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#102.良いも何もありませんよ

 ほどなくしてロゼリアさんが目を覚ました。


「ん……」


 赤い眼がぱちくりと何度か瞬き、ゆっくり僕達の顔を見上げる。


「マリー様は……?」


 僕達を見回して彼女はそう言った。


「ヴリドラ……マリーは討ちました……」

「そう、ですか」


 ロゼリアさんはどうとも言えない表情を浮かべた後、重そうな体を起こして立ち上がる。


「ご迷惑をお掛けしてしまったようですね。大事な局面でお役に立てず申し訳ありませんでした」


 言いたい言葉を噛み殺すようにして、彼女は真っ二つに折れたカラドボルグを拾い上げる。


「ロゼリアさん……」

「ロゼリアで結構ですよ、ロイ殿」

「でしたら、僕のこともロイで」

「ええ、承知いたしました」


 拾い上げられた青い槍がそのまま僕に手渡された。


「ロイ、これはアナタに……」

「それはキミが持つべきものだ」

「壊れた武具に価値はありません。ですが、アナタならば英雄の力で再構築することも可能なのでしょう?」

「ああ、わかった」


 受け取ったカラドボルグを腰のベルトに差し、後の処遇を考える。


「それに……」

「それに?」


 彼女は少し躊躇うように言った。


「差し出がましい提案かもしれませんが、アナタ方には王国とのパイプが必要でしょう?

 私に協力して国賊であるマリー・バークシャーを討ち取った証としてそれを陛下に見せれば良きによう計らってくださるかと……」

「国賊……か……」

「ええ、陛下の顔に泥を塗った悪女です」

「キミはそれでいいのかい?」


 僕がそう問いかけるとロゼリアは赤い瞳を細めて口角を少し上げた。


「良いも何もありませんよ」


 その一言だけを口にした彼女はマントを翻して歩き出す。

 僕達もそれに続くようにして歩き出した。


「ふぃ〜! 今回もハードだったねぇ〜!」

「煉鉈龍を呼び出すとはヴリドラも手の込んだ計画を練っていたものです」

「エマさん……? 顔色が良くないですよ……?」

「私は山も谷もなく過ごしていくハズの人生設計が……うぅ……」

「それは……ご愁傷さまです……」

「一般人なのにぃ! 小市民なのにぃ!!」

「ロイと関わった時点で諦めた方がいいわね。

 アレと一緒に居たら平穏に暮らすなんて絶対に無理よ」

「アナ! その言い様はないだろー!」

「事実でしょーに。ライフワークのように面倒事を持ち込んでくるクセにぃ!!」

「好きで巻き込まれてる訳じゃないぞ!」


 そんな会話をしてるうち、ワーム巣穴入口の近くまで戻ってくる。


「ピタッ―――…」


 突然、先頭を歩くロゼリアが足を止める。


「ん……? どうしたんだい?」

「この先にとんでもない化け物が居ます……」

「剣聖の勘ってやつかい?」

「いえ、どちらかと言えば動物としての本能に近い警告ですね」


 彼女は冷や汗を垂らしながら剣を身構える。リコ達も居竦むように目を見開き、警戒心を露わにしていた。


「人として自分達より圧倒的上位の存在がこの先にいます。例えるならそう、この先にいるのは神か何かではないか―――、と……」

「同感ね。神聖魔法師として神の存在を感じるわ、私の精霊達が騒いでた理由が分かったわ」

「この感じ……ロイさんと似ている……?」


 なるほど、となればこの先にいる化け物の正体はただ一つ。


「原罪か―――……」

「マスター、ただの原罪じゃありませんよ。恐らくは―――」

「アナがビビってるんだ、僕でもわかるよ」


 始まりにして、この世界そのもの―――。

 人は神を知る。同時に不確かなソレを確かなモノたらしめるには代弁者が必要だ。

 この世界が生み出した神の代弁者は、この世界のルールとなり神となる。





 その名は――――――……。





「真祖―――……ラマンユ―――……」





 その名前を口にした時、初めて僕にも向こう側の存在が確かなものとなった。


「……確かに、とんだ化け物だな」


 頭の上から自分の全てを見られているような、監視―――? いや、違う。

 ヤツに従えと本能がそう告げるような妙な感覚を憶える。


「マスターの反対側に立つ存在です。

 慈愛が全てを赦すのなら、彼は全てを否定する―――。

 自身以外を断罪する絶対の権力、それが真祖ラマンユ―――……始まりの原罪です」


 ―――僕は神との邂逅に恐怖した。

ハジメマシテ な コンニチハ!!!!

高原 律月です!


竜の魔女、102話になります!!

とうとうラスボスの登場ですっ!


今までの原罪とはまったく仕様が異なるラマンユさんです。

なんて言うか、この人は強いとか弱いの次元じゃなくて現行世界にいれば勝利確定レベルの公式チートさんです。

ぶっちゃけ、今のところロイ君は勝ち目0ですねぇ……さて、どうして出してしまったのか(笑)


ストーリーとしては、今がちょうど真ん中になります。


討伐した原罪が4つ、残る原罪が4つ。

(残りにロイ君を含む)


ということで、そろそろラスボスを一旦出しておこうかなって感じです(笑)


ちなみに竜のカウントは残り5です。こちらはファフニールさんも竜カウントになります。


ということで、情報整理のお時間です(これをしたくて今回のお話はかなり短め笑)


ー原罪ー


真祖 ラマンユ(傲慢)

大聖母 ティアマト(色欲)

暁星 エーオス(食欲)←本編は未登場

冥賢者 オシリス(怠惰)

神獣皇 ククルカン(強欲)

夜王 ヴリドラ(嫉妬)

龍帝 ファフニール(憤怒)

ロイ・オックスフォード(慈愛)


※時系列順です。


ー戦乙女ー ()内は契約している英雄


長女リコリス(ロイ)

次女アイリス(ファフニール)

三女フリージア(ティアマト)

四女アマリリス(?)

五女ダフネ(ククルカン)

六女アザレア(?)

七女マリー(ヴリドラ)

八女アネモネ(?)


になります。


ー獄炎の色ー


ラマンユ 紫

ティアマト 水

エーオス 黄

オシリス 橙

ククルカン 緑

ヴリドラ 赤

ファフニール 黒

ロイ 青


ですね。


設定上、ラマンユが始まりの原罪として世界のルールを作っているので神性が一番強いです。

ファフニールとヴリドラはラマンユの作った世界以前の存在なのでイレギュラーですが、ガチ戦闘をした場合だと戦闘力なら神の双子の方が上ですが総合力はラマンユの方が上になります(前にチラッと話した神代ならヴリドラさんはカラドボルグをクルクル〜で世界を滅ぼせるというのは、神代でしか出来ません)


これ以上はネタバレを含みますので明言出来ませんが、ここまでのお話で矛盾点が幾つかあると思います。


特に今回のヴリドラさん関連は多くの疑問点を残してありますが、いずれ解決させていくつもりです。


余談になりますが、ロゼリア・ヴリドラ・マリーの情報を載せておきます。



ロゼリア・シュルーズベリー

20歳 身長167cm 11/12生まれ O型

下着の色:ガーリーな桃色

王国騎士団 第三師団長(師団は全部で6つ)

甘い物に目がなく、時おり言動が幼児レベルまで退化することもあるが紛れも無く王国トップクラスの傑物。

素直な性格から駆け引きや機密性の高い任務には向いていないが、こと戦闘(特に対軍戦闘)に関しては騎士団最強戦力の一人。

的確な指揮と厚い信望でどんな難局でも弾き返す第三師団は王国の先鋒であり、王国の誇る鉄壁の盾でもある。

マリー・バークシャー(ヴリドラ)前師団長の薫陶を受けた彼らは国民から愛される存在で、その象徴である赤薔薇の騎士は有事の際に国民の心の拠り所となる。


夜王 ヴリドラ(赤の英雄 アーヤ)

26歳(死亡時)身長157cm 12/3生まれ AB型

下着の色:大人なワインレッドにレース付き

名実共に人類史最高の存在。彼女の造り上げたロメリア王国は1000年経った今も健在であることからも統治能力も頭一つ抜け出ている。

在位期間は短くも的確な政治手腕を持ち、彼女の死後も彼女が遺した計画を元に千年王国が築かれた。

後世で評価の割れる大虐殺は必要悪と評価されることもある。

ロゼリア・シュルーズベリーは彼女の子孫にあたり、師弟関係を越えた絆がそこにはある。

民の為に生きるその生き様は多くの者に感銘を与えた。


戦乙女 マリー

無し 身長162cm 1/17生まれ A型

下着の色:ヴリドラとお揃いのワインレッド

赤の英雄アーヤに仕えた謎多き秘書官。ロメリア王国建国記には謀反を起こしアーヤを屠った後にまだ幼な子であるアーヤの娘を王とし、末永くその施政を支えたと記されている。

なお、ロメリア王国はアーヤとその娘の功績を称え、伝統的に女性を王にする風習がある。

歴史研究家の間ではアーヤとマリーの二人がどこで道を違え決別することとなったのか、未だに議論されており、真実は1000年経った今も闇に包まれている。



公開しておいてなんですが、本編にまったく関係のない情報公開でした(笑)


サラッとヴリドラさんに娘がいた情報がありますが、些細な情報です(というか、娘なり息子なりいないと話の辻褄が合わなくなるので設定上存在してる感じです笑)


それでは、また次回〜 ノシ

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