品行方正に生きてるよ
こんちは!狭川といいます。
某販売店の副店長をしています。 最近はいろんなモノがネットで買えるから販売って難しいよね。だって家から出なくてもスマホポチポチすれば買えるもん。販売員だってほぼ必要ないんだよ。
スマホあって梱包して検品して送る人と運ぶ人と、その中に販売員がいらなくなってきてる。喋りたくないからネットで買う人だっているだろうし。
それなのに、上は集客を増やせ。売り上げ。売り上げ。
無理な話じゃない?集客したところで売り上げにつながるとは考えにくいし、親切にしたからって買ってくれるとは限らない。
難儀な商売だよね。
売り上げや顧客の要望、クレームなどは一応管理職としてすぐ確認できるようになっていて、毎日目を通さないといけない。売り上げの多さで奨励金なども変わる。奨励金があったって、さっきの理由があったらほぼ意味ないよ。だって、お客さんが買いに来ないんだから。
こっちが薄々思ってることはスタッフも思ってる。
だからそんなにガツガツ売ろうとしない。ガツガツ行くとクレームに繋がるし、SNSに何を書かれるかわかったもんじゃない。
強引と売り方がうまいという微妙な匙加減がわかる利口なスタッフなんか、育つ前にこの業界にさっさと見切りをつけちゃうからね。
あーー今日も頑張った。クレームなし。売り上げもゼロじゃない。もっと付随した商品やらも売れればよかったけど、それをスタッフに言えばモチベーションがガッチリ下がる。
そもそもスタッフは、売ったんだからいいでしょ?のスタンスだ。炊飯器を売ったらそれと一緒にインテリアに合う食器やちょっとした小物だって、売れるものは沢山あるんだ。
でも、面倒だから黙ってる。下手なこと言ってセクハラモラハラなんて言われたら困る。
このご時世に職場環境が乱れたら大変だ。転職も、人間関係もご機嫌取りも全てがめんどくさい。
「狭川さん、休憩〜。」店長が察知したように話しかけてきた。ありがたい。スタッフの休憩を回してからだから、こっちはどうしても遅い時間の休憩になる。店長副店長が休憩に入っても、この時間なら大きなクレームもないだろう。
ダンボールはあるが整頓されたバックヤードは、ポットやレンジがある。売れないからと自分が購入した小さめのコーヒーメーカーも、スタッフが使えるようにしてある。コーヒーを入れている間
バックヤードの冷たいパイプ椅子に座ると、スマホを取り出し、ニュースを見る。
40歳前後のおじさんが死刑になりたくて小学校を襲ったニュースがトップに出てきた。
いいなぁ。守りたいものがなくて。自分の周りが迷惑しようが気にしなくて。そこまで捨てられて。
悪いことしても国がお世話してくれる。犯罪者の身の上をニュースであげつらっても、自分と大差ない。それなのに自分は働いて、こいつらは働かず、のうのうと生きていられる。
やってられないな〜と思ってテーブルに突っ伏すと、同じ副店長のりんが話しかけてきた。
「お昼は何?」
「おにぎりだよ」
この会話をする時、今日はホテルに行くかどうかの質問だったりする。
ご飯ものを答えたらOK、それ以外はNO。
「いいねおにぎり。ゆっくり休んで」
りんはいやらしく笑うと、バックヤードから出て行った。一息つくまもなくほのかが入ってきた。りんが出て行った
「狭川さんと齋藤さんって仲良しですよね?」
齋藤はりんの苗字だ。
内心うわ〜めんどくさい。と思ったが、無視できない。
こいつは口の軽いメンヘラで、ご機嫌を取らないとすぐヘルプ部署に報告する化粧の濃いバカ女だ。当たり障りないことを言わないと大事になる。
「この職場入ったのが半年くらいしか違わないからね。悪くはないよ。よくもないけど。」
「そうですか。なんもないんですか?」
「こっちは既婚だし、あっちも相手いるよ」
「あっそうなんですか!?知りませんでした!あとで聞いてみますー。私に黙ってたなんて〜!」
とキンキン甲高い声を出し、すぐにバックヤードから出て行った。仕事しなくていいから辞めてくれ。ほのかに対してはそのスタンスから変わらない。
空気は壊すし、お客さんにはタメ口だ。おじさんやご年配には受けがいいが、同姓からは嫌われるのだ。クレームも多い。
キャバ嬢上がりだと言いふらすほのかの背中に彫られた大きなバラ。それが透けるようなTシャツで出勤されると、スタッフも困惑するし、どうしたもんか。
ほのかと喋った時間はほんの数分だったが、話す前よりどっと疲れるんだ。
職場 辞めさせ方 など、とりあえず検索だけしてみる。そんな感じでダラダラとスマホを見続けていたら休憩終了の時間が近い。
昼はコーヒーとプロテインバーでいいや。
午後もゆるく頑張るか。
来てくれるお客さんが快く買ってくれたり、名刺がほしいと言ってくれたと新人スタッフが喜んでいた。売ってくれてありがとう!助かった。
店長も内心はよろこんでいるはずだ。
今日は早番だったので嬉しい気持ちで退勤。
20分ほど車を走らせて市外への公共駐車場に車を停めて適当な動画を見ながらりんが来るのをしばらく待つ。
公共の駐車場は何百台も車をおいておけるので、少し話した場所へりんが車を止めて歩いたきた。
そこからまた20分ほど運転してホテルに向かう。
「ほのかに相手いるのバラしたでしょ!すごい面倒だったよ」
「ごめん。でもこっちも勘繰られて大変だったから許して」
「まあいっぱいしてストレス発散しよ。」
りんは性欲が本当に強い。相性もいい。
ただ、あちこち舐めまわされてこっちがつらいので30分くらいにわけて2回すればお互い満足する。
90分で済ませれば安く上がるし。ホテル代は基本割り勘。車出す方は少し少なく、がお互いのルール。
ベッドではよく喋るけど、部屋を出るともうどうでもいい。お互いの生活に帰る。
でも、これのおかげで毎日しんどいのを我慢できる。それがルーティン。シャワーも適当。スッキリ。
言いたいことだけ話すより、セックスしているだけでいいんだ。
ある程度終わったあと、りんがシャワーを浴びに行った。その間暇なのでスマホをいじっていたら
孝一から連絡があった。
「お仕事おつかれさま。今日は飲んで帰るよ。」
と可愛い絵文字付きの1行。
もっと早く連絡よこせよ。気がきかねぇな。
誰が飯作ると思ってんだウスラハゲ。
今日は簡単にすませるつもりだったけど。
と送りたいところをこらえ、
了解!ゆっくりしてきてね。と返信する。
りんがシャワーを終えて、身支度を整えたら車に乗り込み、いつも駐車場へ帰る。他愛無い話も、気軽に話せる、この関係は本当に安心する。
「今日もできてよかった。まゆちゃん、またね。」
「ありがと。凛矢。おやすみ。」
凛矢が一緒に暮らしている彼女は、高校の同級生で今でも友達だから、色々と知っている。何かあるたびに報告してくるので、知らないことの方が少ないかもしれない。
もう結婚の約束もしていて、近々籍もいれる。実は妊娠もしていて、一昨日検査薬が反応したらしい。
凛矢がどういうか楽しみ。と言う彼女の声色に、罪悪感と優越感でいっぱいになった。
私はこれでいいんだ。
あぁ、最高。
凛矢の子、はやく抱きたいな。




