第三話 神様
誰だろう。今、優稀の気持ちはクラスメイトの死を悲しむような気持ちではなかった。クラスメイト達を殺したであろう女の子がとても、崇めるべき存在に見えたのだ。
神様だろうか。
優稀が最初に思ったことはこの一言。一瞬、自分を救おうとしてくれているのかと思った。だが、そんな想像はこの女の子の次の言葉でかき消された。
「ん?あ、来ちゃった。ごめんね~!これも依頼だからさ!」
依頼。つまり、自分の意志で皆殺しにしたのではない。誰かから頼まれて、だ。その誰かは分からないが、少なくとも、不本意でやっている可能性だってある。
「…………」
その女の子は少しの間、僕を見つめて「じゃあね。」と言って消え去った。消え去る直前の女の子の顔は、微笑んでいた。
僕はその場でしばらく立ちすくんでいた。近くを通りかかった先生が悲鳴をあげ、慌てて警察と救急を呼んだ。 助かるはず、ないのに。
数分後。警察と救急車がけたたましくサイレンを鳴らして到着した。先生たちが大慌てで案内するが、少年はずっと教室の前に立ちすくんでいた。警察の人に声を掛けられ、先生たちに名前を呼ばれ、しばらくして気が付いた。事の重大さを。僕は泣いた。みんなが死んだのが悲しかったのではない。ただ、怖かった。もう学校中には琥珀の嘘の証言が広まっている。だから、僕がみんなを殺したと思われてしまうかもしれないからだ。
「優稀君!大丈夫?」
「…は…い…」
「よかった。ずっと反応してくれなかったから。」
「はい、」
優稀はずっと、同じ言葉だけを繰り返していた。今は何も、考えたくなかったからだ。
「とりあえず、こっちに行こう。話がききたいな。」
「はい」
優稀は警察に連れられ何があったのか、何を見たのか、いろいろなことを聞かれた。だが、あの女の子のことは絶対に話したくはなかった。なので、僕はこう、証言した。
「みんな、僕が来た時にはもう死…死んじゃってて…」
「そっか。分かった」
それから警察の人にたくさんの質問をされた。だが僕は何も見ていなかったとすべての質問に返した。
「……優稀!本当はお前が…みんなを…!琥珀の一件もあったんだ!それで逆恨みをして…!」
国語の先生は涙を流しながら僕を叱る。
「ま、まぁまぁ落ち着いてください!優稀君の持ち物に凶器なんてなかったんですから。」
「あなたは知らないでしょう、この子が何をしたのか!」
「今は優稀君も怖い思いをしていたんですよ。先生はそう言う生徒に寄り添ってあげるべきじゃないんですか!?」
警察の人がそういうふうに先生をなだめる。
そんなこんなでこの大事件は未解決事件へとなったのだ。学校は休校になり、この世に不安を抱かせたのであった。
ホー、ホー、ホー、ホー、
フクロウが鳴いて日もすっかり沈んだころ。ニャー、と黒猫の鳴き声がして僕は目が覚めた。時間を見につくえを見ると、手紙が置いてあった。
〘彼岸の扉が開く夜、神の社へこい。〙
と書いてあった。
「彼岸の扉が開くころ?」
優稀はしばらく考え込んだが、ようやくお盆のことだと分かった。
「神の…ヤシロ?……神社かな。」
そして優稀はお盆の日に家のちかくの神社へ行くことにした。
月日は流れ…
お盆初日の夜。
ザ…
少年は神社に訪れた。すると見覚えのある背中が見えた。
「お?やっときた。じゃ、いこっか。」
クラスメイト達を殺した、少女だった。
「ついてきて。」
それだけ言ってどこかに向かっていった。少年も無意識のうちに追いかけていった。
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神社の裏だろうか。建物の裏へたどり着いた。少女は壁に手をつき、何かを言っている。
しばらくすると扉が現れた。
「さあ、入って。」
優稀は言われるがままに扉の中の不思議な空間へ入っていった。




