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Prologue~『ミーナの手記釈書』冒頭部~

 当時使われていた「西暦」という暦で二二二二年、後の記録によると以前の文明が完全に途絶えたのはこの年とされる。


 旧人類の栄華は二十二世紀に頂点を極めるが、その前々世紀から終末論や衰亡論が噴出していた事、そして次世紀には滅んでしまった事を考えると、所詮その繁栄は砂上に築き上げられた楼閣に過ぎなかったのだろう。


 今を生きる我々新人類の歴史は「西暦」に照らし合わせると二三四〇年にその起源を見ることが出来るという事が判っている。

 その間、百十八年に及ぶ空白期間の出来事は民間伝承に頼る他無かった。

 そして当時を生きた我々の先祖は現代と比して言語に乏しく、正確性には疑問が生じざるを得ない。


 だが概ね、次の事が判っている。


 現在の文明は旧文明の名残を礎として再建されたものである事。

 当時は其処彼処(そこかしこ)に「空間の裂け目」が存在し、我々の祖先は裂け目を介して異形の存在と大なり小なり交戦を起こしていたという事。

 旧人類の生き残りは文明を失った後も暫くその跡地に集落を作って自活していた事。


 今回、我々は新たに発見された『ミーナの手記』を解読するにより、この空白期間に起きた出来事について断片的な情報を得る事に成功した。

 手記が記された時期は定かではないが、内容としては書き手である『ミーナ』という女性が空間の裂け目からの不思議な刀を拾ったところから記載が詳細となる。


 当時、『ミーナ』は内容から判断するに十代前半の少女であったと考えられ、危険を承知で棲み処としていた建物から外の世界を徘徊し、必需品を確保しなければならない生活事情を垣間見ることが出来る。

 これは、『空白百十八年』の生活風俗の一端を示す貴重な資料となるだろう。


 そして、さらに手記を読み進めると我々新人類の起源となる伝承との一致も多数見られる。

 旧人類の文明が滅亡した理由にも言及があり、その信憑性の検証は今後の新史料発見を待つことになる。


――旧人類史学者・タージ=ハイド著『ミーナの手記釈書』冒頭分より。

お読み頂き誠にありがとうございます。

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