12.(茶番)修学旅行男子あるある
その日の夜の事。
ホテルに戻って入浴を済ませて全員で夕食を摂り、レクリエーションを経てその後は部屋で自由時間。
これと言って修学旅行的なイベントは特になく一日目が終わろうとしていた。
…そんな矢先のことだった。
それは就寝時間を迎えてのこと。
「お前ら消灯時間だぞ。
夜更かししないでさっさと寝ろよ」
「へーい」
「へーい」
「へーい」
見回りに来ていた梅田先生が出て行き部屋の電気が消される。
真っ暗な部屋には俺と坂口とアホの石澤の三人。
「はぁー疲れたぁー…」
「石澤、お前は自主見どこに行ったんだ?」
「んーーっと………首里城とひめゆりの塔と物産展を見て回ったよ。
テレビでは見たことあったけど、市場で豚の頭そのまま置いててびっくりしたよ」
「うわ、それはえげつないな…」
坂口がそう言うも、こちらの文化では豚は捨てるとこがないと言われるほど食用としての扱いが細かい。
「まぁそんな偏見したとこで文化だからなんとも言えんか。
逆に沖縄の人たちからは、俺たちが漬け物みたいな塩分激高な物が食えるのがイカレてると思うだろうしな」
「あぁーたしかに。
沖縄料理ってけっこう甘いの多いもんな。
サーターアンダギーとか」
「二人とも。
話すなとは言わないけど、あんまり長話してるとまた先生来るぞ」
「…そうだな。
もう寝るか」
「ちぇっ。
碧乃は真面目だなぁ…」
そう言いながらも渋々石澤は寝入ってくれた。
『そういや明日はどこ見て回るんだっけ。
……パンフ見てなかったな…』
二人が寝入り、脳内で明日の予定を考えてる時だった。
『………プゥ…』
「ぶふぉッ…!
ちょっ、誰だ今屁こいた奴!」
「ちょ…www
何今のwwwwww
ww草生えるwwwwww」
「だぁー、うるせー!!
絶対今のすかしっぺだろ!
全然匂いしねーぞ!」
「碧乃、お前だろ!
白状しろよwww」
「なんで笑いながら言うんだよ!
石澤、絶対お前だろ!」
「はぁ?
俺やってねーし。
もししたとして、俺のはジャスミンの香りだからこんな臭くねーし………wwww」
「……あっはっはっはっ!!!!」
「……あっはっはっはっ!!!!」
もはや限界だった。
笑いをこらえて事態を収束しようと思っていたのに、石澤の一言に笑いのストッパーが外れてしまった。
「おまッwww
明日…朝起きたらぶん殴ってやるwww
……クッソwww」
「い、石澤www
今のwwwはッ…反則www」
事態は悪化の一途を辿り、止めようにも止められない状況に俺までもが仲間入り(道連れ)していた。
「はぁ〜…………頼むから寝てくれよ…。
明日も早いんだから…」
笑い疲れ、息も絶え絶えになりながらも諭すと、急に二人は静かになった。
『……ようやく寝てくれたか…』
…………なるはずが無かった。
「………痛ってぇッ!!
石澤、お前蹴っただろ!」
「ちげーよ!
俺じゃねぇし!
………あ痛ってぇ!!」
「碧乃!
お前がそんな暴力的な奴だとは……見損なったぞ!」
「だッ……俺じゃねぇよ!!
口から出任せなこと言ってんじゃねぇ!!
いいからはよ寝ろや!」
俺の一喝に二人はそこから喋らなくなった。
………ってのは自分への言い聞かせでしか無かった。
「んふふふふふふふふwwwwww」
「ちょwww
いきなり笑い出すの反則wwww」
「だって…www
なんか………ぎゃっはっはっはっはっ!wwwww」
「お前らいい加減寝れや!www
……うちょっ、おほあははは!!wwww
誰だくすぐってるのはwww
し……死ぬッ……wwwww」
「おい碧乃!
喘いでんじゃねぇwww」
「笑いながら言うな坂口www
…あっはっはっはっ!!!!www
マジでwwwちょwwww」
『…………プゥ………』
「ぎゃっはっはっはっはっ!!!!!!」
「ぎゃっはっはっはっはっ!!!!!!」
「ぎゃっはっはっはっはっ!!!!!!」
もはや何もかもどうでも良くなってしまった。
なぜ修学旅行男子は真っ暗になった途端、必ずと言ってもいいほど屁の音を出したがるのか。
これを女子が知ったらどんだけドン引きされることか……。
だがその直後、俺たちの笑い声を聞きつけてか部屋のドアが突然開く音がした。
「うっせーぞお前らァッ!!!!
もう消灯時間は過ぎてんだぞ!!
何時だと思ってんだッ!!?」
突如入ってきたのは生徒たちからも恐れられてることで有名な生活指導の剛田先生だった。
「もう寝てる奴もおるんやからとっとと寝ろ!
明日も早いんだぞ!」
「は、はい。
すぐ寝ます……」
俺がそう言うと、剛田先生は後味悪そうにガンを飛ばしながらゆっくりドアを閉めた。
「……行ったか?」
「あぁ。
…マジビビった」
「…お前らが騒ぐからだろ。
俺はこうなりかねないと思って言ってたのに…」
「かく言う碧乃も大笑いしてたじゃねぇか。
こーゆーのも好きなんだなww」
「…やかましいわ。
もう寝るぞ」
「はーいはい。
…………あ、オナラ出た」
「だからそう言う報告は要らないって言ってるでしょうに!」
「くくくッ…www」
こんな調子で明日起きれるのだろうか…。
ようやく静かになった室内で俺はそう思いながら目を閉じる。
叫びまくったのもあってか、目を閉じるとすぐに寝入った。
眠りにつく直前、不覚にもこんな事を思ってしまった。
『……まぁ、こういうノリも嫌いじゃないがな…』




