産と俺の……かな」

 

「まぁそうだろうな」

 

「俺はどんな目で見られてるか分からんが、とりあえずぶん殴っていいかな?」

 

「ははっ、まぁ落ち着けって。

 でも何だかんだで、お前だって海条と良い思い出は出来たんだろ?」 

 

「まぁ……プレゼント交換は悪くなかったけどな……」

 

「後で伝えときまーーす!(笑)」

 

「ちょ、坂口てめぇッ…!!」

 

「あっはっはっはっ!」と坂口は大笑いしながら部屋に逃げていった。

その笑い声に苛立つも、脳裏にこれまでの思い出が浮かんできた。

…何やかんやで、水族館や自主見学などを思い返しても……そこには必ず海条がいた。

 

『俺……やっぱ海条のこと……好きになっちまったんだろうか…』

 

それが初恋だと気付きながらも認めたくない自分がいた。 


  

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、俺たちは歴史資料館を巡り昼食を食べてから新幹線の時間まで一時間半ほど余裕があった。

それを考慮して、急遽先生たちから十五分前集合の自由時間が与えられた。  

 

「碧乃!

 そこにもゲーセン見つけたぞ!(笑)」

 

昼食を摂ったレストランから数メートル先でも俺たちはゲーセンに立ち寄っていた。 

 

「ほんっとそゆとこは俺よりオタクだなお前。

 まぁ暇だから別に行ってもいいけど」

 

二人で行こうとしていたタイミングで海条と紫も来た。

 

「二人とも、ゲーセンに行くなら私たちもついて行っていいか?」

 

「そりゃ勿論!

 …まぁ希望なら碧乃と海条のお二人で歩いてもいいんだけどな(笑) 」

 

「よぉーし海条!

 四人で何か楽しめそうなゲーム探そうぜー(棒)」

 

「ふぇっ…!?

 …う…うん!

 そうしよっか…!」

 

思い過ごしだろうか。

海条もどことなく前よりもぎこちなくなってる気がする。

…まぁ数人の男女の目の前で頭をなでちまったからな。

多分あの夜のことはすぐ拡散されたに違いない。

  

「んじゃトイレとかないならぱっぱと中見て行くよ。

 時間もそう無いしな」

 

当たり前のように坂口が仕切り、全員でゲーセンへと向かうこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぅ。

 ここが奈良のゲーセンか…」

 

「意外と新しい感じだな。

 てか、普通に今どきだな」

 

「俺はてっきり昔のピンボールとか古いレーシングゲームとかありそうなイメージが…」

 

「それはあんまりだろ。

 てか、お前の言う古いって絶対ポリゴン画質の時代だろ」

 

「碧乃君。

 ポリゴン画質って……?」

 

「昔のゲームとかの画質のことだよ。

 今みたいに繊細で綺麗な画質じゃなくてこう……カクカクしたドットみたいな画質のことよ」

 

「ほえぇ……。

 碧乃君は物知りさんですね…!」

 

「そ…そんなことねぇよ。

 ただ知ってるだけよ」

 

数学で赤点常習犯です。

 

「おい碧乃!

 この設定けっこうムズいんだけど、お前出来るか?」

 

気がつくと、既に坂口はクレーンゲームに張り付いていた。

 

『相変わらず仕事の早いやつ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから自分たち用のぬいぐるみや菓子を取ったりなどで時間もそこそこ潰していた矢先のこと。

  

「悪ぃ。

 俺このレースゲーやってるからジュース買ってきてちょ。

 お前と海条の分も奢るから」

 

「仕方ねぇな…」

 

「あっ……私も行きます…!」

 

そう言われ、俺は海条と一緒に自販機にジュースを買いに向かった。

ちなみに紫は他の女子に誘われてプリクラを撮りに行ってる。 


「あっ、碧乃君…」

 

「どした?」

 

「ッ…私……トイレに行っていいかな…?」 

 

「あぁ。

 トイレならそこをまっすぐ行って右に曲がればあったよ」

 

「…わかった」

 

何やら海条の様子が不安げだが、俺がいなくなるとでも思ってるのだろうか。 

 

「俺は自販機のとこに居るから、ゆっくりしておいで」

 

「うー…///

 すぐ戻るもんっ…!」

 

そう言って海条はそそくさと走っていく。

 

『なんか、海条も垢抜けた気がするな…』


そう思いつつ自販機で買うものを選んでいると、何者かに背後から声をかけられた。

 

「…よぉ碧乃。

 修学旅行は楽しめたか?」


そこに居たのは、いつもと変わらぬ黒スーツに身を包んだ芹澤先生だった。 

  

「先生。

 見回りですか?」

 

「あぁそうだ。

 一時間半と言えど、どうせ生徒の大半はここに来るだろうと思ってな。

 ……海条の様子はどうだ?」

 

その質問に俺は自信を持って答えた。

 

「大丈夫ですよ。

 本人も楽しんでます。

 …むしろ、少し垢抜けた部分も見えます」

 

「…そうか…」

 

そう言って芹澤先生はパンっと小気味よく俺の肩を叩く。


「分かってるだろうが、家に帰るまでが修学旅行だ。

 純粋に楽しむのもいいが、財布と気の緩みは締めとけよ?」

 

「えっ…?

 はっ、はい…」

 

そして芹澤先生は笑顔で立ち去った。

 

『最後の……どういう意味だったんだろう』

 

そう考えていると、入れ違いに海条が小走りで戻ってきた。

 

「はぁ…はぁ…!

 お待たせ碧乃君…」

 

「何もそこまで急がなくても……俺は居なくならないよ」

 

「う…うん…。

 分かってるんだけどね……」

 

そう言って海条は寂しげな表情にうつむく。

…個人的な推測だが、以前海条がゲーセンに来た時にナンパされた事もあり、その事を若干トラウマにしてんじゃないかと。

…まぁ違うと思うけど。

 

「そうだ、何飲む?」

 

「あっ…えっと……ココア!」

 

「ほんとに好きなんだな。

 …あっ、紫の分も買ってやんなきゃ…」

 

「あっ…じゃあ、私が買うよ。

 あんまりお金使ってないし」

 

「何言ってるんだよ。

 男が女に奢らせるわけにはいかんだろ。

 ここは俺が出すよ」

 

「んーん!

 私が出すもん!」


「ぐぬぬぬ……」

「ぐぬぬぬ……」 

 

気持ちがこもってないガン飛ばしで俺たちはお互いに睨み合った。 

  

「……ぷっ…くくくっ………あっはっはっはっ!」

 

「…?」

 

突然俺が笑い出したことに少しばかり驚くも、海条もまた察してすぐに微笑んでくれた。

 

「はぁ〜ぁ……。

 じゃさ、二人で出しあいっこしようぜ。

 紫はコーラだろ?

 なら……このコーラ二百円だから、二人で百円ずつなら文句はないだろ?」

 

「うん!」 

 

そう言って海条はそそくさと財布を取り出す。

中身を落とすんじゃないかと少し心配したものの、海条は何事もなく小銭を渡す。

 

「…はい」

 

白く小さな指先が俺の手のひらに触れる。

思わずその手をギュッと握ってしまいたくなったが、何とか理性で抑え込む。

気持ちを落ち着けて俺も百円玉を取り出す際、小銭を入れながらふと横目で海条を見ると、海条は楽しそうに足をパタつかせていた。

 

『……ほんとにこの修学旅行で変わったな…』

 

そして買ったコーラを取り出し海条に渡すと、渡されたコーラを大事そうに抱きしめた。

 

「んじゃ戻ろうぜ」

 

「うん!」

 

俺が先を歩くと、後ろからリズミカルな足音が聞こえた。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ、やっと帰ってきたな」

 

「おかえり二人とも」

 

「おや、紫も戻ってたのか」

 

坂口がちょうどゲームをやり終えたタイミングで戻ったらしく、紫もレースゲーのシートに寄りかかるように立っていた。 

 

「あぁ。

 次々に女子グループに一緒にプリクラを撮って欲しいと振り回されてな……。

 途中で先生に呼び出しをされたと嘘をついて戻ってきたのだ…」 

 

そう言って紫は坂口の隣の座席にクタっと座り込む。

さぞ疲れただろうに…。

 

「紫ちゃん、これ…」

 

「ん…?

 おぉ、すまないな」

 

海条が両腕で大事そうに抱いていたコーラを渡すと、紫はぐびぐびと一口で飲み干した。

 

『え……ちょっと待って。

 あれ、500mlだよな…?

 一気飲み…だよな…?

 …しかもコーラだぞ(汗)』

 

そう疑問に思ってると、紫は気持ちよさげにため息をつく。

 

「はぁー…生き返った…。

 ありがとうな祈世樹」

 

「私だけじゃないよ。

 その……碧乃君と…ね?」

 

「ほほぅ…?」

 

その手の匂いを嗅ぎつけてきたハイエナ(♂)が卑しい笑顔を俺に向けてくる。

 

「碧乃…。

 お前何だかんだでやる男だなぁ。

 こないだの海条の頭をなでた件といい水族館で海条とデートしたことといい、フラグビンビンじゃねぇかよ(笑)」

 

「う、うっせぇな…。

 俺が戻ってくるかもしれない紫の分を奢るって言ったら、海条も奢るって聞かないから二人で出し合おうぜって話になったんだよ」

 

「ほぉーーー…?」

「ほぉーーー…?」 

 

面白みでも見出したのか、紫まで加担してきた。

 

「なっ……紫まで…!?」

 

「いやぁな。

 私もそういう話は嫌いではないからな。

 …だが燈、もしも祈世樹に不埒な事をしたら承知しないからな」

 

そう言って紫はボキボキと指ポキを鳴らした。

 

「わ、分かってるよ…」

 

不埒な事なんて……海条はあくまでも「守らなければならない」んだから……そんなこと……。

 

「…まぁ燈なら大丈夫だと信じてるから心配ないか。

 お前のような小心者では、女子に手を出すなど無理だろうしな」

 

そう言って紫はケタケタと笑う。

坂口も「違いない」と言って笑うも、どことなく腹ただしさを感じなかった。

 

『ムカつきはしないが、ちょっとくすぐったい感じだな…』

 

チラッと海条に目を向けると、たまたま視線が合わさり海条はニコッと笑い返した。

その仕草に少しばかりときめいてしまう。

 

「…あっ、そうだ!

 このメンバーでプリクラ撮ろうぜ!

 集合まであと三十分もないし、まだ一枚もこのメンバーで写真撮ってなかったしな」

 

「あっ、それいいな」

 

「同感だ。

 思い出作りの最後を締めるには一番良いな」

 

「私も…みんなと撮りたい…!」

 

「よぉし!

 そんじゃ是非を問わずプリクラ撮りに行くぜ!」


「おぉー!」

「おぉー!」 

「おぉー!」


 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どれがいいかなぁ…。

 紫、お前はどれがいいと思う?」

 

「うーん…。

 この『小悪魔黒ウサギ』とやらはどうだ?」

 

「それなぁ。

 俺もちょっと目つけてたんだよなぁ…」

 

坂口と紫が複数あるプリクラ機を選ぶ中、俺と海条は機体が決まるのを待っていた。

 

「しかし、プリクラってよくわかんないよな。

 写り重視だのラクガキ豊富だの、アナログ派な俺にはチンプンカンプンだよ…」

 

「私も……よくわかんないな…」

 

今どきの若者なら違いが分かって当たり前なのかもしれんが、あいにく陰キャオタクには本当に違いが分からない。

それゆえ、こうして坂口と紫が選別してくれるのは本当に助かる。

 

「二人とも!

 決まったから来い!」

 

「あいよー」

 

二人が選んだ機体には、まつ毛バッサバサの女性が演技よろしくサングラスを外してこちらを見ていた。

 

『…ほんとプリクラって分かんねぇなぁ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁーい♪

 それじゃあ、まずみんなで画面の真ん中に集合ー!

 それぞれ可愛くポーズをとってね♪』

 

ナビの指示で全員でそれぞれ真ん中に寄りポーズをとる。

位置は前側に紫と祈世樹、後側に俺と坂口の位置取りで撮っている。

   

「碧乃、もうちょい真ん中に寄れ。

 なんなら後ろから海条のこと抱きしめちまえ(笑)」

 

「なッ…!?///

 ばっ、バカな事を言ってんじゃねぇ!///

 そんなの…海条だって迷惑だろうに…!」

 

「私は…………いいよ…?」

 

「そこは拒否るとこーーーッ!!!!」

 

「おっ、おい三人とも!

 もう時間が…!」

 

『パシャッ』と鳴り、シャッターが切られた。

最後の最後までグダるとこは、まさに俺たちの日常のようだった。

 それから数枚の写真を撮り終え、撮影からようやく開放された。

   

「よし、碧乃の顔にヒゲ書こーぜ(笑)」

 

「おぉ。

 ならば額に「M」と書くのはどうだ?」

 

「おぉ紫、お前センスあるじゃねぇか!www」

 

…何やら不吉なやり取りが聞こえるものの、俺はあえて聞こえないフリを演じるために音の出てない口笛を吹いていた。

 

「大丈夫、碧乃君…?」

 

「へ?

 …あぁ、全然平気だよ!

 ………全然痛くねーし…」

 

そう言うと海条は笑顔で返す。

そしてベンチに座りながらココアをすする。

 

「修学旅行…終わっちまうな…」

 

「…そう…だね…」

 

間を開けて隣に座り、俺は質問を投げかけた。

 

「初めての修学旅行……楽しかったか?」

 

何気なく聞いたつもりだったが、海条の返答は予想と少し違った。 

 

「それは……本気で言ってますか?」

 

「え…?」

 

予想外の返しに思わず振り向くと、海条はどこか大人びた笑顔で俺を見つめていた。

 

「えっと………これは俺の見解だが…。

 …海条は……変わったと思う…」

 

思ってもいないことを言われたからか、海条はキョトンとしてからクスクスと笑う。

 

「そうかも……です。

 もし、そうだとしたら……碧乃君……あなたのおかげです…」

 

そう言って海条は俺の手に自分の手を乗せてきた。

その行為に思わず心臓が飛び上がるも、俺は平穏を装った。

 

「そ、そんな事…。

 俺はあくまでもきっかけを作ったにすぎないよ。

 俺は………何もしてない…」

 

「…だからこそです。

 碧乃君がきっかけを作ってくれたから、私は自分から一歩を踏み出せた。

 …私一人じゃ、何も出来ないから…」

 

「海条……」

 

その表情はどこか寂しげながらも、大人びた強さが伝わってきた。

 

「こんな可愛げのない私ですけど………これからも、仲良くしてくれますか……?」

 

ニッコリと微笑むその笑顔は、いつものぎこちない海条を忘れさせるほどの「素の海条祈世樹」だった。

 

「……あぁ…。

 俺の方こそ……よろしく頼むよ」

 

そう言って俺は海条の手を握る。

気がつけば、俺は海条の顔を真正面からじっと見つめていた。

 そこにかつてのぎこちなかった少女の面影はなかった。

全てをさらけ出し、自分を取り戻せた少女の姿があった。

力強く握り返すその手は少しひんやりしていながらも、優しげな温もりがあった。

 

「おーい二人ともー。

 プリクラ切り分けたぞー」

 

「……ッ!!///」

「……ッ!!///」 

 

突然の坂口の声に現実に引き戻された俺たちは、思わず手を離して再び距離を開けた。


『冷静になって考えると……俺、海条の手を握ってたんだよな……///

 なんつー大胆なことをッ……///』

 

海条もまた状況を飲み込んでか、いつも通り顔を真っ赤にさせてそっぽを向いていた。

 

「なんだぁ?

 ま〜たイチャついてたのか、このリア充共め(笑)」

 

「ばっ……そんな事、一切ねーよッ!!///」

 

とは言ったものの、何事もなければここまで声を張り上げる必要も無い。

 

「…見てくれ二人とも。

 いい感じに仕上がったぞ」

 

紫が差し出してきたプリクラを海条と覗き込む。

 

「……おぉーー!」

「……おぉーー!」

  

渡されたプリクラには、すっちゃかめっちゃかしてゴタゴタに騒ぐ俺たちや、ヒゲ面でマヌケ顔の俺や、目のラインに容疑者黒目線で隠された俺、地毛が見えなくなるほどに反り立つ金髪の俺が………って……。

 

「………何で俺ばっかり落書きしてんだごるぁぁぁぁぁーーーー!!!!!(#゜Д゜)」

 

そう叫ぶと坂口と紫は腹を抱えて爆笑した。

 

「すっ…すまない…。

 なんせ…燈の顔は、何故か落書きのアイデアが次々と……ぷくく……wwwww」

 

「ある意味、お前ってラクガキしやすい顔なんだよね。

 こう……個性が強いから?

 ぶふぉwwww」

 

「ッざッッッけんなぁぁぁぁぁぁぁあーーーー!!!!!」

 

また耐えきれなくなった二人が涙を流して笑う。

くっそムカつきながらも不意に海条の方をチラッと見る。

 

「……うふふ…」

 

口を隠しながら海条も楽しそうに笑ってくれていた。

その笑顔を見た途端、腸の煮え繰り返り感がスーッと抜けていく気がした。

 

「はぁー……。

 全く、お前らはほんとムカつくぜ……」

 

それは褒め言葉だと悟ってか二人はニタニタと笑う。

 

「…あ……もう集合まであと五分だよ…!」

 

「げっ…!

 もうそんな時間か…。

 おし、とっとと行くぞ!」

 

そう言って坂口は足早にゲーセンを出た。

 

「まっ、待て慶太…!」

 

紫もまた坂口の後を追って走る。

 

「…行くか」

 

「…うん!」

 

そう言って俺たちは手を繋ぎ、ゆっくりと歩いていく。 

俺の手を握り返す小さな手は弱々しくも温かく、絶対に離してはダメだと思わせてくれる使命感を感じさせてくれた。

 

 

 

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